色が変わるかき氷に、溶けないアイス……。魔法のようだけど、ちゃんと理由があるんです。太田さちかさんに教わる「サイエンススイーツ」は、どれも子どもと一緒に楽しめる簡単レシピ。夏休みの自由研究や、おうち時間のお楽しみにもおすすめです。
「サイエンススイーツ」とは?
色が変わったり、固まったり、ふくらんだり。まるで科学実験をしているようにワクワクしながらつくることができるお菓子が「サイエンススイーツ」です。お菓子づくりを通して身近なものの性質や、変化を科学的に知ることができるので、自由研究にもぴったりです。
「サイエンススイーツの魅力は、身の回りにあるもので変化を楽しめること。いつもと同じお菓子づくりでも、色の変化や素材の違いを感じながらつくることで、見方が変わります。最後にはみんなで美味しく食べられるのも幸せですよね」
そう言ってレシピを教えてくれるのは、ケーキデザイナーであり、芸術教育士としても活躍している太田さちかさんです。
「例えば色が変化する理由を科学的に知ると、いつもの生活のなかで新しい発見ができることも。またゼラチンは室温だと溶けやすいなどといった素材の特徴を知れば、途中で型崩れを防げることもわかり、キレイに仕上げるのにも役立ちます」
大人も子どもも楽しめるサイエンススイーツづくりに、ぜひ挑戦してみて!
レシピを教えてくれたのは
太田さちかさん
ケーキデザイナー、芸術教育士。日本とフランスで製菓と芸術を学び、子どもとママのためのアトリエ「My little day」を設立。「sachi & cakes」ケーキデザイナー、コラムニストとし ても活躍し、スイーツ関連の著書も多数。
シロップで色が変わる! リトマス試験紙みたいな「カラフルかき氷」
紫いもパウダーを溶かした水を凍らせて、かき氷をつくります。そこにレモン果汁をかけると鮮やかなピンク色に! 重曹水をかけると……?
シロップによってかき氷の色が変わるのは、紫いもに含まれているアントシアニンという色素が、リトマス試験紙と同じ働きをするからです。いろいろなシロップで試してみたくなりますね。
飲みものを層にするには? 混ぜると色が変わる「レインボードリンク」
飲み物が混ざらないで層になるのはどうして? きれいな「レインボードリンク」をつくるコツは、質量の重い液体からグラスに注ぐことにあるんです。
しかもアントシアニンという色素を含むバタフライピーやラベンダーティーを使っているから、レモン汁やオレンジジュースなど酸性のものと混ぜると、鮮やかな色の変化も!
オーブンで焼いても中のアイスはひんやり!「ベイクドアラスカ」
スポンジケーキとアイスクリームをメレンゲで包んで、オーブンで焼いたお菓子が「ベイクドアラスカ」。外のメレンゲはこんがり熱々、中のアイスはひんやり冷たいままという不思議なスイーツです。
ひみつは卵白を泡立てたメレンゲ。空気をたっぷり含んでいるので断熱効果が高く、中のアイスが溶けないんですって。
常温でもとろけにくい!もっちりクリームの「マリトッツォ」
たっぷりの生クリームがおいしいスイーツ、マリトッツォ。でも、生クリームって室温だとゆるくなってしまうことがありますよね。
たんぱく質が豊富なクリームチーズを生クリームに混ぜて泡立てることで、常温でも溶けにくい安定したクリームになります。おいしくって食べやすいもっちりクリームのマリトッツォ、おためしあれ♪
とろとろのゼラチンゼリーで!SNS映え「お空ゼリー」
ゼリー系のお菓子に欠かせない凝固剤には、ゼラチン、アガー、寒天など種類がいろいろ。固まる温度も食感もそれぞれ違います。
20℃まで冷やすと固まるゼラチンは、ふるふるとやわらかい食感。空の水色と雲の白、とろとろのゼリーを2種類つくってグラスに重ねて入れるだけで、まるでお空のよう。
透明なアガー&炭酸水で「しゅわしゅわ水まんじゅう」
海藻などを原料につくられるアガーは、ゼラチンと寒天の中間くらいのやわらかさ。室温で固まり、つるんとして型から外しやすいのが特徴です。
透明度が高いので、水まんじゅうや水ゼリーには最適。炭酸水を使うと、しゅわっとした食感がさわやか!
振っても崩れない新食感!?「硬め派プリン」
海藻が原料の寒天は、ゼラチンやアガーよりも凝固力があって、歯ごたえがあるくらいにしっかりと固まるのが特徴です。そんな寒天を使って、プリンを振っても崩れないスティックスイーツにアレンジしました。
昔ながらの「硬めのプリン」が人気再燃中ですが、プリンは硬めが好きという人はもちろん、そうでない人にも、ぜひ食べてもらいたい新食感です。
宙に浮いているみたいなクリームに注目!「無重力パフェ」
朝のニュース番組でも取り上げられて、話題になったサイエンススイーツがこちら。逆さまにしても落ちないクリームが不思議な「無重力パフェ」です。
実はクリームに見えるのはふわふわに泡立てたメレンゲ(卵白)。空気をたっぷり含んでいるから、軽くて逆さまにしても形が崩れません。グラスに隙間をつくると、まるで宙に浮いているみたい。
重曹とクエン酸を混ぜると……?さわやか「シュワシュワラムネ」
昔からある素朴なおやつのラムネが、手づくりできるって知っていました?
口に入れるとシュワっと溶けて消えてしまう、やさしい甘さ。シュワシュワ食感になる理由は、重曹とクエンさんを混ぜることで発生する二酸化炭素です。まさに科学の実験そのもの!
のんびり食べてもOK!寒天で「 溶けないレインボーアイス」
時間がたっても溶けない不思議なアイス、そのひみつは寒天です。寒天は70℃で溶けるので、常温でもアイスの形をキープ!しかも外側はシャリっと内側はふわっと、2つの食感が楽しめます。食べているうちにアイスが溶けてきちゃいがちな、小さな子にも安心♪
理科に興味を持つきっかけがたくさんの「サイエンススイーツ」。親子で会話も楽しみながらつくってみたいですね。子どもが理科好きになってくれるかもしれません!
※本記事はMartのバックナンバーより再構成しました。
構成・文/Mart編集部