コロナをきっかけに都心からの移住者が増えているそうですが、確かに旅先でその土地に惹かれて「移住してみたいな」と思ったことはありますよね。
東京から移住したファミリーに、そのきっかけや住み心地、なかでも食の変化や充実ぶりについて聞いてきました。
地元食材の美味しさに 感動する毎日です
達也さん(45歳)、有希さん(38歳)、寛太くん( 5 歳)、颯太 くん( 2 歳)の 4 人家族。
念願の指圧院とカフェを古民家にオープン
指圧師の井上達也さん、パティシエールの有希さんは、自宅で自分たちのやりたい仕事をするのが夢でした。以前の住まいは東京で、子どもの誕生をきっかけに移住を考えるように。
「僕は長野県の出身なので、田舎暮らしについてなんとなくイメージできていました。東京からの利便性を考えて山梨や長野を検討。移住相談に行ったり、冬に宿泊体験をしたりして、徐々に決まっていきました」(達也さん)
「東京では保育園を探すのも大変。夫が移住について乗り気だったこともあり、少しずつ移住もいいかなと思うように。青山などでやっている産直マルシェによく行っていたのですが、そこで山梨とつながりのある方と知り合って、環境や住み心地を聞き、具体的に考えるようになりました」(有希さん)
地元の人の紹介で、今の家を知って引っ越し。少しずつリノベーションして指圧院とカフェをオープンしました。
「ご近所の人もいい人で、住みやすいですね。韮崎は田舎すぎないところが魅力。高校まで市内にあるところも安心です」(達也さん)
「生活すべてが変わりました。子どもは庭で走り回って騒いでもご近所迷惑にならないので、毎日楽しそう! 草や木などの自然が身近になり、気持ちにもゆとりができました。
それから、ご近所さんからたーくさん野菜をもらえるのは本当に感謝です。地元の生産者さんから譲ってもらうお米やもち麦は格別の美味しさです」(有希さん)
近所の直売所で買ったたくさんの野菜を使ってごはんの支度。「野菜が本当にみずみずしくて美味しいです」と有希さん。
スティックセニョールとズッキーニはシンプルにソテー。
この日のメニューはロールレタス、しめじ、しいたけ、わらびとオニオンスライス、きゅうりとかぶの浅漬け、たらの芽の天ぷら、スティックセニョ ールとズッキーニのソテー、ミニトマト。デザートに桃。
生産者さんが配達してくれる米やもち麦
近くのもち麦農家さん、戸沢良規さんが直接配達に来てくれました。自宅ではもちろん、カフェでも使用し、販売もしています。「もち麦は外国産が多いんだけど、うちのは僕がつくったこだわりの、自慢のもち麦ですよ!」と戸沢さん。
もち麦と米はガラス瓶に入れ、 米のストックは下の麻袋に。
またゆずぽん酢は去年ご近所さんからもらったゆずでつくったお手製、ハーブ塩のハーブは庭で採ったものだそう。 どれもぜいたくな素材です。
庭で気兼ねなく、存分にはしゃげる毎日
ご近所さんにもらった台車でトロッコ遊び。子どもたちを乗せて、パパがダッシュ!「これは夫にしかできない遊び。私は怖くてできません(笑)」(有希さん)
玄関先ではメダカを育てています。
自宅で指圧院と古民家カフェを開業
自宅奥に「おけたく指圧院、隣に「古民家カフェ トロッコ」があり、手前が居住スペースとなっています。
山を背にした立派な古民家。自宅兼お店になっており、入り口によってスペースを分けています。居住スペースから始めてカフェ部分、指圧院と、少しずつ手を入れて使いやすくしているそう。
縁側部分をリノベーションして指圧院とカフェのエントランスにしています。
「古民家カフェ トロッコ」の定番、スパイスラムカレー¥950(ドリンク付き¥1,400)はジューシーなラムがトマトベースのルウとマッチ。
塩キャラメルのカトルカール¥550はしっとりした生地にキャラメルが香る。
奥の部屋でゆったりと受ける指圧は至福の時間。体が整ったあとにカフェで食事もできるので喜ばれているそう。
撮影/中林 香 取材・文/湊谷明子 編集/小松伸司
Mart2022年夏号 「移住組」の“憧れ”おうちごはん より