40代になり、自律神経の乱れが気になります。【高尾美穂先生のお悩み処方箋】

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産婦人科医の高尾美穂先生が、Mart読者世代である30~40代女性の人には言いづらいお悩みに優しくアドバイス!第7回の前編は、自律神経の乱れについてです!


教えてくれたのは
高尾美穂先生
産婦人科専門医・婦人科スポーツドクター・ ヨガ講師。産婦人科専門医として、女性の健 康をサポートしつつ、それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った治療を提案す る一方、スポーツドクターとして、女性のプロアスリートへのサポートも行っている。

【相談テーマ】体は疲れていても気持ちが高ぶって寝付けません

Oさん
相談者:Oさん(40歳)
14歳(中3)、13歳(中1)の母
東京都在住
専業主婦

交感神経が優位になりすぎると体に影響が!

Oさん:40歳になったくらいの頃から、昼間に疲れたりストレスを感じたりした日は、体は疲れているのに夜に気持ちが高ぶってしまい、ソワソワして寝付けないことがあります。これは、自律神経が乱れているということなんでしょうか?

高尾先生:人間には緊張しているときや活動するときに働く「交感神経」と、リラックスしている時に働く「副交感神経」があります。「自律神経が乱れている」というのは、かみ砕くと「日常的に交感神経が優位になりすぎている」ということです。

Oさん:なるほど。

高尾先生:もともと人の体は、「普段は副交感神経が優位で、たまに交感神経が優位になる」というリズムが想定されています。それが現代社会では逆になり、基本的に交感神経が優位な状況で、たまに副交感神経が優位になる、というリズムになってしまうのが問題なのです。

Oさん:どんなことが問題になるんですか?

高尾先生:臓器の多くは、交感神経もしくは副交感神経のどちらかが優位なときに働くようになっているため、臓器の働きやコンディションに影響してしまうからです。

Oさん:私は交感神経が優位になりすぎているということですか?

高尾先生:そうですね。その可能性が高いと思われます。そういう状態の人は、意識してリラックスすることが大事ですよ。

Oさん:具体的にはどんなことをすればよいのでしょうか?ウォーキングやジョギング、フラメンコなどの運動が趣味なのですが……。

高尾先生:運動はいいですよ。運動することによって交感神経が一時的に優位になりますが、運動後は副交感神経が優位な状態になるので。体を動かした後のスッとした気持ちよさをぜひ味わってください。

Oさん:それを聞いてほっとしました。

高尾先生:ただ、「運動がいい」とあまりに頑張りすぎると、それはそれでストレスになるので無理のない範囲で楽しんでくださいね。難しいところですが、「運動しないと」とか、「リラックスしないと」などと思いすぎるのもよくありません。

自分を解放できる方法をいくつか持っておいて

Oさん:テレビや動画などを見てくつろぐのでもリラックスに入るのでしょうか?

高尾先生:テレビや動画は目と耳など、複数の器官から入ってくる情報を処理しなくてはいけないので、実は人間にとっては少し負荷が高いんです。リラックスをしたいのであれば、絵画を見る、音楽を聴くなど、インプットは1つに絞るといいですね。

Oさん:なるほど。先生は毎日お忙しいと思うのですが、どうやってリラックスをしているか伺ってもいいですか?

高尾先生:私ですか(笑)。日常でいえば飼い猫と遊んだり、ゴロッと寝転びながら本を読んだりですかね。ゴロゴロしながら本を読むのは、机でよい姿勢で読むのとはまた違うんですよね。Oさんも自分を解放できる方法を複数持っておくといいですね。

Oさん:そうなんですね。実は、気圧が下がる日は特に自律神経が乱れがちで、冷えがひどくなったりします。そんなときは、夫に頼んでお灸をしてもらい、体を温めたりしています。こういう方法もいいんですか?

高尾先生:気圧の変化で不調になるという方も一定数いますが、これは血流が悪くなることによる不調と考えられており、一概に自律神経の不調と説明することはできません。ただ気圧変化による不調の改善策も、リラックス方法と同様に自分に効く方法を複数持っていることは大事ですよ。セルフケアだけでなく、人の手を借りるマッサージなども不調改善策やリラックス法のメニューに入れておくといいですね。

【高尾先生の処方箋】リラックスするためにできること

1:運動後は副交感神経が優位に。体を動かした後のスッキリ感を味わって。
2:絵画鑑賞、音楽鑑賞、読書など、インプットは1つに絞る。
3:自分に合ったリラックスメニューを複数持っておく。

後編は、40代の体の変化についてです。ぜひご覧ください。

後編はこちら

撮影/中林 香 取材・文/須賀華子 編集/倉澤真由美

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