ダンスを通じて一人の女性が成長していく姿を描くフランス映画『ダンサー イン Paris』が9月15日より公開中。成功目前のバレエダンサーが挫折を味わい、仕事も恋も親子関係もうまくいかない中、見つけたものとは……?
『ダンサー イン Paris』あらすじ
パリ・オペラ座バレエで、エトワールをめざすエリーズ。だが、夢の実現を目前にしながら、ステージの最中に恋人の裏切りを目撃し、動揺からジャンプの着地に失敗して足首を痛めてしまう。医師から踊れなくなる可能性を告げられたエリーズは、一晩で恋も仕事も失って呆然とする。
将来が見えず実家に帰るが、母を亡くしてから男手一つで自分や姉妹を育ててくれた父親との距離感にも悩む。そんな中エリーズはかつてバレエ仲間だった友人サブリナに誘われ、出張料理人をする彼女の恋人のアシスタントを引き受けることにする。
出張料理を請け負った先はブルターニュ。そこには才能あふれるアーティストたちへ練習の場を提供する瀟洒なレジデンスがあり、エリーズはそこで料理アシスタントをしながらコンテンポラリーダンスと出会い、少しずつ変わろうとしていく。
【見どころ①】圧巻のダンスシーンは吹き替えなし
映画はオペラ座でのバレエ上演「ラ・パヤデール」のシーンで始まります。主人公エリーズが観客席をのぞき、メークをして舞台袖で待機し、踊り子たちはストレッチをしながら準備をして、順に舞台へと飛び出していく。冒頭15分間、なんとセリフはなし! 登場人物の目線や息遣い、そして圧巻のバレエシーンで一気に物語に引き込まれます。
監督の「ダンスをする俳優ではなく、演技をするダンサーを選びたかった」というこだわりもあり、主人公の抜擢されたのは、パリ・オペラ座バレエ団の現役プルミエール・ダンサーズであるマリオン・バルボー。クラシックバレエだけでなく、オペラとバレエの融合作品やコンテンポラリーダンス作品などにも挑戦しているというから、まさにエリーズ役にぴったり。
また、主人公エリーズが魅了されるコンテンポラリー・ダンスのカンパニーを率いるホフェッシュ・シェクターは、実際に著名な振付師でもあるホフェッシュ本人が演じています。彼はダンスの振り付けと音楽も担当していて、劇中でコンテンポラリー・ダンスを指導するシーンはドキュメンタリーのようなリアルさがあります。
そして、そのダンスカンパニーのダンサー役も、フランスを代表する若手ダンサー、メディ・バキが本人役で出演。ダンスのリアルさにこだわった監督のキャスティングが光ります。
【見どころ②】フランスの街並みや料理が彩りを添える
エリーズが住むのは、パリ市内のアパルトマン。早朝からベランダに出て基礎練習をするのですが、背景にモンマルトルの丘のサクレクール寺院が見えるなど、パリで暮らすバレリーナの日常を垣間見る気分。エリーズがバレエの公演中に心を落ち着けようとオペラ座の屋上に出るシーンでは、普段は見られない場所からパリの夜景が楽しめます。
一方、料理アシスタントとして訪れたブルターニュは海辺の街で、エリーズがコンテンポラリー・ダンスのメンバー達と海まで散歩に行くなど自然の風景も見られます。
キッチンカーでは野菜をザクザク刻み、半熟卵を切って盛りつけ、チキンは“名古屋風に”味つけするなど、調理シーンはとってもリズミカル。完成した料理はどれも美味しそうで、風景からも料理からもフランスを感じることができます。
【見どころ③】主人公の仕事に恋に家族との関係……どうなる?
恋人を失い、怪我によりバレエダンサーとしてトップに上り詰める夢を絶たれ、父親とはうまくコミュニケーションが取れずに悩むエリーズ。幼少期からバレエ漬けの日々を過ごしてきたので、他に何をすればいいのかと困惑しますが、友人や新たに出会った人たちからアドバイスに耳を傾けて行動してみる強さがあります。
コンテンポラリー・ダンスとの出会いがエリーズをどう変えるのか、そして新しい恋は生まれるのか? 迫力あるダンスシーンと共に、ラストまで見届けてください。
文/富田夏子
作品情報
『ダンサー イン Paris』
- 9月15日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開中
- 監督:セドリック・クラピッシュ
- 振付・音楽:ホフェッシュ・シェクター
- 出演:マリオン・バルボー、ホフェッシュ・シェクター、ドゥニ・ポダリデス、ミュリエル・ロバン、ピオ・マルマイ、フランソワ・シヴィル、メディ・バキ、、スエリア・ヤクーブ
© 2022 / CE QUI ME MEUT MOTION PICTURE – STUDIOCANAL – FRANCE 2 CINEMA Photo : EMMANUELLE JACOBSON-ROQUES
公式HP : www.dancerinparis.com