両親と過ごしているときに、〝今は元気だけれど、将来「介護」をすることになったらどうしたらいいんだろう〞と不安になることはありませんか?今回は、「介護」を実際に経験したMart読者の体験談とともに、知っておくと「介護」をするときに役立つ基礎知識をご紹介します。
Case1:「施設で介護」と決めたのに受け入れ先が見つからず右往左往
【基本データ】大谷陽子さん(仮名)、49歳、大阪府在住
【介護の相手】父親(老衰で3年施設入居)、母親(認知症で9年施設入居)
胃ガンの手術以降、体が弱くなり老衰が進んだ大谷さんの父親。寝たきりなうえ体を壊し、救急で運ばれそのまま入院することに。ただ病院は3カ月しかいられないため、その後のケアをしてくれる場所を見つけることに苦労したのだとか。
「母親との二人暮らしで老々介護になるため、本人と話し、施設にお願いすることになりました。できれば特別養護老人ホーム(特養)にと思ったのですが、口から食事をすることができず〝胃ろう〞になっていたため、医療行為ができないという理由で断られ……。病院を転々としながら、長期療養型の病院を見つけ、入院することができました」
本人の意思がハッキリしていたため、望む治療法に沿った病院に入院できたのもよかったのだとか。ただ、父親が亡くなったあとに母親が入院した際には、もっと困難な出来事に見舞われることに。
「父親の死後、持病の糖尿病が原因で母親が入院することになったのですが、そのときに認知症が発覚。さすがに自宅介護はできないと判断し、地域包括支援センターの方々に協力していただきながら施設探しをすることに。まず緊急入院した病院を出てリハビリ病院に入院し、退院までの3カ月の間に特養を見つける!と決めたのですが、なかなか決まらず。最終的には、入院期限はあるのですが介護老人保健施設(老健)に一度入院し、その後、系列の特養に入居することができました。このときは、退院の日にちが迫ってきているのに行き先が決まらない不安から、本当に焦りましたね」
その後も、何度か危篤状態になるたびに、医療行為ができない特養から病院に入院しなければならない状態に。
「特養にいながらもう一つの病院に入院すると、費用がダブルでかかって……。さすがにその生活は続けられないということで、現在は長期療養型の病院に入院しています。施設にお世話になると決めたのに、まさか施設が見つからないなんて思いもしなかったです」
【大谷さんの介護ヒストリー】
大谷さん37歳:74歳の父親がガンによる老衰で緊急入院。
大谷さん40歳:父親が長期療養型病院へ。
→3カ月入院したら、次の施設に移るのが原則。幸い、長期療養型の病院が見つかりひと安心。
大谷さん41歳:父親が亡くなる。母親が認知症に。
大谷さん42歳:78歳の母親が糖尿病で入院。
→最初、特養は全部断られたが、収入が低く一人暮らしなので一時的に老健に入れることに。
大谷さん46歳:母親が特別養護老人ホームに入居。
大谷さん49歳:母親が長期療養型病院に入院。
【大谷さんの提言】
「症状に合った施設でないと病院を転々とすることに」
介護・暮らしジャーナリスト 太田差惠子さんからのアドバイス
介護・暮らしジャーナリスト 太田差惠子さん
ファイナンシャルプランナーの資格を持つ。『親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと』(翔泳社)など著書多数。
焦って施設を決めないで!
「介護保険を利用してサービスを受けられる、特別養護老人ホーム(特養)は順番待ちが長くなるところも。特養を見つけられないときは、まず介護老人保健施設(老健)に申し込んで時間を稼ぎ、じっくり探すのがおすすめです」(太田さん)
OK:「介護老人保健施設」に入れて今後を考える
NG:目についた施設に連絡
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イラスト/茅根美代子 取材・文/玉置晴子、富田夏子 構成/タカノマイ(Mart編集部)
Mart2019年9月号
先輩たちからの提言 40歳から考える「親の介護」いま知っておくべきこと より