防災の日を前に、ご自宅の備えについて改めて考えたいという方も多いはず。食材のストックには普段から使うものを非常時の備蓄品にする「ローリングストック法」を試してみてはいかがでしょうか。防災・災害食のプロからのアドバイスをもとに、ローリングストックの基本から応用まで網羅。缶詰などのアレンジレシピは、料理研究家のきじまりゅうたさんにも伺いました。
「ローリングストック」とは?
「ローリングストック」とは、普段の食材を備蓄用も兼ねてストックすることです。缶詰や乾物など日持ちするものを日常的に料理に使って買い足していくことで、日ごろから防災意識を高めるだけでなく、単なる「非常食」として期限切れさせずフードロス削減や節約にもつながります。
Mart 2020年9月号掲載の特集『ゆる備蓄で美味しいローリングストック』では、管理栄養士・防災士・ 災害食専門員の今泉マユ子さんに教えていただいた、無理なく続けられるローリングストック術を掲載。
今泉さんによると、ローリングストックには「いざというときに食べ慣れた食事がとれることが安心材料になる」というメリットもあるそうです。
ローリングストックの量はどれくらい?
さっそくローリングストックを実践したいと思っても、どれくらいの量をローリングストックとして家においておけばいいのか、適正量を知りたいところですね。
政府が「推奨備蓄量」としているのは以下の量になります。
- 自然災害は1週間分
- 新型感染症対策は2週間分
ローリングストックに向いている食材
ローリングストック向きの食材は、比較的長期保存できるものが基本。ストックしやすく日頃から家族が好んで食べているものであれば、消費の回転も良く無駄になりにくいメリットもあります。
主食はあらゆるシーンを想定してバリエーション豊富に
災害時は水が貴重になることも多いので、例えば主食だと、水の使用量を抑えられる無洗米を日常的に選んだり、パックライスを常備したり。水を使わずに食べられる餅やシリアル類もおすすめです。
「そのまま食べられるおかず」は、好みの味のものを
おかず類はそのまま食べられる缶詰やレトルト食品を。最近は種類も豊富です。せっかくだから日ごろから味見がてら食事に取り入れて、お気に入りのものを常備しておきましょう。
「水類」のほか、おやつや調理アイテムも
水は1人あたり1日3リットルを目安に最低3日分はローリングストックしたいところ。4人家族で2リットル入りのペットボトル18本になります。
そのほか、癒しや気分転換のための甘いものや、あると重宝するガスボンベなどもローリングストック目線でストックしておくと安心です。
ローリングストックをつかった料理一覧
ローリングストックで保管しているアイテムは、おなじみの使い方でも美味しいものばかりですが、一工夫でさらに豪華なメニューに大変身することも。常備しずっと使い続けるからこそ、日ごろの食事ではアレンジメニューも楽しんでみましょう。
パスタソース
パスタソースのアレンジレシピも今泉さん直伝です。「あえるパスタソースたらこ(キユーピー)」をポテトサラダにプラスすることで、ちょっと豪華な「たらもサラダ」に。たらこを準備する手間が省けるのも嬉しいですね。
缶詰(サバ缶編)
缶詰レシピは、「味変メソッド」でおなじみのきじまりゅうたさんに教えてもらいました。
サバ缶と冷凍フライドポテトを合わせトマトジュースで味付けし粉チーズで仕上げた「サバ缶と冷凍ポテトのトマト煮」は、簡単だけど美味しく、子どもも大喜びのアレンジメニューです。
缶詰(ツナ缶編)
ローリングストックを意識せずとも常備して繰り返し購入している方が多いであろうツナ缶は、日ごろから「ツナ缶グラタン」でいつものご飯にバリエーションを持たせてみては?
電子レンジとトースターだけで火をつかわずにできてしまう簡単レシピをきじまりゅうたさんが教えてくれました。
「ツナと冷凍ブロッコリーのコチュジャンチーズグラタン」。いつもとはちょっと違った味を楽しみたい日にもぴったりです。
味噌とマヨネーズに調味料を変えれば、お子様が大好きな味の「ツナと冷凍ブロッコリーの味噌マヨグラタン」に。
乾物(切り干し大根編)
ついついいつも同じ味付けにしてしまいがちな切り干し大根は、乾燥わかめと一緒にナムルに大変身!「切り干しとわかめのごまナムル」をつくってみましょう。
乾物(ひじき編)
ひじきもローリングストックしやすい乾物代表の1つです。マヨネーズとゴマでひじきとキャベツをあえて優しい味に仕上げた「ひじきごまマヨコールスロー」や、ケチャップとタバスコで味変すればあっというまに大人の味になる「ひじきのオーロラコールスロー」をご紹介。
おいしく食べて、いざというときに備えましょう
日々アレンジメニューなどで工夫しながら、少しずつ消費→買い足しを繰り返すローリングストックを行うことで、災害時にも慌てずに安心して普段と変わらない食生活を送ることができます。ご紹介した内容を参考に、ぜひご自分なりのローリングストックのラインナップを考えてみてくださいね。
※本記事はMartのバックナンバーより再構成しました。
※掲載商品は取材時点のものであり、現在お取り扱いしていない場合があります。
構成/Mart編集部 文/松本果歩