わかっているようでわからない、サバ缶の実態。そこでMart編集部では改めて「サバ缶」のすごさをおさらいしてみました。これを知れば、よりサバ缶が身近な存在になりますよ。
教えてくれたのは 本田由佳先生
健康科学者、博士(医学)、慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科特任講師、産科婦人科舘出張 佐藤病院研究コーディネーター。
【1】海の「スーパーフード」
「サバには、体をつくる材料として欠かせないいちばん大切な栄養素のひとつである良質なタンパク質以外に、ヒトの細胞膜やホルモンをつくる良質な脂質(EPA、DHA)、そして、体の調子を整えたり、代謝を促進する栄養素であるビタミン類が豊富に含まれていますから、海からもらったスーパーフードといっても過言ではありません。サバに多く含まれるDHAは、満腹感をキープし、血糖値の上昇を抑えるだけでなく、脳の神経の機能を活性化させる働きがあるといわれています」(本田由佳先生)
【2】鮮魚より栄養価が高いサバ缶
「サバ缶は骨ごと食べることで、骨の維持に必要な栄養素であるカルシウムが生のサバよりも43倍、また、生では食べない血合(ちあい/骨の周りの赤い部分)が含まれているので、カルシウムの吸収を促進するビタミンDを生と比べて約2倍摂取することができます。さらに、魚の油に多量に含まれるEPA、DHAは水に溶けやすく、鮮魚の場合、調理過程で流れ出てしまうことが多いのですが、サバ缶は、生のまま缶に詰められたあとに、大型の圧力釜で熱処理されて、缶詰の状態で茹でられているため、煮汁にも多くの栄養素が含まれ、缶に丸ごと栄養素が閉じ込められています。煮汁も捨てずに食べることをおすすめします!」(本田由佳先生)
※日本食品標準成分表 2015年版(七訂)より抜粋
※可食部100gあたり
【3】コスパがよく、味の種類が豊富
気候や水揚げ量で価格変動しやすい鮮魚。サバも買う時季により高いとき、安いときがありますが、サバ缶は基本的に通年価格が一定(小売希望販売価格。実際に店頭で売っているサバ缶のその店ごとの価格変動あり)。また、水煮のほか、しょうゆで煮込んだもの、味噌で煮込んだもの、イタリアン系の味つけのものと幅広いラインナップがあります。
【4】生産量が10年前の1.8倍!
サバ缶を生産販売するマルハニチロによると、サバ缶の売り上げは昨年度から114%にアップ、サバ缶市場全体では144%にアップとのこと。サバ缶の生産量が増えただけでなく、消費量自体も増えたといえそうです。生産数量の推移のデータを見ると、2009年は2万7747トンの生産量でしたが、2018年は4万9349トンと10年間で約1.8倍になっています。
※日本缶詰びん詰レトルト食品協会「水産缶びん詰生産量の推移」より抜粋
※内容重量(単位/トン)
【5】非常食としても優秀!
長期保存もきくことから災害時の非常食として見直されています。サバ缶のようにそのままでも食べられ、調理にも活用できる万能選手は特に重宝します。賞味期限が近づいてきたら、普段の食事の中で消費しやすく、また、不足しがちなタンパク質も補える、心強い存在です。
(左から)月花さばみそ煮、月花さば煮付 各200g ¥295(マルハニチロ)
オリジナル さばの水煮 190g ¥175(カルディコーヒーファーム)
最近話題の「イワシ缶」についても知りたい!
サバ缶に続け!と急激に人気が高まりつつあるイワシ缶。マルハニチロの調べによると、イワシ缶市場全体は去年より売り上げが210%にアップ。マルハニチロの商品だけでは、318%に増。栄養価も高く、さらに注目度が高くなるでしょう。
オリジナル いわしの水煮 190g ¥220(カルディコーヒーファーム)
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グラタン、サンドイッチ、アヒージョも! アレンジ自在なサバ缶『Çava?(サヴァ?)』
撮影/鮫島亜希子 取材・文・スタイリング/新里陽子 構成/タカノマイ(Mart編集部)
Mart2019年9月号
料理家・ほりえさわこ先生に聞く 夏バテ解消は「サバ缶」で!より