40代以上の方で「最近、物忘れがひどい」「ぼんやりして集中力が落ちた」などのお悩みがある方はいませんか? 記憶力や思考力、集中力が落ちる「ブレインフォグ」は、実は更年期の症状のひとつです。
ブレインフォグで仕事に集中できなくなったり、家事を効率よく行えなくなったりするなど、日常生活に支障が出ては困りますよね。そこで今回は、更年期のブレインフォグの基礎知識や、簡単な改善方法について薬剤師が解説します。
頭のなかがモヤモヤする「ブレインフォグ」とは?
ブレインフォグとは、頭のなかに「もや」がかかったような感覚になり、ぼんやりしてしまう状態をいいます。
ちなみに、ブレインフォグは医学用語として定義されているわけではありません。モヤモヤしている状態を「脳に霧がかかっている」と表現した一般用語です。
ブレインフォグは認知度が低く、ひとりで悩んでしまう人も少なくありません。
ブレインフォグの症状
ブレインフォグの具体的な症状は、下記のようなものです。
- 集中しようとするほど、頭がぼんやりしてしまう
- マルチタスクができない
- 話の内容が頭に入らない
- 考えがまとまりづらい
- 思い出そうとしても、なかなか思い出せない
40代、50代になってこのような症状が増えてきたら、更年期によるブレインフォグの可能性を考えましょう。
更年期はブレインフォグになりやすい
更年期にブレインフォグになりやすいのは、女性ホルモンの減少によって脳が疲れやすくなるからです。
女性ホルモンは、脳の記憶力や思考力を活発にするといわれているので、減ると脳のはたらきが悪くなります。
脳のはたらきが低下して負荷が増えたことでぼんやりしてしまうのが、更年期のブレインフォグです。
更年期のブレインフォグの改善方法
更年期のブレインフォグを改善する方法を3つご紹介します。
睡眠の質を上げる
脳は睡眠中に回復するので、睡眠の質を上げて脳をしっかり休めましょう。
睡眠の質を上げるには、38〜39℃くらいのぬるめのお湯で半身浴をしたり、寝る前にはスマホを見るのをやめたりなどして、自律神経を整えるのがおすすめです。
また、「GABA」や「テアニン」など、脳の興奮を抑える成分を就寝前に摂るのもよいでしょう。
バランスのよい食事を摂る
栄養不足では、脳の疲労は回復できません。主食:副菜:主菜=3:2:1のバランスを意識した食事を摂りましょう。また、脳がはたらくには大量の水分を必要とするので、水分補給も大切です。
適度な運動
からだを動かすと、脳を活性化するホルモンが分泌されます。ウォーキングやヨガ、ストレッチなど自分が負担に感じないものから始めてみましょう。
脳の疲れを根本から見直すには漢方がおすすめ
「ブレインフォグの原因である脳の疲れを根本から改善したい」そんな人におすすめしたいのが、漢方薬で体質改善を目指す方法です。
漢方では、ブレインフォグは血流が悪くなり、脳に栄養や酸素が十分に行き渡らないことが原因と考えられています。
漢方薬は、自然の生薬の薬理効果によって、血流改善によるからだの機能回復を得意としています。血やエネルギーを補い、自律神経のバランスを整える作用などがある漢方薬で、ブレインフォグの症状を改善に導くことができます。
また、ブレインフォグだけでなく不安感や不眠など、更年期のさまざまな不調を同時に改善できるのも漢方薬のメリットです。毎日続けて飲むだけという手軽さも魅力ですね。
更年期のブレインフォグにお悩みの人におすすめの漢方薬
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
体力がなく疲労倦怠感、胃腸虚弱、寝汗などがある人の、疲労や食欲不振に用います。
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十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)
体力がなく疲労衰弱や冷えが気になる人の、疲労や貧血などに用います。
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帰脾湯(きひとう)
体力がなく疲労や胃腸虚弱があり、血色が悪い人の、貧血や不眠などに用います。
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漢方薬は、自分の体質や症状にピッタリ合うものを選ぶのが重要です。うまく合っていないと、効果が出ないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。
どの漢方薬が自分に合っているのかを自分で見極めるのは難しいので、プロの力を借りましょう。
最近では、オンラインで漢方薬のプロに相談できるサービスも人気です。相談から漢方薬の受け取りまで、完全在宅でできるので「漢方薬局や病院はハードルが高い」「通院の時間がなかなか取れない」という人でも気軽に利用できますよ。
40代、50代の記憶力や集中力の低下は、更年期の「ブレインフォグ」が原因かもしれません。気になることがあれば、ひとりで悩まずに専門家に相談しましょう。
生活習慣に気をつけることも大事ですが、根本から体質改善を目指すなら、漢方薬もチェックしてみてくださいね。頭のなかのモヤモヤをスッキリさせましょう!
<この記事を書いた人>
薬剤師 竹田由子
大学院で臨床薬学を専攻、病院で10年勤務、結婚後は調剤薬局勤務、ライターとしての活動も始める。腎機能低下を機に、月経痛への鎮痛剤使用量を漢方で減量成功した経験がある。元漢方・生薬認定薬剤師で薬膳漢方マイスター。「日常の不調はまず漢方」をモットーに生活を送る。病院時代の長いDI経験を生かし、薬の面から分かり易くサポートしたいと考えている。
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