【Mart読者の介護体験とお金】介護サービスを機に頑固な父との関係がほんの一歩前進

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親世代が介護するのを見た経験があったり、ニュースで聞きかじったり、介護で悩む友人が増えたり……もう遠い話ではない「親の介護」。 何をすべきかだけでなくお金の不安もつきものです。実際どうこなしているのか、Mart読者の介護体験をご紹介します。

【ケース4】資産整理や介護サービスのおかげで頑固な父との関係がほんの一歩前進

自営業の父が突然倒れたのは、母が亡くなって2年後のこと。
「父はギャンブル好きで、借金をすることも。体を悪くしてからも変わらず、もめることも多々ありました」
その後、U. N.さんが結婚し、ご主人も同居。ご主人が父の債務整理をし、家のローンなどの返済を。ずっと抱えていたお金の問題や免許返納、介護やリハビリのことが動いたのは、U.N.さんが 44 歳のころのことでした。
「言い合ううちに、父がカッとなって警察を呼んだんです。そこで第三者が入る形で話し合った結果、父の銀行口座の管理を私がすることに。そして父も観念した形で、介護認定の申請へと話を進ませることができました」
デイサービス、デイケアが始まると、 足腰が悪かった父も温かい湯船に浸かってゆっくり入浴できたり、人と交流する楽しさを味わったようです。
「健康面、金銭面、交通安全面の余計な心配が減りました。介護保険を利用して玄関の手すりをつけたり、トイレ改修をして、住環境が整えられたのもよかったです。資産管理もできるようになり、きっかけに感謝しています」

..さんの介護ヒストリー
<基本データ>
福島県在住の45歳。
介護の相手:父(73歳) 脳内出血で 24年同居在宅介護。

21歳のとき
49歳の父が脳内出血で倒れ、左半身が不自由に。リハビリ後、 杖を使い歩けるようになるもU.N.さんが家事全般を引き受ける。

母が亡くなった2年後。U.N.さんが短大を卒業し、塾講師のアルバイトをしていたときの突然の出来事だった。妹も幼かったため、U.N.さんは就職を諦め、家事全般を支えることに。

44歳のとき
地域包括支援センターに相談。72歳で要介護3になり、デイサービスの利用を開始

要介護3でデイサービスを利用したときの一週間

10年前に自営業をたたんでから父が出歩かなくなり、座りっぱなしに。足腰が弱り、家の中で転んで骨折することも。父は嫌がっていたが、話し合いの結果、介護申請を受ける。希望したデイケアが空いておらず、まずはデイサービスへ。

介護保険サービスの自己負担額(月)
デイサービス(月9回利用で)1万320円
デイケア(月9回利用で)1万6484円

バリアフリー化のための自己負担額
トイレ改修23万円

介護保険でレンタル
玄関の手すり1200円(月)

 45歳のころ
デイケアに空きが出たので利用を開始

要介護3でデイケアを利用したときの一週間

介護保険サービスの自己負担額(月)
デイケア(月9回利用で)1万6484円

リハビリで歩けるようになることと、入浴させてもらえることを希望して、空きを待っていたデイケアに入れることに。このころには、住環境の整備も完了。父は人と話すようになり、動くようになっていい影響が。

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取材・文/鹿志村杏子 構成/長南真理恵

2020年Mart 1月号
費用は?何でまかなう?いまから考えておこう!「親の介護」にかかる"お金"の話 より

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