ネットストアで先行販売された「コオロギせんべい」
Mart本誌でもよく登場する無印良品。収納グッズやインテリア、衣料品、文具、キッチングッズなど、幅広い商品ラインナップが魅力です。オリジナルの食品にもファンが多く、カレーや発酵ぬかどこ、冷凍食品、お菓子なども大人気。そんな無印良品から、「コオロギせんべい」が発売になりました。「コオロギのせんべい??」と疑問に思う人も多いと思うこの商品、どんなものなのか無印良品の広報・サステナビリティ部の担当者に伺ってみました。
世界的に注目されている“昆虫食”
フィンランドのスーパーで販売されていた「コオロギパン」
「コオロギせんべい」と聞くと、ちょっとびっくりしますが、名前の通り原料にコオロギが使われています。「コオロギを食べるの?」とさらに驚いてしまいますが、実は、海外では、世界の急激な人口増による今後の食糧確保と環境問題などを考え、動物性たんぱく質のひとつとして昆虫が注目されているんです。
昆虫は私たちが普段食べているお肉に比べると、主要な栄養素を多く体内に含むため、効率よく栄養素を摂取できるのだとか。生育にも温室効果ガス排出量や水やエサの量が圧倒的に少ないので、環境負荷も軽減されるといわれています。特にコオロギは飼育しやすいので効率的に生産でき、食用に適しているということで、国内外でも注目されている食材。海外ではすでにコオロギを使った商品も多く販売されています。
きっかけはフィンランドにオープンした無印良品
フィンランドの有名菓子メーカーでもコオロギパンを製造・販売していました。
そうはいっても、日本ではまだまだなじみのない昆虫食。無印良品とコオロギの出会いはいつだったのでしょうか? 実は2019年秋、無印良品は北欧・フィンランドにヨーロッパ最大級の店舗をオープンさせています。その店舗オープンの過程で、現地スタッフからコオロギのお菓子を紹介されたのがきっかけだったそう。
良品計画の広報担当者によれば、「昆虫食の先進国でもあるフィンランドを訪問するなどして情報収集。昆虫食の商品化を検討していたときに、徳島大学が日本国内でコオロギの先進的な研究をしていることを知り、アプローチしました。徳島大学との取り組みがスタートしたのが2019年3月。製造工場の選定や衛生管理の基準づくりなど、さまざまな方々に協力を得て開発を進めてきました」。
コオロギはエビのような風味で食べやすい
見た目もえびせんっぽい感じで、気軽に食べられます。
昆虫食が進んでいる諸外国とは異なり、日本で商品化するにあたり、どんな工夫がされたのでしょうか。「コオロギの味は実はエビに近いんです。ですから、せんべいに合うのではということで、パウダー状にして練り込んでみることにしました。そうすることで心理的な抵抗感も少なくなると考えました」。
「徳島大学発のベンチャー企業である『グリラス』が製造したコオロギパウダーを使用し、エビに似たコオロギの味を生かすため、余計な原料を使わずにシンプルな配合にしました」。そうして誕生したのが、今回の「コオロギせんべい」です。
どうして無印良品が「コオロギせんべい」を販売したのか、不思議に思っていましたが、「世界中の様々な国・地域において『感じ良いくらし』を提案する無印良品は、生活に必要な商品の販売のみならず、社会でいま起きている様々な課題に目を向けています」とのこと。「コオロギせんべい」も無印良品ならではの新しい試みの一つだったんですね。エビにも似た風味の「コオロギせんべい」。ネットストアを利用するときには、ぜひ試してみてはいかがですか?
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取材・文/岡部礼子