梅雨明けしてすぐのこの猛暑! 暑さで「熱中症」になるのが心配ですね。実は、2020年の夏に熱中症で搬送された人は、全国で6万人を超えました。今年の夏もマスクをする生活が続くわけですから、体温が上がりやすくなる危険があります。今回は、「熱中症かも?」と思ったときの症状はどんなものか?、またその対処法と、ならないための予防策を見ていきましょう。
【熱中症とは?】
人間は体を動かすことで、体内に熱がつくられます。通常は、汗の蒸発による気化熱や、皮膚から逃がすことで、体温が上がらないように調節されるのです。しかし気温や湿度が高い中で体を動かすと、熱をうまく逃がすことができない場合があります。そのような状態のまま熱が体内にたまり体温が上昇し続けると、熱中症が引き起こされるのです。
【熱中症の症状】
熱中症になると、下記のような症状がでやすいと言われています。
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めまいや顔のほてり
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筋肉痛や筋肉のけいれん
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体のだるさや吐き気
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汗のかきかたがおかしい
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体温が高い、皮膚の異常
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呼びかけに反応しない、まっすぐ歩けない
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水分補給ができない
このようなサインが見られたら、熱中症である可能性が高いです。そのときは涼しい場所に移動する、衣服を脱がし体を冷やして体温を下げる、塩分や水分を補給するなどの応急処置をとり、症状が改善しなければ、すぐに医療機関で診てもらうことが必要です。
熱中症の症状については、日本気象協会推進「熱中症ゼロへ」プロジェクト公式サイトでも詳しく知ることができます。(熱中症の症状: https://www.netsuzero.jp/learning/le01)
【もしも熱中症になったら!知っておきたい「応急処置」】
気をつけていても「もしかして熱中症かも?」と思ったら、すぐに応急処置を行い、回復しなければ医療機関に行くことが必要です。
上記のように熱中症の疑いがある場合は、まずは声をかけて意識を確認。意識がなければすぐに救急車を呼びます。意識がある場合は、まず涼しい場所へ移動。衣服を脱がし体温を下げ、塩分や水分補給を行いましょう。
【外出先でのクールダウン】
外出先で暑いと感じたら、肌温度を下げることも予防には大切! 水場が近くにあるとは限らないので、体を冷やせるものを持っていると安心です。それでも症状が改善しない場合は、すぐに医療機関に相談を! 救急車を待っている間にも、応急処置をして悪化を防ぐようにしてください。
熱中症は放置すると、命の危険に関わることもあります。「たいしたこはない」と甘く考えず、しっかりと判断できるようにしてくださいね。
■「熱中症ゼロへ」プロジェクト公式サイト:https://www.netsuzero.jp/
【熱中症の予防対策】
気を付けよう!熱中症は屋外だけでなく屋内でもなる!
熱中症は屋外でなりやすいイメージですが、実は昨年に搬送された人の40%以上は、住居(庭も含む)で熱中症にかかりました。たとえ屋内であっても、気温や湿度が高い、日差しが強い、エアコンがない、閉め切った環境などの場合は注意が必要。また同じ環境下でも高齢者や乳幼児は、より熱中症になりやすいです。
実は救急搬送者数トップ!「室内熱中症」
室内は日差しを直接浴びないため、「熱中症になるわけがない……」とついつい油断しがち! しかし総務省消防庁によると、2017〜2020年の熱中症のうち、約3〜4割が敷地内のすべての場所を含む住居で起こっているのです。原因としては
- 部屋の風通しが悪く室温や湿度が高い
- 水分補給をしていない
- 夜間に冷房を使わずに気温が上がった
- 屋外で活動後に体を冷やすことができなかった
などが挙げられます。特に火を使うキッチン、冷房のない部屋、汗をかきやすい入浴時、夜間に室温が上がりやすい睡眠時、庭やベランダでの作業時は注意が必要です。
【室内熱中症を防ぐためにやるべきこと】
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温度や湿度を気にする
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エアコンなどで室温を適切に保つ
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こまめな水分、適切な塩分補給
を心がけましょう。「室内はエアコンなどの冷房器具を使って涼しくするようにしてください。エアコン使用の目安になる室温は28度です。夜間は外気温が下がっても、室温が高いままの場合も。寝ている間に脱水が進むと、熱中症になることもあるので、寝室に熱がこもらないようにしましょう」(日本気象協会「熱中症ゼロへ」プロジェクト)。
【注意していても、より対策をしたい運動時】
運動時は熱中症にならないよう、特に気をつけている人も多いはずです。運動時は体が熱を発して熱中症になる危険がより高くなるため、運動の仕方や水分補給には注意が必要となります。
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環境条件に応じて運動の強度や運動時間を調節する
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水分補給や塩分補給をこまめに行う
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吸湿性や通気性のいい素材の衣服を選ぶ
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屋外では帽子をかぶる
特に体が暑さに慣れていない梅雨や夏のはじめ、湿度が高く風の弱い蒸し暑い日は要注意! 体調が優れないときも、無理をしないようにしましょう。
*この記事はバックナンバーを再構成したものです。
取材・文/酒井明子