「不安なウィズコロナ時代を生き抜くには、毎日の食事がいちばん大切! 体の内面から免疫や心の状態を整えましょう」と言うのは、"食薬習慣"を提唱する漢方薬剤師の大久保 愛さん。「薬膳」と聞くと、どうしても難しいイメージがありますが、珍しい食材も専門的な知識も必要なし。日々のスーパーでの買い物中、ほんの少し食薬を意識するだけでOK! ゆる~い気持ちで、薬膳デビューしてみませんか♪
食材を意識すれば、コロナも秋の不調も“怖くない!”
猛暑による疲れや自粛生活での運動不足、台風などによる激しい気圧変化の影響で自律神経は乱れ、秋は体調を崩しがち。そのまま不調を見過ごすと、大きな病気につながるリスクも。ただ、気候的には落ち着くので、体調を整えるチャンスでもあります。大切なのは、まず自分自身の体に目を向けること。今自分のどこが弱っているのか、どんな不調を感じているのかということに素直に向き合ってみてください。
薬膳とは言葉のとおり、「薬になるごはん」。決して特別なものではなく、スーパーで簡単に手に入る“いつもの食材”で大丈夫。「こんなときにはこれを食べるといい」ということを少し知っておくだけで、これから起きるかもしれない病気の予防につながります。
教えてくれたのは……
大久保 愛さん
薬剤師、国際中医師、国際中医美容師。漢方カウンセラーとして年間2000人以上の悩みに応えた実績をもつ。近著に五感と食薬を融合した『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典』 (KADOKAWA・¥1,500)が発売中。
これだけでOK!「イージー薬膳」基本の3カ条
【1】毎食、温かい飲み物を取り入れる
冷たい飲み物は内臓を直接冷やすので、血行や代謝が悪くなります。消化酵素の働きも低下して、便秘や下痢の原因に。できるだけ毎食、温かい汁物やお茶を飲み、内臓冷えを防ぎましょう。
【2】調味料こそ、いいものを使う!
塩……天然塩
しょうゆ……本醸造
糖……オリゴ糖
酢……醸造酢
みりん……本みりん
味噌……天然醸造
毎食使うものだからこそ、調味料にはこだわりたい。添加物が入った調味料や人工甘味料は、栄養が摂取できないものや心身に悪影響を及ぼすものも。体にやさしい調味料を使うと味覚と胃腸が整って、心も体も健康に向かいます。
写真は大久保さん愛用の調味料。甘みは砂糖ではなくオリゴ糖を使用。塩は天然塩、味噌やしょうゆ、酢はしっかり発酵させたもの、みりんは本格焼酎を熟成させた本みりんを選びましょう。
【3】スーパーに行ったら必ず買いたい! 最強薬膳食材はこの5つ‼
スーパーに行ったら、買っておくべき最強薬膳食材が、サバ缶、まいたけ、長芋、玉ねぎ、大葉の5つ。ビタミンやミネラル、カリウムなど免疫機能を高めてくれる栄養素を含み、エイジングケア効果や腸活への効果も期待できる優秀食材です。
【サバ缶】免疫機能を調整するビタミンDや、睡眠の質を高めるオメガ3やミネラルがたっぷり。生のサバと比べ、骨や皮の栄養もまるごととれるのが缶詰の利点です。
【まいたけ】キノコの中で、まいたけだけに含まれる多糖体が免疫細胞を活性化。カリウムや鉄などのミネラルや食物繊維、ビタミンも豊富な近年注目の食材です。
【長いも】ネバネバ成分が胃粘膜を守り、豊富な消化酵素が胃痛や胃もたれを改善します。さらに抗ウイルス作用、エイジングケア効果も期待できます。
【玉ねぎ】抗酸化作用の強いケルセチンや辛味成分アリシンが免疫力を強化。善玉菌のエサになるオリゴ糖を多く含み、腸活食材としても活躍します。
【大葉】細胞膜を修復するβカロテンが豊富。爽やかな香り成分には高い殺菌効果があり、消化を促します。ストレス軽減の漢方薬にも使用。
Mart2020年10月号
スーパーの食材で「イージー薬膳」はじめよう! より
撮影/長谷川 潤 フードスタイリング/佐々木のぞ美 取材・文/森本奈穂子 構成/富田夏子