「骨盤底筋がゆるむと不調が出やすくなるって本当?」「更年期の不調には、骨盤底筋のゆるみも関係しているの?」
骨盤底筋とは骨盤の底にある筋肉のこと。加齢や出産などの影響で骨盤底筋が衰えると、更年期・プレ更年期の不調をより悪化させる原因にもなりうるので注意が必要です。今回は、更年期・プレ更年期に備えるための骨盤底筋ケアについて解説します。
更年期・プレ更年期への備えは「骨盤底筋」から
骨盤底筋は「骨盤底筋群」とも呼ばれ、骨盤のなかにある子宮や膀胱などの臓器を正しい位置に保っている筋肉のことです。衰えてゆるんでしまうと、卵巣機能が低下しやすくなったり、膀胱が下がって尿漏れしやすくなったりとさまざまなトラブルの原因になるため要注意。そのため、更年期・プレ更年期になる前から骨盤底筋を鍛えておくとよいとされています。
骨盤底筋を鍛えるメリット
骨盤底筋を鍛えると、骨盤底筋のゆるみがもたらす不調を軽減することができます。たとえば、尿漏れや急にトイレに行きたくなるなどの症状は、骨盤底筋を鍛えることで改善が期待できます。
なお、40代ごろからの排尿トラブルには、骨盤底筋の筋力低下だけでなく女性ホルモンの分泌低下も大きく関わっています。女性ホルモンの分泌が減ると外陰や膣が萎縮して、GMS(閉経関連尿路生殖器症候群)という不調が出やすくなるのです。膣の潤い不足や乾燥、頻尿や尿漏れなどの排尿トラブルは、GMSの代表的な症状といわれています。
更年期・プレ更年期の女性ホルモンの減少は避けがたいものですが、骨盤底筋のケアは自分の意思ですぐ行うことができます。さっそく、骨盤底筋をケアしていきましょう。
今すぐ始めたい!骨盤底筋ケア
骨盤低筋トレーニング
骨盤底筋トレーニングは、骨盤底筋を鍛えるうえでとり入れたい習慣です。全身の力を抜いてから、膣と肛門をきゅっと引き締め、5秒ほどキープしましょう。
毎日20~50回ほどくり返します。簡単なので、すきま時間に手軽にできますよ。
姿勢の改善
骨盤底筋トレーニングと併せて習慣化したいのが、姿勢をよくすること。背中を丸めた猫背の姿勢だと、内臓が押しつぶされて骨盤底筋に負担がかかります。
骨盤底筋に過剰な負担をかけないためにも、正しい姿勢を意識しましょう。
骨盤底筋トレーニンググッズの活用
骨盤底筋や膣を鍛えるグッズも多数販売されています。脚の間にはさんで鍛えるグッズのほか、膣を引き締める感覚が掴みやすくなるといわれているインナーボールなどさまざまな種類があります。
更年期やプレ更年期の悩みには漢方も有効
更年期・プレ更年期の女性ホルモン減少による不調には、漢方薬もおすすめです。
女性ホルモンには膀胱や膣を活性化させる働きがあります。更年期・プレ更年期は、この女性ホルモンが減少することで、尿漏れや頻尿などが起こりやすくなるのです。
その他にも、
・加齢による腹筋や膀胱の筋力の低下やストレス
・過剰な排泄を抑える働きの低下
などにより、尿漏れや頻尿が生じると考えられています。
更年期の尿漏れや頻尿対策には、
・膀胱の機能を正常化させる
・ゆるんだ筋肉を引き締める
加えて、根本から改善するために
・ホルモンバランスの乱れを整える
・自律神経の乱れを整え、排尿のコントロールを改善する
などの作用がある生薬を含む漢方薬から選びます。
漢方薬は自然の生薬の組み合わせで作られており、尿漏れや頻尿などの症状を改善するだけでなく、心と体のバランスを回復させるという特徴があります。そのため、さまざまな不調を訴える更年期女性に対して、とくに有効とされています。
日々の骨盤底筋ケアと併せて、漢方薬でからだの内側からケアする習慣を始めませんか?
更年期の膀胱や膣のトラブルにおすすめの漢方薬
八味地黄丸(はちみじおうがん):疲れやすくて、手足が冷えやすいなどの症状がある人に用いられます。からだ全体をあたため、泌尿器・生殖器系の働きを改善します。
【第2類医薬品】クラシエ薬品 ベルアベトン (240錠)
補中益気湯(ほちゅうえっきとう):胃腸の働きが衰え、強い倦怠感のある人などに用いられます。倦怠感やだるさの他にも、内臓下垂にも働きかけます。
【第2類医薬品】クラシエ薬品 補中益気湯エキス錠 (48錠)
漢方薬選びの大切なポイントは、その人の状態や体質に適したものを選ぶこと。うまく合っていないと十分な効果を得られず、場合によっては副作用が起きることもあるので注意しましょう。
自分に適した漢方薬を見極めるのはなかなか難しいものですが、最近は「あんしん漢方」などのAIを活用したオンライン相談サービスもあるので、相談してみると安心ですよ。漢方薬のプロがAI(人工知能)を活用して、効く漢方薬を見極めて自宅まで郵送してくれる「オンライン個別相談」が話題です。
更年期・プレ更年期は、女性ホルモンの減少によって膣や膀胱などのトラブルが起きやすくなります。加えて、加齢などの影響で骨盤底筋がゆるむと、これらのトラブルが悪化しやすくなるため注意が必要です。日頃から意識的に骨盤底筋トレーニングなどを行い、骨盤底筋のゆるみを防いでいきましょう。
更年期などの不調には、漢方薬でからだの内側から対処するのもおすすめです。専門家に気軽に相談してみてくださいね。
<この記事を書いた人>
薬剤師 竹田由子
大学院で臨床薬学を専攻、病院で10年勤務、結婚後は調剤薬局勤務、ライターとしての活動も始める。腎機能低下を機に、月経痛への鎮痛剤使用量を漢方で減量成功した経験がある。元漢方・生薬認定薬剤師で薬膳漢方マイスター。「日常の不調はまず漢方」をモットーに生活を送る。病院時代の長いDI経験を生かし、薬の面から分かり易くサポートしたいと考えている。