こんにちは!
WEEKENDERのSOLAが紅葉真っ盛りの山梨からお届けします。
私事ですが、この11月、私たち一家が東京から移住してきてちょうど9年になります。2回目のブログでは、移住を決断したきっかけや、暮らし・子育てのリアルにふれてみたいと思います。
都会育ち夫婦、迷った末の移住の決め手は
娘が生まれて、6ヶ月めの秋でした。都内の駅近マンションから、田んぼやぶどう畑しかない地域の一軒家へ。暮らしを大きく変えたのはそのほんの1ヶ月前、八ヶ岳への旅行でした。
夫婦共に都会育ちですが、休みの日はいつも自然や絶景を求めて田舎を旅していました。
元々、バリバリのアウトドア派夫婦ってわけでもないんですが、つきあって初めてのクリスマス旅行に向けて、夫がおもむろにシュラフを買っていて(笑)。それは一体どういう旅ですかという感じでしたけど…(そこから、なんとなく屋外に生息する率が高まっていったような気もします)。
そんな私たちは、東京といっても比較的のんびりした郊外に住んでいました。
でも当時、震災や原発事故の影響、生活や食べ物に関する漠然とした不安や情報に囲まれて、都市生活はスマートで便利である反面、そのシステム上に生きる生命として脆さも感じていました。
週末の度に訪れる山梨や伊豆で、淡々と季節を刻む山々や、黙々と畑を耕す人を見ていて、もっと実体の見える、手触りのある生活がしたいという思いは強くなっていきました。ただ、0歳児もいるし、やっぱり東京の方が仕事しやすいし……と、あと一歩が踏み切れず。
そうして漠然と移住に憧れていたある日、たまたま秋に山梨を旅行した時、軽いノリで甲府の不動産屋さんをのぞいたら、「これ、昨日入ったばかりです」と、とある賃貸物件を紹介されて。
山梨ではレアな、一戸建てだったんです。勧められるまま現地を見せてもらったら、八ヶ岳に南アルプス、富士山を望む、とても美しい場所でした。
大家さんも移住者で話しやすく、広い畑や農機具まで使っていいよと。
旅行中に夫婦で議論を重ねながらもワクワクの方が膨らんで、勢いのままに旅の最終日、申し込んで帰りました!
賃貸だから、だめなら戻ればいいし、ピーンと来たならとにかく進んでみようって。そして1ヶ月後には、赤ん坊をおぶってあぜ道を歩いていました。
いざ、田舎暮らしのスタート!ご近所付き合いのリアルは?
引っ越したのは11月だったのですが、初めての朝、その土地の美しさに衝撃を受けました。
カーテンを開けると、朝日に染まる山々、黄金色の紅葉、キリッと雪化粧をした富士山。窓から流れ込む澄んだ空気、小鳥たちの声。これまで、旅行先やリゾートに求めていた幸せが、これから日常になるのかと思うと、他に何もなくとも贅沢に感じました。
よく移住前に抱く不安として「田舎独特のコミュニティになじめるか」という事があると思うのですが、私たちも当初は同じように思っていました。しかも、周りは農家さんばかりの古くからの集落でしたから。
でも、実際に村の集会に初参加してみると、何のことはない皆さん暖かく、小さい子どもがいたことも幸いして、とても歓迎されました。よちよち歩きと散歩していると「これ持ってけしー」と農産物やお花を頂いたり、縁側に毎日どなたかが野菜を置いてくれてたり。
逆に、都会から来た私たちにできること、お返しできるものは?と、いつも考えてましたがなかなか価値のあるものが思いつかなくて…。その時に改めて、自然と共に生き、生産する人の豊かさを感じました(同時に、お金で買うことしかできない自分の非力さも)。
地域清掃や行事、無尽(山梨特有の寄合と共済の仕組み)などは、積極的に参加することでいろんな異文化・異世代ギャップも味わえて楽しかったです。
そうした田舎的な近所付き合いの濃厚さをどう捉えるかは人それぞれだと思いますが、少なくとも私にとっては、恐れていた疎外感も圧迫感も全く感じませんでした。
むしろ、災害や、困った時にも近隣に助け合える人たちがいて、畑の作物も保存食もある。キャンプもそうですが、自然に近い暮らしは日常的に備えがあるような状態。この安心感には大きな価値があって、日めくりの絶景と共に、暮らしを心の底からゆったりさせてくれました。
生き方にも多様性と自由を感じられる町
ここ甲府のように、経済中心部〜住宅地〜里山〜大自然と、わずか20分走れば景色が一変するコンパクトな地域では、いろんな人生が同じ生活圏で交差するのが面白いです。
例えば朝の幼稚園には、スーツの会社員パパもいれば、山奥で鹿の罠を仕掛けてきた猟師さんも。味噌に野菜はもちろん、食卓のほぼ全てを手作りしちゃうカントリーなマアムもいれば、家事は外注してバリバリ仕事に打ち込むママもいます。
いろんな価値観を持つ大人が輪になって子どもたちの幸せを考え、子どもはそんな大人たちに囲まれて視野広く育っているように思います。
移住当時0歳だった娘が小学生になった今、あの旅の日、勢いで踏み出してよかったと心から感じます。移住前に握りしめていた価値観・ポジションからは確かに離れましたが、それ以上の豊かなものに今は囲まれていると。
これからも子どもの成長や時代と共に、一人の人間としても、親としても、より自由に変化を楽しんでいきたいです。