急に肌寒くなってくるこの季節。気になるのは空気の乾燥です。肌がカサカサしたり、かゆみや炎症をともなったり……。また、乾燥は肌荒れだけでなく、思わぬ不調の引き金になることもあります。
今回は、「秋の乾燥に負けないうるおいケア」と題し、秋に乾燥してしまう理由や、肌以外にも気をつけておきたい部分、そして、今すぐできるうるおいケアも併せてご紹介します。
秋に乾燥するのはなぜ…?
そもそも、秋はなぜ乾燥しやすいのでしょうか?
その答えは、日本の気象事情と、それによる湿度の急激な低下にあります。夏に日本列島を支配するのは太平洋高気圧ですが、秋は移動性高気圧に覆われます。この移動性高気圧は温暖で乾いた空気なので、秋になると空気が乾燥するのです。
9月から10月にかけて空気が乾燥しやすくなり始め、夏に比べて湿度は10%以上もガクンと下がってしまいます。
さらに、エアコンなどの暖房器具の使用でさらに空気が乾燥しやすい状況になります。
秋は意外なところも乾燥している…!?
秋は肌だけでなく、のどや肺などの呼吸器系統も乾燥します。本来、のどや気道の粘膜は細菌、ウイルス、ほこりなどの異物を排除するはたらきがあります。
肌が乾燥すると肌荒れの原因になりますが、呼吸器の粘膜が乾燥すると、外敵や異物への抵抗力が弱まり、免疫力が低下します。
その結果、さまざまな病気にかかりやすくなります。また、せきやたんの原因になったり、のどがイガイガしたりと、さまざまなトラブルが起きやすくなります。
今すぐできるうるおいセルフケア
肌や呼吸器にとって、うるおいケアはとても大事です。ここからは、うるおいをキープし、乾燥しないための簡単なセルフケアを3つご紹介します。
【1】肌にうるおいを!
肌は、化粧水や乳液を使い、角層にうるおいを与えることが大事です。また、お風呂上がりはすぐに水分が蒸発してしまうので、早めの保湿ケアを心がけましょう。
保湿効果を高めるには、保湿クリームを塗りながら同時にマッサージを行うのがおすすめです。体内の水分の循環を促し、より高い保湿の効果が期待できます。
腕の内側は脇の下から手指の方向に、腕の外側は指先から肩に向かってマッサージをしながら塗りましょう。
脚は、外側を太ももから足先に向けて、内側は足先から太ももの付け根方向に向けて塗ります。
保湿とマッサージを兼ねられるので一石二鳥です。
【2】体内にうるおいを!
肌の新陳代謝をアップしうるおいを与えるには、ビタミンB群、ビタミンE、タンパク質が豊富に含まれる食材がおすすめです。
うるおいケアにおすすめの食材をご紹介します。
- ビタミンB群⇒牛レバー、納豆、ニンニク、ピスタチオ
- ビタミンE⇒すじこ、パプリカ、ホウレンソウ、アーモンド
- タンパク質⇒鶏ささみ、マグロ、卵、パルメザンチーズ
肉類、魚介類、卵、大豆製品、乳製品などをバランスよく摂取することが大事です。ビタミン剤などのサプリメント類は、あくまでも足りない分をサポートする役割として使用しましょう。
【3】生活環境にうるおいを!
加湿器は手軽に部屋の湿度をコントロールできるため、秋から冬にかけての湿度調整にはとても便利です。ただ、湿度を高くしすぎると、結露やカビが発生する原因になってしまいます。加湿器の設定は、湿度60~65%を目安にしましょう。
エアコンを使わず、暖房を石油ストーブやガスストーブに変更するのもおすすめです。石油ストーブの場合、燃焼させた灯油と同じくらいの水分が発生するので、エアコンよりも乾燥しにくい点がメリットです。
就寝時には、枕元の近くに水を張った洗面器や、濡れタオルを吊るしておくと、空気の乾燥を防げます。
秋の乾燥対策には漢方もおすすめ!
肌や呼吸器の乾燥対策には、漢方もおすすめです。漢方は、偏った心身のバランスを整えるのが得意です。
肌の乾燥には、「血流や水分の循環をよくして、肌に栄養をいきわたらせる」「消化・吸収機能を改善して肌に必要な栄養を作り出す」といった漢方薬でからだの内側からアプローチします。
また、秋の呼吸器の不調には、「水分の循環をよくして肺にうるおいを与える」「気管支を広げて呼吸をしやすくする」「酸素や栄養を肺に届け、呼吸器の機能を回復する」といった漢方薬が選ばれます。
漢方薬でからだ中に酸素や栄養がいきわたることで、秋バテなどの疲れの改善にもつながります。
秋の乾燥対策におすすめの漢方薬の一例をご紹介します。
<秋の乾燥対策におすすめの漢方薬>
当帰飲子(とうきいんし)
【第2類医薬品】クラシエ薬品 漢方セラピー 当帰飲子エキス顆粒 クラシエ (1.5g×24包) 湿疹・皮膚炎
血液や栄養を補い、肌にうるおいを与え、乾燥からくる湿疹などを改善します。冷え性タイプで、からだが温まるとかゆくなるタイプのカサカサ肌や、肌から粉がふき、湿疹や分泌物が少ない人に向いています。
麦門冬湯(ばくもんどうとう)
胃腸のはたらきを整え、のどや気道などの呼吸器の粘膜にうるおいを与えます。のどの乾燥が気になる人や、せきやたんが出るときに用いられます。
漢方薬は、適切な体質診断があってこそ真価を発揮します。同じ乾燥対策でも、体質の違いにより処方される漢方薬は異なります。合わない漢方薬を使っても効果が発揮されないどころか、副作用が出る場合もあるので気をつけましょう。
漢方薬を使用するなら、医師や薬剤師などの漢方の専門家におまかせするのがいちばんです。さまざまな側面からあなたに合った漢方薬を見つけ出してくれますよ。
もっと気軽に漢方薬を試してみたい人は、あんしん漢方というオンラインサービスもおすすめです。漢方の専門家が体質をしっかり診断し、適切な漢方薬を提供してくれる漢方のオーダーメイドサービスです。
ただ漢方薬を処方するだけでなく、経過観察も行ってくれるので、家にいながら病院のような質の高い漢方サービスを受けられます。
乾燥対策は秋からしっかりと!
秋になると湿度が大きく下がり、空気も乾燥し始めます。肌だけでなく、のどや気道もその影響を受け、肌トラブルや免疫力の低下などさまざまな不調の原因にもなります。
日常的に湿度に気を配りながら、乾燥しがちな秋から冬を乗り切っていきましょう!
<この記事を書いた人>
あんしん漢方薬剤師
山形 ゆかり
薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。
症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp