『鬼滅の刃』『進撃の巨人』人気声優・下野紘さん×佐藤アツヒロさんの“人見知り対談”

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佐藤アツヒロさんが人生について語る連載「こじらせ男子でなにが悪い」の第2フェーズ第1弾は『鬼滅の刃』、『進撃の巨人』などで活躍してらっしゃる人気声優・下野 紘さんとの対談です。まったく違うフィールドで互いに活躍しながらも、いろいろな経験を積んでらっしゃるおふたり。それらを通じてどんな人生観を得たのか、人とのかかわり方をどう捉えてきたのか、そんなことをざっくばらんに語っていただきました。本音しかない熱血対談、スタートです。
※お写真は、発売中のMart4月号をご覧ください。


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「人見知り」同士だから話せた
自分に、人に優しくなれる方法

「自分はこうだから」とだんだん思えてくる

佐藤 下野さん、今日は本当にありがとうございます。この連載では、今まで僕自身の考え方や価値観をお話してきたのですが、人と会話をすることで何か生まれるのではないかと思い、初めて対談をやらせていただくことになりました。
下野 こちらこそありがとうございます。よろしくお願いします!

―― 今日は事前におふたりの共通点を探してみたのですが「人見知り」「40代」「筋トレ」が見つかりました。
佐藤 そこが共通点なんだ!

―― おふたりは今日が初対面ですが、人見知りには少し辛い状況ですか?
下野 基本は人見知りなのですが、ここ10年くらいはがんばって克服しよう、ということをやっていまして。なるべく積極的に対話をしていこうかなと思っています。
佐藤 素晴らしい!
下野 話すことで知れることもあるし、自分から踏み込んでいかないと相手も踏み込みづらいのかなと思うようになったので。がんばろうと思って。ただ踏み込んで引かれたりしないかな?って悪いことはよく考えますけどね(笑)。
佐藤 僕も克服をしようと思ったことは何度もあるんですけど、でも人見知りのいいところもたくさんあるなと思っているんですよ。むしろ、人見知りじゃない人を適当だなと思うこともありますしね(笑)。
下野 もしかすると話聞いてないかもなって人、たまにいますよね(笑)。僕の場合は、だったら人見知りのままでいいなというよりは、なんとかがんばって人見知りを克服しつつ、人の話をちゃんと聞こう、という考え方ですね。
佐藤 それは、完成形ですね。
下野 完成形!? 完成形だとは思ってなかったです(笑)。

―― おふたりの二つ目の共通点「40代」について、下野さんより先に40代になられたアツヒロさんが今感じていることを聞いてみたいです。
佐藤 「それでいいんだ」と思っている最中です。僕のプライベートの友達に、50代の方ばかりのコミュニティがあるのですが、皆さんめちゃくちゃ楽しそうなんですよ。
下野 いいですね。
佐藤 こういう50代は楽しそうだなと思うし、この皆さんの発想を知っていけば、これが待っているんだろうなと思える。だから、今はその勉強中ですね。

―― 先に楽しみがあるというのは素敵です。女性の場合、年齢を重ねることがネガティブ要素に捉えられがちなところもありますが。
下野 でもそんなことないと思いますし、僕自身もそういう、周りに言われることに対しては、だんだん「でも自分はこうですから」と思えるようになってきました。
佐藤 人と違うことを「いいんだ」と理解できれば、きっとそういう目も素通りできるようになると思いますね。「みんなと一緒じゃなきゃだめだ」と思ってしまう人は多いけど、そもそもみんなバラバラだし、違うし、って前提で考えればね。
下野 あるひとつの考え方に合わせなければいけない時もあると思いますが、それはあくまでその組織やコミュニティの中だけであって、個の自分になれば自由。「それが自分だから」と思えばいいと僕も思います。

できないことは無理しなくていい

―― アツヒロさんはこの連載で人生の目標を「素敵な人になりたい」とおっしゃっていましたが、下野さんの思う「素敵な人」はどんな人ですか?
下野 僕が声優を目指すきっかけは、『無責任艦長タイラー』というアニメの主人公タイラーに憧れたからなんです。タイラーのように、どんな状況下でも楽しく笑っていられる人になりたいなと思いました。今でもやっぱり、どんなことでも楽しめる人が大人なのかなと思っています。どんなに大変でも、逆にどんなに楽しくても、同じように捉えることができたり、人生を楽しんで、笑って生きられる人は素敵だなと。そういう人になっていきたいです。声優界にも、そういう方はいらっしゃいますし。

―― 周りに憧れる年上の方がいる環境は素敵ですね。
下野 例えその方にはなれなくても、その方の素敵な考え方を知って、自分の心も豊かにしていきたいなと思いますね。そういう方は自分から飲みに誘いたくなります。

―― 自分から誘ったりされますか?
佐藤 (キッパリ)僕は誘わないです。
下野 (笑)。

――一人でいることも多いですか?
佐藤 でも「一人が寂しい」っていう概念がないから。これはね、日本中に言ってあげたいことですよ。一人だからできること、一人だから考えられること、一人だから浮かぶ発想とか、あるので。だからといって「一人がいい」ではないですよ? 人との会話から生まれるものもたくさんあるし。僕はどっちも好きです。
下野 両方楽しめるのがいいですね。

―― 下野さんは周りを誘って飲みに行ったりされるのですか?
下野 僕も自分から積極的に誘いはしないです。というのも20代の頃に、「飲み会行きましょう!」と積極的に誘ってみたことがあったんですよ。でも、誰ともタイミングがうまく合わなくて……。それからは誘いづらくなりました。

―― それは心折れます。
下野 でも今思うと、そういうふうにがんばる=誰かから褒められたい、認められたい、という感情がありすぎたんだと思います。そうやって期待していたぶん、心折れたんじゃないかな。だから、自分からも誘わないけど、誘われることを待つこともしないです。期待しないことで、気持ちがラクになる部分はありました。

―― 期待をしない。
下野 完全に期待しないわけではないですが、自分が期待していたから裏切られたような気持ちになるから、相手にも悪いことしているなって。
佐藤 でも今の誘う誘わないについては、向き不向きもありますよね。飲みに誘うのがうまい人ってたくさんいるし。誘うぶん、お店も知っていて、それが自分のステイタスになっている人もいるから。だから「誘わない人は、誘ってもらう」でいいと思う。それぞれの役割分担があるんじゃないかと僕は思うので。できないことは無理してやらないっていうこと。
下野 そうですね。
佐藤 だから、読者の皆さんにも伝えるとするなら、向き不向きはあるし、それぞれの可能性があるので、できないことであまり悩まなくていいんじゃないかなってことです。俺らもできないこと、たくさんあるし。
下野 たくさんあります。できないことを認めるとラクですよね。
佐藤 うん。認める勇気というか。どんどん白旗振ってこ!っていう(笑)。
下野 そうすると「じゃあこっちでやりますよ!」と言ってくれる方もたくさんいて、助けていただいています。そのぶん、それは自分で発信はしていかないとダメなんだろうなとは思います。察してくれっていうのではなく、言葉なり、なにかしらの表現で気づいてもらわないと。そこは大切ですね。

筋トレで見た目が変わり感じたことは…… !?

―― もうひとつの共通点、「筋トレ」のお話もうかがいたいです。
下野 でも僕はダイエットのために鍛えているだけで、バキバキとかじゃないんですよ。
佐藤 ずっとやられているんですか?
下野 ここ2〜3年ですね。それまではやったりやらなかったり。
佐藤 僕も去年の自粛期間にやり始めました。このままだと太るばっかりだから、やれることないかなと探して。そしたらYouTubeで筋トレ動画がたくさんあったので。今でも、やるのは嫌なんですけどね。だから、逆にそれを心のトレーニングとしてやってます(笑)。
下野 すごくよくわかります。僕も最初の半年とかは自分にムチ打たないと全然やらなかったです。でもだんだんやらないと気持ち悪くなってきて。一日やらなかったら激太りしたんじゃないかって気持ちに……(笑)。それで今でも続いているところはあります。
佐藤 やらない自分がダメ人間だと思ってしまう、という環境を自分でつくってしまった?
下野 そうですね。できないと変な罪悪感があるんですよ。
佐藤 わかるわかる。「このまま寝ていいのか!?」みたいな(笑)。
下野 その誘惑に負けると翌日ちょっと落ち込みますね。
佐藤 落ち込んで、翌日倍やる。
下野 やりますね!

―― おふたりともピシッとされてますもんね。
下野 見た目が変わるっていうのはモチベーションにつながりますよね。
佐藤 うん。だって俺……自分で自分を抱いてみたいと思うもん。
下野 (笑)。
佐藤 そんな言葉が浮かんだことすらびっくりなんだけど。自分で体を触ったときに、「あ、前と変わってきた」と思って。なんか…… なんか!!!
下野 わかります(笑)。
佐藤 それで、自分を一回抱いてみたいなと。そう思った瞬間、自分で大丈夫かな?って(笑)。だから言ってなかったんだけど、なんか今言っちゃった!

【お二人にQ&A】

Q.40代に入って思うことはありますか?

A.「人生の半分、きちゃった」(佐藤アツヒロさん)
40歳になったときに、「人生の半分きちゃった。え、これから終わり目指すの?」と思って。「だったら、やってないことをやらなきゃ」とか「我慢するのはやめよう」と思うようになりました。

A.もっといろんなことに挑戦したい(下野紘さん)
もっといろんなことをやってみたい、発信していきたい、という思いが強くなりました。今まで苦手だと思っていたことを「やってみようかな」と思えたのは、40代になってからです。

A.丸くなった!(佐藤アツヒロさん)
喧嘩とか愚痴とかに時間を使うのがもったいないなと思うようになったのも、40代に入ってから。そういうこともあってか、だんだん丸くなってきましたね。

A.「惑わず」ではない『不惑』に!(下野紘さん)
40歳は『不惑』といわれますが、その意味が、「落ち着く」ではなく、やる・やらないを惑わなくなって「いろんな欲求が止まらなくなる」という説を聞いたことがあって。僕はそういう『不惑』でいきたいです!

<Profile>
佐藤アツヒロさん
1973年神奈川県生まれ。1987年、光GENJIとしてデビュー。2000年『ララバイまたは百年の子守唄』で初舞台を踏み、以降、数々の作品に出演し舞台俳優として高い評価を得る。『文豪少年!~ジャニーズJr.で名作を読み解いた~』(WOWOWプライム)※第8話に出演

下野 紘さん
1980年東京都生まれ。2001年、ゲーム『リリーのアトリエ~ザールブルグの錬金術師3~』のテオ・モーンマイヤー役で声優デビュー。以降、『進撃の巨人』コニー・スプリンガー、『鬼滅の刃』我妻善逸役など数々の作品に出演し、人気を博す。ブログ「気まぐれにどうでしょう」にて日々の記録を更新。

取材・文/中川實穂 編集/菊池由希子 WEB構成/富田夏子

Mart2021年4月号
連載「こじらせ男子でなにが悪い」【特別編】
アツヒロ語り㉑ふたりでぶっちゃけ対談『鬼滅の刃』『進撃の巨人』声優・下野紘さん より

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