【知っておきたい基礎知識】共倒れにならないために覚えておきたいこと

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親世代が介護するのを見た経験があったり、ニュースで聞きかじったり、介護で悩む友人が増えたり……もう遠い話ではない「親の介護」。 何をすべきかだけでなく「いくら必要?」などのお金の不安もつきものです。介護について知っておきたいことについて、介護ジャーナリストの太田差惠子さんに、Q&Aで教えていただきました。

介護のここが知りたい!

Q.親の介護で自分の生活が苦しくならない?
A.まずは自分の生活を優先しましょう

介護費用で足りない分を家族がまかなう場合もありますが、自分の生活を圧迫してまで負担すると、共倒れになりかねません。
困ったときに利用したいのが、介護保険サービスに支払った自己負担額が定められた上限額を超えた場合に支給される「高額介護サービス費支給制度」。1年間に医療と介護の自己負担額が定められた上限額を超えた場合に、申請により超えた分が支給される「高額医療・高 額介護合算療養費制度」も(両親分を合算できる場合もあります)。
ほかにも、親のお金が心もとない場合に、所得により食費や居住費の負担を減らせる「特定入所者介護サービス費制度」もあります。

Q.遠距離に住んでいて介護できるか不安です
A.子の役割はマネジメントと割り切って

「遠距離介護」とは、直接会って、入浴や排せつ、食事の介助をすることではありません。親のニーズに合わせた適切なサービスを選び、予算を管理。親の満足度と効果の確認をし、状況に応じたアレンジをする〝マネジメント〞が、子どもの役割です。
介護保険のサービスや食事の宅配サービスで人と接することで安否確認をしてもらう、ポットや冷蔵庫の使用頻度をメールで通知してくれる、民間企業の「見守りサービス」でいつもの生活ができているかを確認するなど、遠方から 安心感を得る方法もあります。遠距離介護の負担になる交通費は、各航空会社の「介護帰省割引」を利用して軽減する手も。

Q.きょうだいの分担で不公平にしないためには?
A.時間・お金・労力の偏りをなくして

身体的サポートの分担のほか、もめる原因として多いのは、親のお金の管理などについて。情報共有し、最初にきょうだい全員で決めるのが重要です。お金のことは、数百円でもチリも積もればで、後々大きなしこりになることも。口頭ではなく書面で残したり、家計簿アプリを使ったりする方法が有効です。
遠方に住むきょうだいは、福祉サービスの情報収集や資金計画、専門職との連絡や調整などでフォローする方法も。海外在住でも、親の担当ケアマネジャーとメールでやり取りをして遠距離介護をするケースもあります。

Q.思ったよりも親の年金が少なかったら?
A.持ち家がある人は家を活用する方法も

親の自宅を担保にして銀行からお金を借り、死亡した時点で自宅を売却して一括返済する「リバースモゲージ」という制度があります。住み慣れた家で暮らしながら、生活費を借りることができますが、金融機関により内容が異なるので、よく確認を。
また、所得が少ない高齢者を対象として国が実施している「不動産担保型生活資金」という 似た制度も。家を手放したくない場合は、「マイホーム借上げ制度」で、親の自宅を賃貸にして生活資金を得る方法もあります。

教えていただいたのは
太田差惠子さん

介護・暮らしジャーナリスト。ファイナンシャルプランナー。著書に『親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと』(翔泳社)。

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取材・文/鹿志村杏子 構成/長南真理恵

Mart2020年1月号
費用は?何でまかなう?いまから考えておこう!「親の介護」にかかる"お金"の話 より

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