これからの時期に心配される熱中症。外出時に気をつければいいと思いがちですが、実は意外な場所でも起こることがあるのです。見落としがちな要注意シーンや、起こってしまった際の対処法を紹介します。
日かげに止めても車内の温度は上がる!
少しの時間でも放置すると、暑くなりがちな車内。外気温が高い日だけでなく、それほど暑く感じない日でも、実は注意が必要です。日本自動車連盟のユーザーテストによると、外気温32度の日に駐車した場合、20分で日なたの車内温度は40度、日かげも30分後に35度を超える結果となりました。
そのため駐車後に車に戻った際は、まずは窓を全開にして車のエアコンを外気導入にして、熱気を外へ出しましょう。その後、窓を閉めてエアコンを内気循環にすると、効率よく車内を涼しくすることができます。
もし運転中にめまいや顔のほてり、だるさなど感じたら、無理をせずに応急処置をするようにしましょう。「直射日光が当たる場合はもちろん、日かげでも車内の温度は上昇します。短時間でも子どもやペットを置いて、車を離れないようにしてください」(日本気象協会「熱中症ゼロへ」プロジェクト)。
実は救急搬送者数トップ! 室内での熱中症
室内は日差しを直接浴びないため、「熱中症になるわけがない……」とついつい油断しがち! しかし総務省消防庁によると、2017〜2020年の熱中症のうち、約3〜4割が敷地内のすべての場所を含む住居で起こっているのです。原因としては
- 部屋の風通しが悪く室温や湿度が高い
- 水分補給をしていない
- 夜間に冷房を使わずに気温が上がった
- 屋外で活動後に体を冷やすことができなかった
などが挙げられます。特に火を使うキッチン、冷房のない部屋、汗をかきやすい入浴時、夜間に室温が上がりやすい睡眠時、庭やベランダでの作業時は注意が必要です。
屋内にいるときも、
- 温度や湿度を気にする
- エアコンなどで室温を適切に保つ
- こまめな水分、適切な塩分補給
を心がけましょう。「室内はエアコンなどの冷房器具を使って涼しくするようにしてください。エアコン使用の目安になる室温は28度です。夜間は外気温が下がっても、室温が高いままの場合も。寝ている間に脱水が進むと、熱中症になることもあるので、寝室に熱がこもらないようにしましょう」(日本気象協会「熱中症ゼロへ」プロジェクト)。
注意していてもより対策をしたい運動時
運動時は熱中症にならないよう、特に気をつけている人も多いはずです。運動時は体が熱を発して熱中症になる危険がより高くなるため、運動の仕方や水分補給には注意が必要となります。
- 環境条件に応じて運動の強度や運動時間を調節する
- 水分補給や塩分補給をこまめに行う
- 吸湿性や通気性のいい素材の衣服を選ぶ
- 屋外では帽子をかぶる
特に体が暑さに慣れていない梅雨や夏のはじめ、湿度が高く風の弱い蒸し暑い日は要注意! 体調が優れないときも、無理をしないようにしましょう。
もしも熱中症になったら! 知っておきたい応急処置
気をつけていても「もしかして熱中症かも?」と思ったら、すぐに応急処置を行い、回復しなければ医療機関に行くことが必要です。
上記のように熱中症の疑いがある場合は、まずは声をかけて意識を確認。意識がなければすぐに救急車を呼びます。意識がある場合は、まず涼しい場所へ移動。衣服を脱がし体温を下げ、塩分や水分補給を行いましょう。それでも症状が改善しない場合は、すぐに医療機関に相談を! 救急車を待っている間にも、応急処置をして悪化を防ぐようにしてください。
熱中症は放置すると、命の危険に関わることもあります。「たいしたこはない」と甘く考えず、しっかりと判断できるようにしてくださいね。
■「熱中症ゼロへ」プロジェクト公式サイト:https://www.netsuzero.jp/
取材・文/酒井明子