デパートやスイーツショップなどでお菓子を買う際、中身だけでなくその入れ物であるお菓子缶に心惹かれることはありませんか? お菓子を食べ終わったあと、その空き缶を飾ったり、小物入れにした経験がある方も多いはず。
そこで今回はお菓子缶研究家・中田ぷうさんの新刊『もっと素晴らしきお菓子缶の世界』より、“いつか必ず、何としてでも手に入れたいお菓子缶”として紹介されたお菓子缶のなかから厳選して4つご紹介します。
ラ・サブレジエンヌの『ラ・フレーシュ動物園』
芸術品として鑑賞できるほど美しい缶
フランスのサブレブランド『ラ・サブレジエンヌ』には、フランスの美学とエスプリが詰まっていて、もはや芸術品として鑑賞できるほど美しい缶が揃います。
「なかでも『ラ・サブレジエンヌ』発祥の地、ロワール地方に 1946 年から実在する『ラ・フレーシュ動物園』をモチーフとした缶は、2021年の夏に登場して以来、これを超える美しい缶に出会っていません。“かわいい”に傾きがちな動物缶のデザインですが、あくまでも大人の美学を貫いたところが、さすがフランスブランドというべきでしょう」(中田さん)
【商品のお問い合わせ先】
シャルマン・グルマン
https://www.charmant-g.shop
クッキー同盟のクッキー同盟アソート缶
マニアックすぎるところがそそる
英国仕込みのクラフトクッキーブランド「クッキー同盟」。どこか不思議な、そしてどこかひねくれたようなデザインです。
「今まで日本にはなかった異端の匂いがするお菓子缶。“かわいいは正義”の日本において、マニアックすぎるところがたまらなくそそります。事実、ありきたりの“かわいい”や“ナチュラル”を目指したわけではないと言います。デザインを手がけたのは、平野篤史氏( AFFORDANCEinc.)。英国の文化や文学ににじむ混沌や不条理、そして不思議さを表現したそうです」(中田さん)
【商品のお問い合わせ先】
ブロードエッジ・ファクトリー
https://cookieunion.jp/
「KUVAL」のクッキー缶
撮影現場でも「素敵」と話題!
撮影現場でもスタッフの間で「素敵」と話題になったこの缶は、フレンチビストロの店「KUVAL(クバル)」(東京・三鷹)のもの。ワニの絵は、オーナー夫妻が以前から好きだった画家の田中健太郎氏が手がけました。
「田中氏の動物の絵の中でも、ことワニの絵が好きだったことからワニにしたと言います。その田中氏の絵を忠実に再現するためにも、シルクスクリーン印刷(※)をしてくれる製缶会社を探し、やっとの思いで完成。メインはビストロのため、クッキー缶の製造は月30 缶が限界というだけあって、1 日で完売してしまうこともあります」(中田さん)
※シルクスクリーン印刷とは、簡単にいうとインクが通過する穴と、インクが通過しないところを作ることで製版し、印刷する技法。一般的な印刷方法よりもインクが厚めなため、色彩がはっきりとし、デザインをそのまま表現することができます(中田さん)
【商品のお問い合わせ先】
KUVAL
https://www.kuval.store/
「太陽ノ塔 洋菓子店」の「タイヨウノカンカン mini ポルボロン」
シンプルなのに強烈な個性が魅力
カフェ「太陽ノ塔」(大阪・中崎町)は 2019 年に最初のクッキー缶を誕生させて以来、独自の美学を貫いた、芸術性に富んだクッキー缶を生み出しています。
「なかに入っているポルボロンのフレーバーに合わせた缶の色、そしてカタカナの商品名が目立つよう施したエンボス加工。シンプルなのに強烈な個性。実はこの缶、スイーツマニアや缶マニアだけではなく、オタクの推しカラーアイテムとしても重宝されているという逸話を持ちます」(中田さん)
「タイヨウノカンカン mini ポルボロン」(アールグレイ、いちご、抹茶、ココア、プレーン)
【商品のお問い合わせ先】
太陽ノ塔 洋菓子店
https://www.patisserie.taiyounotou.com
中田ぷうさん
お菓子缶研究家・フードジャーナリスト。東京生まれ。大手出版社勤務後、2004 年にフリーランスに。祖父に買ってもらった「CHARMS(チャームス)」の缶をきっかけに、以来 47 年間、お菓子缶を偏愛するようになる。所有するお菓子缶の数は 1000 缶以上。今は亡き祖父の部屋をお菓子缶部屋として使用させてもらっている。
缶専用インスタグラム:@pu_nakata_tin
撮影/石田純子(光文社写真室) WEB構成/長南 真理恵
もっと素晴らしきお菓子缶の世界(光文社) より再構成