年末になり、いつもと変わらない毎日でも気ぜわしく感じますよね。忙しくても食事の用意は必要です。
お料理をつくっていると、塩の大切さを思い知らされます。
肉や魚にあらかじめ塩こしょうをするのを忘れてしまったり、すでに生肉に触れてしまって塩こしょうを取るために手を洗うのがめんどくさくて(苦笑)、などと省いてしまうことありますよね。
そんなとき、出来上がりの美味しさがまったく違ってくるのでいつも後悔します。
大切な塩、その選び方のコツは?
塩はたくさんの種類が売られていますが、みなさんはどんなものをチョイスしていますか?
私は「天日塩」で「産地が書かれているもの」を選んでいます。オーストラリアのシャークベイはジュゴンが住む環境汚染の少ない海なのでおすすめです。
天日塩は海水を塩田に引き込み、太陽熱と風で水分を蒸発させ塩を結晶化させたもの。天日塩は低温で作られるので、塩辛さが抑えられ、甘味やコクを強く感じます。またミネラルも壊れにくいとされています。料理が美味しく仕上がる気がしてこの天日塩がお気に入りなのですが、高価なので、パスタや青菜をゆでるときの塩には同じシャークベイを産地にした再生加工塩を使用しています(再生加工塩は自然塩にミネラルを添加し加工したもので安価)。
私のおすすめはこちら♪
パスタをゆでるときなどは、こちらの再生加工塩を。
また、粒子の粗いものと細かいものを2種類揃えておくと、用途によって使い分けができます。
塩の味をダイレクトに味わうような天ぷらやじっくり浸み込ませたい場合は粗めを、
素早く塩味を浸透させたい場合は細かいものを使用します。
岩塩は水に溶けにくく、高純度な塩化ナトリウムでほかのミネラルは含まれてないのですが、味はまろやか。
一般的にステーキや焼肉には岩塩が合うと聞きますが、実際は粒の大きな塩であれば海塩でも印象は変わらないかなと思っています。
塩を生かしたおすすめレシピ
〈グレープフルーツと春菊のサラダ〉
皮を剥いたグレープフルーツと生の春菊に、粗塩(岩塩でも海塩でもOK)とオリーブオイルをかけるだけで、絶品サラダになります。
〈塩漬け豆腐のカプレーゼ〉
絹豆腐1丁(350g)に小さじ2の塩を6面全体にまんべんなくまぶし、キッチンペーパーでくるんで1日おくと、脱水してもっちりとした食感になります。仕上げにオリーブオイルと粗塩、お好みで黒こしょうをふって食べます。
〈フライドさつま&長いも〉
さつまいもと長いもは切ってから塩水に漬けて下味をつける。さつまいもは素揚げ、長いもは片栗粉をまぶして揚げる。さつまいもにはカレーパウダー+粗塩、長いもには青のり+粗塩をふる。
〈塩むすび〉
おにぎりの塩は表面につけなければ意味がありません。間違っても白飯に混ぜ込まないでくださいね。
塩の粒が舌に触れたときに塩味を感じ、後から米が来ることで米の甘味を強く感じられるのです。混ぜ込むと塩が白飯に吸われて馴染んでしまい塩味を感じにくくなってしまいます。
おにぎりの塩は粗めを選ぶと舌の上に塩味がダイレクトにきて塩と米の甘味のコントラストを楽しめますし、細かい塩だと塩と米の甘味のハーモニーを楽しめます。
「塩少々」「塩ひとつまみ」正しい分量知ってますか?
塩に限らずですが、“少々”と“ひとつまみ”の違いを改めておさらいしましょう。
- 少々は親指と人差し指の2本でつまんだ分量で重さは約0.5g。
- ひとつまみは親指と人差し指、中指の3本でつまんだ分量で重さは約1~1.5gになります。小さじにすると1/5~1/4なのでしっかりした量になります。
少々は親指と人差し指の2本
重さは約0.5gです
ひとつまみは、親指、人差し指、中指の3本
重さは約1~1.5gです
下味のときなどに書かれていると面倒でスキップしたくなりますが、下味という味の下支えがあるかないかで、仕上がりの着地点が大きく関わってきます。下味があると比較的容易に味の着地ができますよ。味の不時着はさらなる調味料の追加になり、迷宮入りして悪い方向に行きがちなので、少々でもひとつまみでも侮るなかれなのです。
“適量”と“適宜”の違いは?
そして、もう一つ。間違いやすいのが“適量”と“適宜”です。
- 適量とは適度な量を加減して必ず入れること。
- 適宜は入れる入れないはお好みで、入れなくてもOKなもの。
ここにはレシピ製作者の意図があるので間違えないようにしましょう。
塩は美味しさの下支えです。ときに主役、ときに脇役。生活習慣病予防には減塩は必須。塩は量より質で選んで減塩が正解です。
美味しいものを食べたかったら、塩を侮るなかれ!なのです。
取材・文/滝野香織
滝野香織
管理栄養士