トイレが近くて、お出かけも普段の生活も困っています【高尾美穂先生のお悩み処方箋】

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産婦人科医の高尾美穂先生が、相談者の心に寄り添って優しくアドバイス!Mart読者世代である30~40代女性の、人には言いづらいお悩みにお答えいただきます。第18回は頻尿についてのお悩みです!

悩める女性の心を軽くしてくれる!高尾美穂先生


産婦人科専門医・婦人科スポーツドクター・ ヨガ講師。産婦人科専門医として、女性の健 康をサポートしつつ、それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った治療を提案する一方、スポーツドクターとして、女性のプロアスリートへのサポートも行っています。雑誌やテレビほかさまざまなメディアでも、女性のお悩みへの優しいアドバイスが好評です。

【相談テーマ】頻尿に悩んでいます。

読者Nさん

相談者:Nさん(43歳)
長野県在住
自営業

寝ている間は大丈夫なら心の問題の可能性も

Nさん:トイレの間隔が近くて困っています。アルコールやカフェインをとっていなくても、ひどいときは1時間に3回も行きたくなることがあり、日常生活を送るのにも不便を感じています。

高尾先生:それは大変ですね。寝ているときもトレイに行きたくて目が覚めることが多いですか?

Nさん:それが、寝ている間は大丈夫なんです。夜中にトイレで目が覚めるということもないですね。

高尾先生:なるほど。それなら、膀胱などに問題があるから頻繁にトイレに行く、というわけではないかもしれないですね。もし問題があれば、寝ているときも頻繁に目が覚めて、トイレに行きたくなるはずです。

Nさん:そうなんですね。そうすると、何が原因なのでしょうか?

高尾先生:恐らく、心理的な問題が大きいのではないかと思います。もしかしたら少しでも尿意を感じると不安になってしまい、頻繁に行く癖がついているのかもしれませんね。40代になると尿の悩みを持つ人が多いので、心配になってしまうのもおかしいことではありません。Nさんは、トイレに行くたびに大量の尿が出ていますか?

Nさん:毎回すごい量が出る、というわけではないですね。

高尾先生:そうすると、やはりメンタル面が関係しているのではないでしょうか。頻繁に尿漏れを起こすなど、尿意をコントロールできないと骨盤底筋の筋力不足や健康への不安がありますが、そうでなければ水分がたくさん排出されることは悪いことではありません。考えようによっては、代謝がいいということ。体の中に水分が溜まってしまい、体外に手放せないほうがむくみなど起きやすくなるほか、健康に不安が出てきます。

Nさん:トイレが近い場合、病気の可能性はないのでしょうか?

高尾先生:毎回、バケツがいっぱいになるような大量の尿が出るのであれば、「尿崩症」という病気が疑われます。ただこの場合は驚くほどの量なので、すぐにわかると思いますよ。自分がとった水分量くらいが排出されているだけならば、問題ないと思って大丈夫です。

高尾美穂先生

自宅での膀胱トレーニングが効果的

Nさん:病気の可能性が低いと聞いて、安心しました。でもやっぱり生活するなかで不便なので、なんとかすることはできませんか?

高尾先生:Nさんの場合は、膀胱トレーニングをするのがおすすめです。自宅にいるときなどいつでもトイレにいける状況のなかで、トイレに行きたいと思ったときにギリギリまで我慢してみてください。そうすることで、膀胱のまわりの筋肉を鍛えることができます。これを続けることで、膀胱が伸びやすくなり、尿を貯めておきやすくなると思います。

Nさん:いつでもトイレに行けるタイミングであれば、心配せずトレーニングできますね。早速やってみます!

高尾先生:トレーニングをすることでトイレに行く間隔が長くなっていけば、「頻繁にトイレに行かなくても大丈夫」という安心につながり、普段の生活も変わってくるのではないでしょうか。ほかにもトイレに行った時間や量などを記録しておくと、トレーニングの参考になると思います。

Nさん:安心できるようになるといいなと思います。ところで、今はまだ大丈夫ですが、この先、尿漏れが起きないかも心配です。トイレが近いと尿漏れになりやすい、ということはありますか?

高尾先生:トイレが近いことと尿漏れは、直接は関係ありません。ただし、40代になると加齢性の変化やエストロゲンの減少により、筋肉量が減少してしまいます。そのため尿漏れの悩みを抱える人も多くなります。特に出産後に尿漏れを経験した人は、年齢を重ねたときに注意が必要です。

Nさん:そうなんですね。尿漏れを予防する方法はありますか?

高尾先生:尿漏れに悩む前に、ぜひ骨盤底筋トレーニングなどをして筋力を維持してください。先ほどの膀胱トレーニングもあわせ、問題が起きる前からトレーニングしておくと、いざ尿漏れなどの悩みを抱えても、すごく困るということにはならないと思いますよ。ぜひやってみてくださいね。

Nさん:わかりました。やってみようと思います!

【高尾先生のお悩み処方箋】トイレに行く頻度を減らすためにできること

  1.  メンタルの可能性が大きいので深く考えすぎない
  2. 40代は悩む人が多自分だけじゃないことを知って
  3. 膀胱トレーニングで膀胱のまわりの筋肉を強化!
  4. トイレの回数や量を記録する
  5. 将来のために骨盤庭訓トレーニングも行って

【相談を終えて】予想外の原因に驚きも。まずはトレーニングを頑張ります!

トイレがあまりにも頻繁で出かけるのも不便だったので、先生に相談することができて、本当によかったです。まさかメンタルから来る尿意だとは思っておらず、驚きでした。たしかに外出先でトイレが近くになかったらと不安になると、少しの尿意でもすぐトイレに行くのが習慣になっていました。

よいトレーニングを教えてもらえたので、さっそく試しています。外出中も大好きなコーヒーを楽しめるようになってきました。

外出時にコーヒーを飲むところ

まだ尿漏れはないので、そちらのトレーニングもあわせて実践してみます。ありがとうございました。

撮影/中林 香 取材・文/酒井明子

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