「春になると自分の体臭が気になり始める」「制汗スプレーがこの時期から手放せない」毎年春がくるたびに、このような悩みでお困りの人はいませんか?デオドラントでケアすることに加え、からだの根本から体臭を改善する方法が漢方にはあります。
春は体臭が強くなるって本当?
春の体臭の原因の多くは質の悪い汗です。意外かもしれませんが、夏にかく汗よりも春の汗の方がニオイが強く、ベトベトした質の悪い汗だといわれています。
その理由は次の2点です。
1.冬の寒さで汗腺機能が低下
冬は汗をかくことが少ないため、冬の間に汗腺の機能が低下しています。汗腺の役割は体温調整に必要な汗を体外へ放出するほかに、汗に含まれる必要な栄養素を再吸収することです。
この栄養素の1つであるミネラルが汗腺によってうまく再吸収されないと、汗の中のミネラル濃度が高まります。ニオイの原因は、汗に含まれるこの濃度の高まったミネラルだといわれています。
寒い冬から季節が変わり、春の暖かさで汗をかくと、衰えた汗腺はベトベトしたニオイの強い汗を放つことになるのです。
2.生活環境が体臭に影響する
春新たな生活を始めたばかりの人が多く、そういった人たちにとって生活環境が大きく変わる季節。緊張やストレスを感じると、ワキの下や手のひら、足の裏に汗を大量にかきやすくなります。
これらの汗は通気性も悪く、強いニオイが服や靴にこもる傾向があり、ニオイの悪循環を招くことになるのです。
体臭には根本からアプローチできる漢方もおすすめ
ニオイをカバーするために、デオドラントのほか、香りづけのコロンやパフュームなどもよく使われます。しかし、香りが強すぎたり、外出先で使用するタイミングがつくれなかったり、時間が経つと効果が薄れてしまったりと、体臭対策には不向きなことも。
体臭の悩みにはニオイをごまかさず、からだの内部から改善してしまうのが、実は1番手っ取り早いのです。体質改善におすすめなのが漢方。漢方はからだの内側からアプローチすることで、イヤなニオイを生じにくい体質に変えてくれます。
漢方医学において体臭は、血液や水分の巡りが悪くなることで起きると考えられます。そこで漢方では、体内の余分な老廃物を排出することなどで体臭を改善していくのです。
春の体臭の原因となる汗には、大きく分けて次の3つの症状が関連します。それでは、それぞれの症状を漢方ではどのように考えるか解説していきます。
1.多汗症
多汗症は発汗が過剰になったものをいいます。漢方では多汗症の原因のひとつを、からだのエネルギーである「気(き)」の不足であると考えます。
「気」には水分が体表から漏れ出るのを防ぐ役割もあるので、「気」が不足すると体内に保っておくべき水分が、汗としてダラダラと必要以上に漏れ出てしまいます。
2.腋臭(えきしゅう)
腋臭は体臭が過剰または異常になった状態のうち、とくにワキからのニオイが強いものをいい、一般的には「ワキガ」と呼ばれています。
腋臭の原因はさまざまですが、漢方でよく考えられるのは、体内にこもってしまった悪い湿気と熱が融合した「湿熱(しつねつ)」です。「湿熱」がワキから体外に漏れ出て強いニオイを発すると、腋臭として症状にあらわれます。
3.ほてりからくる発汗
女性に多いほてりとして、ホットフラッシュがあります。ホットフラッシュは更年期のホルモンバランスの変化による不調のひとつで、上半身のほてりから大量に発汗するケースがあります。
ホットフラッシュはホルモンバランスの乱れが原因となるほか、漢方では「肝」と「腎」が原因であるとも考えます。
3つのタイプ別!漢方による内側からの体臭ケア
漢方では悩みに対して直接的な原因を探るだけでなく、一見関係ないと思われるような不調もヒントに、その人の体質や生活環境に合った方法を選択していきます。漢方薬の選択も、こうした漢方独特の考え方に基づいています。
それぞれの症状別に、よく使われる漢方薬の例を紹介します。
1.多汗症
ダラダラと止まらない汗には、体表の「気」を補って汗の漏れを防ぐ漢方薬を使います。
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- 主な症状:動くとすぐ汗をかく、風邪をひきやすい、疲れやすい、顔が青白い、など
- 漢方薬:防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)、玉屏風散(ぎょくへいふうさん)
2.腋臭(えきしゅう)
「湿熱」が原因の腋臭には、「湿熱」を除去するものを選びます。
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- 主な症状:むくみやすい、ストレスが多い、湿疹がでやすい、排尿にトラブルがある、など
- 漢方薬:竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)、茵蔯五苓散 (いんちんごれいさん)
3.ほてりからくる発汗
更年期のホットフラッシュが原因の発汗には、「肝」と「腎」の働きを補う漢方薬で症状を落ち着かせます。
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- 主な症状:寝汗をよくかく、てのひらや足の裏が熱く感じる、など
- 漢方薬:加味逍遙散(かみしょうようさん)、六味地黄丸(ろくみじおうがん)
自分に合った漢方薬を選ぶには
このように、漢方薬を選ぶ際は「体臭」という症状だけに着目するのではありません。ほかに感じる不調に加え、ご自身の生活環境や背景、体質などといった情報もあわせて、からだ全体のバランスを総合的にみていくのです。
つまり漢方薬は、ご自身に合ったものを使用することではじめて十分な効果がみられるといえます。その人に最適な生薬の組み合わせでないと効果がでないだけでなく、副作用が起こる場合も。とはいえ、たくさんの漢方薬のなかからどれが自分に合ったものか見極めるのはとても難しく感じますよね。そのような場合は、漢方に精通した薬剤師に相談するという手もあります。
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春の体臭対策に、漢方にチャレンジしてみてはいかがでしょう
「春」というだけでなんだかウキウキするものですが、からだからイヤなニオイが出ていると、せっかくのウキウキ気分も下がってしまったり、周りの人を不快な気持ちにさせてしまったりするかもしれません
専門家の選ぶ漢方で内側からのケアも取り入れて、体臭で悩まないからだを目指してみてはいかがでしょうか。
<この記事を書いた人>
あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師 篠原明宏
薬剤師。東京薬科大学卒業。大学院にて子宮内膜症の研究に携わり修士課程を取得。その後、中国の上海中医薬大学に留学し本場の中医学を肌で学ぶ。帰国後は保険調剤薬局にて管理職、役員を経験。最新医療の知識と伝統的な東洋医学の多方面から患者様の現状にあった健康サポート提案を得意とする。
現在は、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選びお手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」でも情報発信をしている。
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