今の時期は、風邪やインフルエンザの予防が気になりますよね。自分と家族を風邪やインフルエンザから守るにはどのような対策をしたらいいでしょうか? 実際に専門医が習慣にしている予防法を、読者が実践しました。
教えてくれたのは
池袋大谷クリニック院長 大谷義夫先生
医学博士。群馬大学医学部卒業後、東京医科歯科大学、九段坂病院に勤務ののち、米国ミシガン大学留学等を経て東京医科歯科大学呼吸器内科兼任睡眠制御学講座准教授。2009年に池袋大谷クリニックを開院。
大谷先生の“習慣”を聞きました
理由にも納得! お医者さんの風邪・インフルエンザ予防法10
先生の習慣にトライするのは
東京都在住 田畑ゆみさん
8歳、4歳、3歳の3人の子どものママ「一人風邪をひくと、子どもたちに次々うつってしまうのが悩み。わが家の予防法は手洗い・うがいとヨーグルトを食べての免疫力アップです」
予防法1 ちょっとずつこまめに水分をとる
「鼻や喉の粘膜にある繊毛が、ウイルスの侵入を防ぎますが、繊毛は乾燥すると動きが悪くなるもの。そこで私は診察の合間にこまめに水分をとっています。普段から意識して水分補給をしましょう。その際おすすめなのが緑茶。緑茶に含まれるカテキンには殺菌作用があり、インフルエンザウイルスに有効だというデータもあります」(大谷先生)
予防法2 マスクで触るのは耳のゴムだけ!
「マスクの外側にはウイルスを含む飛沫がついている可能性があるので、そこは触らず、ゴムの部分を持って着脱をしましょう。 私はこまめにマスクを交換し、一日 20枚くらい使います。そこまでしなくても大丈夫ですが、一度外したら交換するのがおすすめ。また、顔とマスクに隙間があかないようサイズが合ったものを選んで」(大谷先生)
予防法3 手洗いは指輪などを外してしっかりと
「ウイルスの主要な感染経路である接触感染を防ぐためにも、手洗いは大切です。ただし、さっと水でぬらす程度の洗い方では効果はありません。私もやっていますが、ウイルスをしっかり除去するには、石鹸をつけて30秒以上のこすり洗いが必要。その際、指輪や時計を外し、指の間や爪、手首までしっかり洗うようにしましょう」(大谷先生)
予防法4 顔を触らないようにする
「私は普段から顔を触らないようにしていますが、無意識に触っている人は多いですよね。 粘膜はウイルスが体内に侵入する入口なので、手にウイルスがついていた場合、触ると感染リスクが高まります。特に口・鼻・目など粘膜部分には触らないで。目がかゆいときなどは、直接手で触らずに清潔なタオルなどで押さえましょう」(大谷先生)
予防法5 歯磨きでウイルスを取り込みにくくする
「インフルエンザについては、しっかりと口腔ケアすることで発症率を低下させることが報告されています。口腔内細菌から出るたんぱく質がインフルエンザウイルスの気道粘膜への侵入・増殖を促進してしまうので、口腔内細菌を減らすことが重要。私も普段、朝・ 昼・夜・寝る前と一日4回は必ず歯磨きをしています。特に睡眠中は口腔内の細菌がふえるので、寝る前はフロスを使うなど念入りにケアすることが大切です」(大谷先生)
予防法6 日に当たったりビタミンDをとったりする
「風邪予防に役立つのは実はビタミンCよりビタミンD。免疫力を上げるビタミンDが多く含まれるのは、しいたけやしめじなどのきのこ類やサンマやサケ、サバなどの魚類で、 私も食事に取り入れています。またビタミンDは日光に当たると体内でつくられるので、関東の冬なら外出の際に手のひらを20分日光に当てるだけでも大丈夫」(大谷先生)
予防法7 6時間以上の睡眠をキープ
「睡眠は免疫力を上げるために重要。米国で行われた実験では、7時間睡眠の人と比べて、 6時間未満の人は風邪のひきやすさが4.2倍、5時間未満では4.5倍というデータが出ています。私も、普段から6時間以上は睡眠時間をとるようにしていますが、どうしても6時間とれなかったときや風邪っぽいときは、15分昼寝をしています」(大谷先生)
予防法8 タオルは共有しない
「家族間の感染を防ぐためにはタオルの共用は避けて。わが家でもしていますが、タオルを使うなら一人一人別のタオルを使って。家族の中に風邪をひいた人がいるときには、ペーパータオルを使うのがおすすめです」(大谷先生)
予防法9 うがいをするなら水でする
「水うがいはインフルエンザ予防には有効とは言えませんが、風邪予防には効果的です。予防の際にはうがい薬を使うと喉の正常な細菌も影響される可能性があるので、水うがいで十分。風邪をひいたときや喉がいがらっぽいときはうがい薬を使って」(大谷先生)
予防法10 日々の生活の中で軽い運動をする
「私は最近暗闇ボクシングをしていますが、ウォーキングやストレッチなど軽い運動は風邪予防に有効です。運動の時間がつくれなくても、歩いて買い物に行くなど、日常生活の中で意識して動くだけでも大丈夫」(大谷先生)
撮影/志波慎寿介 取材・文/須賀華子 構成/長南真理恵
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Mart2020年1月号
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