「サステイナブル」という言葉をよく目にしますが、持続可能な世界を実現するための目標「SDGs」に取り組む企業が今、増えています。 未来の地球のために、私たちはどんなことができるでしょうか? 経済学者・安田洋祐さんに教えていただきました。
解説いただいたのは
安田洋祐さん
経済学者。専門はゲーム理論。政策研究大学院大学助教授を経て、2014年4月から大阪大学大学院准教授に就任。『報道ランナー』(関西テレビ)や『ミヤネ屋』(読売テレビ)にコメンテーターとして出演するほか、財務省「理論研修」講師、金融庁「金融審議会」専門委員等を務めるなど多方面で活躍。ユニークな視点での経済解説に定評がある。
SDGsとは?
2015年9月の国連サミットで採択された、2030年までに持続可能なよりよい世界を目指すための、「貧困をなくそう」「ジェンダーの平等の実現」「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」といった17の国際目標のこと。毎年、各国の達成度がチェックされます。
安田洋祐さんが考えるSDGs達成のためにできること
□企業が環境に配慮しているかなどの取り組みをチェック
□商品を買うときはSDGsに取り組んでいる企業のものを選ぶ
そうすると……
■消費者がSDGsへの取り組みを支持することで企業のブランドイメージがアップ!
■企業の売り上げが上がり投資家も投資してくれるようになるとさらにSDGsへの取り組みをする企業が増える
持続可能な世界の実現に近づいていくことになります
SDGsへの配慮は企業の成長にも欠かせない
「SDGs」(持続可能な開発目標)とは、貧困を打破し、地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できる世界を持続するため、国連加盟193カ国が2030年までに達成を掲げた 17 個の目標を指します。ただの目標というだけではなく、進捗状況を毎年各国が報告し合うため、達成度を見える化できるのも大きな特徴です。最近では、日本の企業の多くが「SDGs」に配慮した取り組みを始めています。「SDGsに配慮する」と聞くと、経済的な利益を犠牲にしてでも頑張って社会貢献をするといったイメージを持つかもしれません。しかし、今や企業の長期的な成長のためには、むしろ持続可能な事業計画が欠かせないといわれています。
さらに、「SDGsの達成を掲げる企業に投資したほうが利益が出る」と考える投資家も少なくありません。企業を評価するときに、環境問題や公平な働き方に配慮しているか、再生可能エネルギーを使用しているかなどをチェックする人が増えています。
企業の取り組みをチェックして買う商品を選んで
貧困や不平等という言葉にピンと こない人もいるかもしれませんが、実は日本の子どもの約 7人に1人は貧困状態といわれています。また、男女格差を測るジェンダー・ギャップ指数について、日本は2019年には対象153カ国のうち121位でした。子どもの貧困や男女不平等という身近な問題を解決するためにも、「SDGs」への取り組みが大切です。
多くの企業が「SDGs」への取り組みを自社のウェブサイトで公開しているので、食品や衣類などを買う前にぜひサイトをチェックしてみてください。環境に配慮した素材を使用している商品を購入したり、新興国でつくられたものを適正な価格で取引している企業の製品を買うなど、私たちにできることはたくさんあります。 消費者が「SDGs」への取り組みを支持すると企業のブランドイメージが上がり、売り上げがアップ。その企業に投資する投資家も利益が出ます。こうした経済の好循環が生まれることで、持続可能な世界の実現に一歩ずつ近づいていくことができるのです。
※掲載中の情報はMart誌面掲載時のものです。
【この記事もおすすめ!】
出生数過去最少 社会保障や年金はどうなる?
ヤフーとLINEが経営統合 新しいサービスが生まれる?
森永卓郎さんに聞く、人生100年時代、老後の不安はどうしたらいい?
国際的な課税の新ルール「GAFA課税」、実現したらどうなる?
イラスト/熊野友紀子 構成/長南真理恵
Mart2020年4月号
最近気になるNEWSな言葉 「SDGs私たちがでくることとは?」より