こんにちは! Mart WEEKENDERで写真家のSOLAです。
紅葉も終わり、色彩の落ち着いた山梨では、澄んだ空に山々がくっきりとキレイに際立ち、本格的な冬の到来を告げています。今日は、初冬の森で出会える「どんぐり」についてあれこれお伝えしたいと思います。
秋冬の里山や公園でも出会える森の宝石「どんぐり」
気温が下がってくると、アウトドアや野山から足が遠のいてしまう人も多いかもしれません。
かくいう私も寒いのは大の苦手なのですが(笑)、この時期はまだまだ、暖かい服を着て、少し歩けばぽかぽか。雪が降るような本格的な真冬との境目だからこその楽しみ方もあります。
たとえばその一つが、どんぐり。子どもたちは大好きですよね。(この時期は落ち葉が少し落ち着いて、秋よりもむしろ拾いやすくなっていることも)
私は時折、地元の山のユネスコエコパークで森林セラピーガイドとしても活動しているのですが、秋〜初冬の森を歩いていると、いろんな種類のどんぐりと出会えます。
※森林セラピーガイド:森林を訪れる利用者に対して、森林浴効果が上がるような散策や運動を現地で案内する人
知ってると子どもにちょっと自慢できる!どんぐりのプチ見分け方・覚え方
どんぐりとは、コナラやクヌギ、シイ、カシなど、ブナ科の木の実の総称で、日本には、22種類ものどんぐりがあるそうです。
これ、何の木のどんぐりかな?というときに、ヒントになるのが、どんぐりの履いているパンツとか帽子とか呼ばれる部分。殻斗(かくと)といいます。
殻斗のデザインは、その特徴で分けると4種類。
①丸くて大きいトゲトゲ =クヌギなど
②ブツブツうろこ =ナラ系(コナラ、ミズナラなど)
③しましま模様 =カシ系(アカガシ、シラカシ、ウラジロガシなど)
④くるんとチューリップ型 =スダジイなど
このうち、里山や公園など身近な自然の中でもよく出会う②と③、大きさは似てるのですが、よーく見るとどんぐりの帽子のデザインが違いますね。
ここで、楽しい覚え方があります。
●しましま模様はバームクーヘンみたい → 菓子(カシ)
●ブツブツうろこは大仏様の頭みたい → 奈良(ナラ)
植物学的に、厳密にはより細かな分類や例外があり、どんぐりを実だけで分類するのは難しいのですが、お子さんとのちょっとした会話のきっかけになれば嬉しいです。
【どんぐりと遊ぼう!①】どんぐりアート
さて子どもたちが夢中で集めた森の宝石たち、せっかくなのでもう一歩、発展させてどんぐりアートやお料理を楽しむのはいかが?
どんぐりの他にも、落ち葉、枝、松ぼっくりなど、森には無限に素材があります。
子どもたちの手にかかると、思わず笑顔がこぼれるような創造の源泉に。
「作例」や「作り方」のようなものはあまり押し付けず、子どもたちが自然から受けとるインスピレーションが花開くのを、そっと見守って。
動物モチーフのかわいい作品
どんぐりごま
【どんぐりと遊ぼう!②】どんぐりを使った森グルメ
息子の通っていた森のようちえんでは、毎年みんなでどんぐり(マテバシイの実)を集めて、叩いて粉にし、それを使ったパンケーキを楽しんでいました。
大きくてツヤツヤのマテバシイ
トンカチでトントン砕いたあと、すり鉢で細かい粉にしていきます
ほとんどのドングリはタンニンを含み、渋味がありますが、マテバシイには渋味がほとんどありません。ナッツよりあっさりしていてほんのり甘く、栄養価もとっても高いスーパーフード。縄文時代は主食だったそうです。※どんぐりは、中に虫がいる可能性もありますので、一度煮沸すると安心です。
どんぐりパンケーキの完成!
自分でつくると美味しいよ
どんぐりとの対話から、子どもの心に芽吹くもの
どんぐりは木の芽を宿したブナの赤ちゃんですが、それ自体は、大人が見る限り、動きも喋りもしません。
ですが、そうした自然物と対話しながら、動物を模したり、並べて世界を組み立てたりすることは、「アニミズム(森羅万象に生命や魂があると捉える感性)」とも通ずるものがあります。
発達心理学の観点からも、子どもが草花やおもちゃに話しかけている姿は、アニミズムそのもの。そうした発達段階を通して、生物やものを大切にする心を学んでいくと言われています。
どんぐりを通じて、身近な自然との対話に感性を開ける子が、森の国・日本に一人でも多く育ちますように。
魔法瓶に温かいココアでも淹れて、ぜひお子さんとどんぐり探しを楽しんでみてくださいね。
写真・イラスト・文/SOLA