前編では30歳代~40歳代の主婦が中心のMart読者みなさんの、夫との家事シェアの現状について見てきました。夫の家事シェアにある程度満足しているという人も多いものの、「できればもっとやってほしい!」というのが本音では? 夫の意識の問題もありますが、ではどんなことで改善に向かっていけるでしょうか。日本で唯一の「家事シェアの研究家」、NPO法人tadaima!代表理事の三木智有さんにお話を伺ってきました。
家事シェアを夫婦でうまく回すには?
NPO法人tadaima!代表理事 三木智有さん
【Profile】「ただいま!」と帰りたくなる家庭を増やすため、男性の家庭進出を促進する活動を行う、日本で唯一の家事シェアの研究家。
家事シェアで大切なのは夫婦の協力体制です
「近年、社会の価値観や変化により男性が家事に積極的に取り組むようになってきました。女性が社会で活躍する機会が増え、男性も家事や育児を担っていくことが自然になったためだと考えられます。
家事シェアとは『手段』のひとつであり夫婦の生き方や関係性の現れでもあります。半分ずつ家事を分担するのが正しい方法ではなく、しっかり話し合ってお互いに納得のいく体制をつくり信頼関係を高めていくことが大切です。
おすすめは『パラレル家事』。たとえば『料理をしていない方がお風呂の準備をする』など、お互いが同時に家事を行う方法です。自分が家事をしているのに相手が暇そうにしているのを目にすると不満が起こりやすい。関連性のある家事を行うことでそれを解決し、夫婦の中に一体感も生まれます。
また、家事をしてくれた人に対して『褒める』のではなく『喜ぶ』ことも重要です。家事をやってくれたことに対して感謝を伝えましょう。相手のモチベーションも上がり『またやろう!』という気持ちにつながるはずです」
夫にやってほしい家事シェアトップ5はほぼ「掃除」関連
実際に夫がやっている家事は、1位「ゴミ出し」、2位「風呂掃除」、3位「食器洗い」、4位~7位「洗濯」関連…でしたが、妻の希望は全く違うものでした。
※複数回答可でいくつも家事をシェアしている人も多く、このような票数になっています。育児・動植物の世話、食材の買い物等は選択肢から除外。
妻は「掃除は夫に任せたい」という思いが如実に現れました。その理由としては、風呂掃除「排水口は汚くていやだから」、トイレ掃除「汚しがちな人がやるべき」、窓ふき「自分より背が高い夫のほうが上まで届く」「重労働で力仕事だから」。しかし、実際のところは「排水口の掃除とかゴミ捨ての際のごみまとめなど、いわゆる“名もなき家事”は結局自分がやっている」 (東京都調布市 34歳 会社員)という厳しい現実があるようです。
次はMart読者代表のご夫婦に実際にお話を聞いてみました。
小林秀幸さん(39歳)佳菜さん(33歳)
休みの日に家事シェア!パパは掃除担当です
平日は夫の秀幸さんの帰宅が遅いため、休日を中心にして家事シェアを行なっているそうです。「子どもが小さいのでまだまだ目を離せなくて…ゴミ出しや、お風呂の細かい部分の掃除なども任せてしまうことが多いです」(妻の佳菜さん)
島田雄一郎さん(36歳)加奈子さん(36歳)
朝の忙しい時間帯を中心に家事シェアをしています
普段、料理づくりは妻の加奈子さんが担当して、ゴミ出しやお風呂掃除などは夫の雄一郎さんが担当しているそう。「朝は子どもの支度やご飯の準備などで私が忙しいので、他の家事を率先して手伝ってくれることが多いです。お互いにタイミングを見て、協力し合いながら仕事ができればいいなと思っています」(妻の加奈子さん)
実は迷惑!? 夫ががんばった「料理」と「洗濯」
夫に”やってほしい”家事が主に「掃除」でしたが、”やらせたくない”ものも意外な結果ではないでしょうか。
料理や洗濯を夫に任せられないという結果に。(グラフには表示されていませんが「やってほしくない家事はない 85票」が断トツですが)1位は「夕食づくり」。理由は・・・
「自分が料理する時以上に、とても散らかるので後片付けが大変」(神奈川県藤沢市 37歳 パート)
「夫が食事を作ると出しっぱなし、こぼしっぱなしになり片付けないので、有難いんですが私のイライラが増す」(北海道河西郡 46歳 パート)
「夫が料理をしたらお金がかかる」(大分県大分市 41歳 パート)
「美味しくないから。自分が食べたいものを作りたいし、栄養バランスを考えたい」(千葉県市川市 37歳 アドバイザー)
そもそも料理ができない・苦手だという夫も多く、そんな人に任せられないというのが本音でしょう。「洗濯物もの干し」については、「干し方が雑」で「乾かない」といった夫へのダメ出しも多数見受けられ、「自分がやりやすい干し方、たたみ方があるので」(福岡県福岡市 38歳 パート)といった、結局、自分のやり方でやるのが一番と考えている人が多くいました。
ごく少数派ですが、「旦那に家事をやってほしいと全然思いません。むしろやられる方がいやで、自分でやりたいです」(神奈川県平塚市 37歳 専業主婦)という方もいたことを付け加えておきましょう。
いかがでしたか? 今どきの家事シェア事情。夫の家事シェアに不満のある人もそうでない人も、家事シェア研究家の三木さんが提唱する「パラレル家事」を目指して、まずは夫の家事シェアに「褒める」ではなく「喜ぶ」からはじめてみませんか?
*このアンケートは2019年11月下旬~12上旬に、Mart会員のみなさんにWEBアンケートを実施し、209人の回答をもとに集計したものです。
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撮影/北川鉄雄 記事構成/Mart編集部
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