親世代が介護するのを見た経験があったり、ニュースで聞きかじったり、介護で悩む友人が増えたり……もう遠い話ではない「親の介護」。 何をすべきかだけでなく「いくら必要?」などのお金の不安もつきものです。親の介護の費用で知っておきたいことを、介護ジャーナリストの太田差惠子さんにおうかがいしました。
親の介護には親のお金を使うのが基本です
◾️親のお金で知っておきたいこと
・預貯金額
・年金額
・民間医療保険・生命保険
・その他金融資産 (株式・債券など )
・負債・ローン
・住民税が課税かどうか など
資金計画として、そもそもどのくらいのお金を持っているかを知らなければならないため、上記を確認しておくといいでしょう。複数の銀行口座を持っている場合もあるので、光熱費の支払い口座を聞いたり、管理がしやすいよう、口座をまとめることをおすすめします。
聞きにくいお金のこと。どうやって聞くのがスムーズ?
「いざというときにどのお金を使ったらいい?」
家族でも、プライバシーに関わる資産の聞き方は、多くの子どもの悩みどころ。ですが、親を心配してのことと伝えてダイレクトに聞き、うまくいくケースも。 ただし強引に聞くのは、高齢者への虐待として法に触れるので注意。
「幼なじみの○○ちゃんのお父さんが入院したとき、 入院費のお金をどこから出したら いいかわからず困ったらしいよ」
身近な人の例から、どんなシーンでなぜ必要なのかを具体的に想像してもら い、聞く方法も。本当に必要なとき、本人でないから口座から引き出せないと いう理由で困ったというケースはよくあります。参考例として挙げてみて。
「医療費が多いなら、 確定申告の手続きを手伝おうか?」
10万円を超える医療費になった場合は、確定申告で税金の還付が受けられます。医療費控除の対象になるかを一緒に確認する意味で、通帳や保険証券などの書類を見せてもらい、共同でお金の管理をする態勢をつくってみては。
(保険のCMを見て) 「私は○○って保険に入ってるけど、お母さんは?」
テレビで、医療保険やがん保険、入院保険などのCMを多く目にすると思います。それをきっかけに、自分が入っている保険の話をして、親の保険はどうなっているのか、備えとしての貯金があるのか、年金の額などを聞く方法も。
要介護度区分の目安と月額支給限度額
※月額支給限度額の1~3割が自己負担額です。
負担を軽減できる介護保険サービス
65歳になると「介護保険被保険者証」が交付され、認定調査を受けたうえで介護が必要な 状態と認定されれば、介護保険サービスが受けられます。 上の表の区分で支給限度額が変わり、自己負担額は所得に応じて表の額の1~3割に。
教えていただいたのは
太田差惠子さん
介護・暮らしジャーナリスト。ファイナンシャルプランナー。著書に『親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと』(翔泳社)。
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取材・文/鹿志村杏子 構成/長南真理恵
Mart2020年1月号
費用は?何でまかなう?いまから考えておこう!「親の介護」にかかる"お金"の話 より