暑い日々が続く中、夏バテ気味という人も多いのではないでしょうか? 食欲はないけれど、きちんとした食事を取らなければと悩んでいる人におすすめなのが、“夏みそ汁”! 1杯でさまざまな栄養素を摂取でき、夏バテ防止に効果抜群なんです。
今年は特に夏バテに注意!
マスクをしているため水分摂取がしづらく、体温が上がりやすい今年の夏。さらにダブル高気圧により、例年よりも酷暑となっています。そしていまはコロナ禍で運動不足になりがち、感染症に対する不安から、メンタル疲労が蓄積されている人も多いようです。運動不足による筋力の低下は、脱水の危険性を高めます。また精神的ストレスによる自律神経や体温コントロールの乱れ、睡眠不足も、夏バテの要因と言われています。
つまり例年よりも夏バテリスクの高い今年は、いつもよりもしっかりと対策や予防をしていく必要があるのです。
みそ汁こそ夏バテ予防の救世主!
そこで夏バテ防止のために、食事に取り入れたいのが「みそ汁」! 済生会横浜市東部病院の谷口英喜先生によると「みそ汁のいいところは、一度に豊富な栄養素が摂取できるところ。豆腐からタンパク質など、必要な栄養素に応じた具材を入れることができます。また発汗で失われた水分、塩分、カリウムを補給でき、大豆にふくまれるビタミンB1がエネルギー代謝を促進。夏バテしにくい体づくりにぴったりです」とのこと。
◆谷口英喜先生(済生会横浜市東部病院 患者支援センター長/栄養部部長)
脱水症・熱中症の専門家。「教えて!『かくれ脱水』委員会」副委員長も務める。著書「熱中症・脱水症に役立つ 経口補水療法ハンドブック 改訂版」「イラストでやさしく解説!「脱水症」と「経口補水液」のすべてがわかる本」など多数。
また管理栄養士・フードコーディネーターの北嶋佳奈さんによると、みそ汁には体を整える下記の4つの効果が期待できるそうです。
【1】腸内環境の改善
みそにふくまれる善玉菌や、具材にふくまれる食物繊維の働きが、腸内環境を整備。自律神経の乱れや、そこから起こる食欲不振を予防します。
【2】 栄養の偏りの改善
夏は冷たいものの摂りすぎにより、胃腸の働きが低下しがち。みそは麹由来の酵素により大豆や米が分解されているため、消化吸収が良いと言われています。温かいみそ汁で胃腸の働きが促され、具材でしっかりと栄養を摂ることも可能です。
【3】 睡眠不足の解消
自律神経が乱れる原因となる睡眠不足。良質な睡眠のためにはメラトニンという神経伝達物質を分泌させることが必要ですが、これの元となるセロトニンは腸内でつくられます。みそ汁で腸内環境を整えることは、快眠につながるのです。
【4】適度な水と塩分の補給
発汗することでミネラル、代謝によりビタミンが体から失われます。みそ汁は水、ミネラル、ビタミンを同時に摂取でき、脱水症状の予防につながります。
おすすめ 冷たい「夏みそ汁」レシピ!
今回おすすめするのは、食欲がない日も食べやすい“冷やしみそ汁”。火を使わず電子レンジで簡単にできて時短、さらにいろいろな食材を手軽に摂ることができます。
【トマトと香味野菜の冷やしみそ汁】
【Point】
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大葉が食欲を促進するので、食欲がないときにもぴったり!
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アリシンを多くふくむ長ねぎが、スタミナ増進に効果的!
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豆腐にふくまれる鉄分が、酵素を前進全身に運び持久力アップ!
【材料(2人分)】
トマト…1/2個
絹ごし豆腐…100g
長ねぎ…5㎝
大葉…2枚(お好みでみょうが1個)
乾燥わかめ…2g
水…200ml
顆粒だし…小さじ1/2
みそ…大さじ1
氷水…200㎖
1. トマトと豆腐をひと口大に切る。長ねぎ、(みょうが)は小口切りにする。大葉は細かくちぎる。
2. 耐熱ボウルに長ねぎ、乾燥わかめ、水、顆粒だしを入れる。ふんわりラップをかけ、600wで3分間、電子レンジで加熱する。
3. 耐熱ボウルにみそを溶き入れ、トマト、豆腐、氷水を加えて混ぜる。器にそそぎ、大葉(とみょうが)をトッピングする。
【キャベツとハムの冷やし豆乳みそ汁】
【Point】
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豆乳がふくむ鉄分が酵素を全身に届けて、持久力を向上!
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ハムにふくまれるタンパク質が筋肉の素になり、脱水も予防!
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水分やカリウムが豊富なコーンで、身体をクールダウン!
【材料(2人分)】
- キャベツ…150g
- ハム…2枚
- コーン…大さじ4
- 水…200㎖
- 顆粒だし…小さじ1/2
- みそ…大さじ1
- 無調整豆乳…150㎖
- 水…適量
1. キャベツをざく切りにする。ハムは6等分の放射線状に切る。
2. 耐熱ボウルにキャベツ、水、顆粒だしを入れる。ふんわりラップをかけ、600wで6分間、電子レンジで加熱する。
3. 耐熱ボウルにみそを溶き入れ、ハム、コーン、豆乳、氷を加えて混ぜ、器にそそぐ。
「夏バテ対策には、栄養の偏りをなくすことが重要! 栄養バランスのとれた夏みそ汁を、気温や体調に合わせて、ときには冷やして取り入れてみてください 、しっかり栄養補給して、暑い日を健康に過ごしましょう」(谷口先生)
取材・文/酒井明子