気圧の変化で起こる体の不調が辛いです【高尾美穂先生のお悩み処方箋】

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

産婦人科医の高尾美穂先生が、相談者の心に寄り添って優しくアドバイス!Mart読者世代である30~40代女性の人には言いづらいお悩みにお答えいただきます。第11回は、気圧や温度差の変化で起こる体の不調についてです!


教えてくれたのは
高尾美穂先生
産婦人科専門医・婦人科スポーツドクター・ ヨガ講師。産婦人科専門医として、女性の健 康をサポートしつつ、それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った治療を提案す る一方、スポーツドクターとして、女性のプロアスリートへのサポートも行っている。

【相談テーマ】気圧の変化で起こる体調不良はどうしたらいいですか?

相談者プロフィール画像

相談者:Kさん(40歳)
千葉県在住
専業主婦

利水剤でむくみや頭痛を改善できることも

Kさん:以前から、気圧の変化が大きいときや季節の変わり目に、体が不調になることが多いように感じています。数年間、悩んでいるのですが解決策がなかなか見つからなくて……。

高尾先生:いわゆる「気象病」ですね。このような悩みがあるという話はよく耳にしますが、実は気象病のメガニズムはわかっていないと言われています。

Kさん:そうなんですね! 私はだるさ、めまい、食欲不振、頭痛などの症状があるのですが、気圧や温度差はまったく関係ないのでしょうか?

高尾先生:まったく関係ないとは言い切れません。気圧が低くなると、血流が悪くなることもあるとされています。それにより、頭痛やむくみなどの不調が起こりやすくなる人もいます。

Kさん:どうしたら改善できますか?

高尾先生:診断がつけづらい不調は、漢方薬の得意分野です。気象病の場合は、五苓散や柴苓湯などを服用するのをおすすめします。これらは利水剤と呼ばれるもので、尿の排泄を促し、体の中の水分を排出する効果があります。余分な水分が排出されるとむくみが取れ、頭痛などの不調を改善する効果が期待できます。

Kさん:そのような症状が出た際には、ぜひ試してみたいです。ほかの症状は気圧や温度差とは関係ないのでしょうか?

高尾先生:まったく関係ないわけではないかもしれませんが、気圧や温度差で起こる不調は理論的に説明することが難しいと言われています。ただそれらの不調が、自律神経の乱れから起こっている可能性はあると思います。

高尾美穂先生

リラックスしてストレスのない環境づくりを

Kさん:自律神経の乱れは、気圧や温度差と関係があるのですか?

高尾先生:気圧が低下することで、自律神経が乱れやすくなることがあります。それによりKさんが感じただるさ、めまい、食欲不振、頭痛などの症状がでることも。ただ自律神経の乱れは、それだけが原因で起こるわけではありません。ストレスも大きな要因になります。

Kさん:自律神経の乱れの可能性もあるんですね!ほかにも胃もたれや肩こり、喉の違和感、アレルギーなどがあり、今までは新月や満月の時期、ピルの服用なども関係していると思っていたのですが……。

高尾先生:それはもしかしたら、あまり関係がないかもしれません。月の満ち欠けと体の不調に関して、医学的にはエビデンスがない状態です。またピルを服用しているのであれば、ホルモンバランスがコントロールされて、逆に症状が改善されると考えられます。

Kさん:そうだったんですね。

高尾先生:とはいえ、多くの不調を抱えていると、何が原因なんだろうと思い悩んだり、辛い思いをすることも多いですよね。ここは少し発想の転換をして、気圧や温度差のことを気にしすぎないようにして、気持ちをラクにして過ごしてみるのはいかがでしょうか。そうすることで、ストレスが減って自律神経も整ってくるかもしれません。

Kさん:いろいろな症状があるので、周囲に理解してもらえないことも辛いんですよね。

高尾先生:他人の不調を理解することは、誰であってもなかなか難しいことですよね。例えば、生理痛ひとつをとってみても、個人差があるものですし、女性同士でさえ理解し合えないことも多いお悩みだと思います。Kさんが辛い思いを抱えているように、もしかしたらKさんの周囲の人も不調を抱えているかもしれませんが、それをすべて気づくことができる人はなかなかいないのではないでしょうか。

Kさん:確かにそうですね……。

高尾先生:それでもどうしても理解して欲しい人には、ていねいに根気強く説明するしかないと思います。お互いを大切に思う関係性であれば、きっと理解してもらえると思いますよ。

Kさん:体調については、明確に伝えることが本当に難しいですね。

高尾先生:あまり思いつめずに、肩の力を抜いて生活するように心がけてみてください。例えば、人と競争しない新しいことに挑戦したり、ヨガなど何かに集中することをして寝る前に頭を空っぽにしたり。不調以外のことにも、意識が向くような行動をしてみるのも一つの手です。そういう時間が増えると、自律神経の働きが安定してきて、不調も少なくなってくるかもしれませんよ。

【高尾先生のお悩み処方箋】気圧や温度差で起こる不調についてできること

  1. 水分を排出する作用がある漢方を服用する
  2. ストレスを溜めずに自律神経を整える
  3. 不調以外のことにも目を向けリラックスできる環境を

【相談を終えて】1日の中で楽しいと思える時間を意識的に増やしてみます

気圧や気温差の不調についてお話できる機会をつくっていただき、気持ちが楽になりました。

漢方が不調を改善する可能性があると知り、1つの選択肢として漢方外来などへの通院を考えようと思います。また、喉の違和感は長年気になっているので、不安をなくすためにしっかり検査をしてみます。

自律神経を整えることが大事だと教えていただき、できるだけ自分なりに乱れないようにする習慣を勉強して実践していきますね。

ゆるキャラ

不調のことを考えすぎないように意識して、1日の中で少しでも自分が楽しいと思える時間を増やすように心がけました。キレイな景色や、ご当地キャラクターなどの動画を見て癒されています。

撮影/中林 香 取材・文/酒井明子 編集/倉澤真由美

- 関連記事 -

    マガジン
    Mart2024春号
    2024年3月28日発売
    ¥980
    マガジン
    Mart2024春号
    2024年3月28日発売
    ¥980