みなさん、パンの基本になる強力粉はどんな風に選んでいますか?
同じ強力粉でも銘柄や産地によって、いつものレシピでパンを焼いても、「なんだかボリュームが足りなかった…」とか「もっとふんわりした食感がよかったな」とか、思っていたようなパンに仕上がらなかったという経験はないでしょうか?
最近は国産強力粉もたくさん登場していて、お店に行くと何を手に取ったら良いのかわからないという声もよく聞きます。
そこで、今回は本当に一部ではありますが、私のよく使っているオススメの国産強力粉を中心に小麦粉の違いのお話、そして、いつもの材料をかえるだけで、簡単に失敗なく焼ける食パンアレンジのコツをお話ししていきます。
簡単ではありますが強力粉の違いをチャートにしてみましたので、強力粉を購入する時の参考にしてみてくださいね。
自分好みの粉を見つけて、食べたいパンを焼こう!
国産小麦粉はモチモチとして、しっかりした歯ごたえ、香り・甘みがあり日本人好みの味と言われています。しかし、ひとえに国産強力粉と言ってもタイプは様々です。
では、どんな違いがあるのでしょうか?
そもそも強力粉は含まれるタンパク質の割合で膨らみ具合が変わり、灰分(小麦の胚芽などの部分に含まれる成分)の割合で仕上がりの色、小麦の味わいが変わります。
タンパク質の含有量が多いほどボリュームが出やすく、釜伸びのいいソフトなパンに仕上がり、少ないとクラスト(外皮)はカリッと、クラム(中身)はもっちりした状態に仕上がります。
また、灰分の数値が高いほど、小麦の味が強く、低いほど軽くあっさりした仕上がりになります。
このタンパクと灰分の量の組み合わせによって、各ブランド、銘柄に分けて販売されているのです。
強力粉を選ぶ際には、ぜひたんぱく質含有量と灰分含有量をチェックして、作りたいパンに適した強力粉を選びましょう。
外国産強力粉と国産強力粉の違いは?
一般的に外国産はタンパク質の量が多く、タンパク質自体も強めなのでボリュームのあるパンに仕上がります。そういう意味ではカメリア、スーパーカメリアはまず間違いなくバランスのいいパンに焼きあがることから、ホームベーカリー初心者向きと言えます。絹のようにきめが細かく、しっとりとした口溶けのいいパンができます。色が白く、雑味が少ない分、小麦の甘さも感じられ、混ぜ込む副材料の風味も引き立ててくれます。
国産強力粉は気候や風土の関係などで、外国産と比べると粉自体に水分が多く含まれています。手ごねなどで生地が柔らかく、ベタベタして扱いづらいと感じる時は、加える水分量を5〜10%減らして調整してください。
私がよく使う4大国産強力粉はこれ!
有名食パン専門店のパンはほとんど言ってブレンドされた粉で焼かれているのが特徴的です。シンプルな食パンだからこそ、パンの特徴はこのブレンドによる力が左右するのは当然ですね。
私も高級食パンを焼くときは2〜3種をブレンドして焼きます。中途半端に余った強力粉や薄力粉を実験感覚で混ぜ合わせることで、食感や風味のいいパンに焼き上がることも多々あります。是非、余った粉があったら、そんな風に遊んで焼いてみると、思いもかけない美味しいパンが焼けるかもしれません♡
4種の中で一番食感、風味のバランスがとれているのが「春よ恋」。知名度も人気も高い国産強力粉で、もっちり、ふんわり食感で、風味も強くないので、乳製品や油脂のもつ味わいや香りが引き立ちます。
そもそも、国産強力粉は膨らみづらく、扱いづらいといわれますが、「はるゆたか」や「ゆめちから」はブレンドタイプのものを選べば問題ありません。
はるゆたかは、しっとり、もちもちなのに重くなく、国産小麦らしい香り豊かなとても美味しいパンに仕上がります。「はるゆたか100%」よりもはるゆたかを主体にしてブレンドされた「はるゆたかブレンド」のほうがしっかり膨らみ、バランスのいいパンに仕上がります。
「ゆめちからブレンド」も吸水性がよく、作業がしやすい粉で、もちもち感に強い弾力のあるパンに焼き上がります。
北海道のパンのよい香りという意味が込められた名前の粉、「キタノカオリ」。黄みがかった色の粉で焼き上げたパンもやや黄色く仕上がります。噛めば噛むほど味が出てくる小麦の甘みが特徴的で、乳製品と相性抜群です。
ちなみに、人気店「俺のBakery」の銀座の食パン〜香〜は「キタノカオリ」と合わせて焼かれています。そして、相性のいい牛乳をたっぷり使用して焼き上げられたミルク食パンは以前、誌面でも再現しましたが、何度焼いて食べても飽きない味わいの究極の食パンです。
★「銀座の食パン〜香〜」がホームベーカリーで焼ける!お店に教えてもらったレシピはこちら
最強力粉「ゴールデンヨット」はブレンドして使うと膨らみがよくなる!
釜伸びのいい「最強力粉」は私の場合、そのまま使って焼くことよりも、通常の強力粉にブレンドして使うことが多いです。2〜3割程度、ブレンドすると膨らみがよくなるんです。
オススメ!スーパーでも手軽に購入できる海外産強力粉
お手頃価格でありながら、使い勝手のいいのがイーグルとヨット。
イーグルは、パン専門店でとても人気が高く、有名な強力粉です。グルテンが多く含まれている為、ふんわりボリュームのある仕上がりになり、作業性にも優れています。
焼き上がりは外層が香ばしく、柔らかな風味になります。ホームベーカリーとの相性もばっちりです。淡白で風味が薄い粉なので、私は単独で使うより、ライ麦粉や大豆粉、ドライフルーツやナッツなど、素材を混ぜ込んで焼くことが多いです。
ヨットはきめが細かく、ソフトでふんわりとした食感の仕上がりが特徴で、パンづくりに幅広く使用できるオールマイティな強力粉。
そのままでも、ブレンドしてもミニサイズは便利!
粉の分布図だけである程度目安は立てても、実際いろいろ試して焼いてみたいですよね。
このサイズ、ちょうど1斤分の250gがパックになっているので、使いきりで焼きたい時はもちろん、お試しで焼いたり、色々ブレンドしてみたい時にはもってこいなんです♡国産、外国産強力粉に始まり、薄力粉、最強力粉、準強力粉と全13種類も揃っています。(TOMIZ富澤商店)
小麦粉だけでも、というより小麦粉選びはパンの個性を決めるもっとも大事な要素です。これが正解というのはないので、好みに合わせていろいろトライしてみるのが、パン作りを楽しむいちばんの秘訣ですよ。
八代恵美子/フードエディター
Martでは編集ライターとして活躍する傍ら、ホームベーカリー特集で有名店の食パンを再現するフードコーディネーターとしてもおなじみ。再現したパンはお店からもお墨付きをいただくほどの出来映え。自身が開催するホームベーカリーレッスンは告知公開と同時に満員になるほどの人気。機種を選ばず、焼き上げるレシピも好評。インスタでも数々のおうちパンを紹介している。
Instagram:@atrio_emy
HP:atrio-food.com
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