睡眠中のいびきや歯ぎしりは、人に聞かれると恥ずかしいものです。しかし、寝ているときのことは、自分ではなかなか気づけないため困りものですよね。一方で、「しっかり眠ったはずなのに寝足りない」「朝起きるとあごや歯に痛みがある」などの不調がある人は、いびき・歯ぎしりによってからだに負担がかかっている可能性があるので注意が必要です。今回は、睡眠中のいびき・歯ぎしりの原因や対処法について解説します。
いびきや歯ぎしりで悩んでいませんか?
「友人との旅行は楽しみだけど、いびきや歯ぎしりを聞かれてしまったら恥ずかしい」
「パートナーの実家へ行く予定があるけれど、いびきや歯ぎしりが不安……」
そんなの悩みを持つ人は多いようです。せっかくの旅行やお泊りイベントも、睡眠中の不安があると楽しみが半減してしまいますよね。いびきや歯ぎしりには、自分で簡単にできる対処法があります。ぜひ押さえておきましょう。
いびきの原因と対処法
いびきの原因
いびきは、睡眠中にのど周りの筋肉が緩んで、のどが狭くなることで起こります。いびきの正体は、息を吸うときに狭い部分を空気が通るときに発生する、のどの振動音です。あごが小さい人や肥満の人は、いびきが出やすいといわれています。
また、ストレスや疲労がたまると入眠時に筋肉が緩みやすくなり、のど周りの筋肉も緩んでいびきが多くなる可能性があります。
いびきの対処法
軽いいびきは、横向きで眠ると軽減できる場合があります。また、飲酒をするといびきが出やすくなるため、いびき予防のためにお酒を控えるのもいいでしょう。
慢性的にいびきをかいている場合には、睡眠時無呼吸症候群などの病気が背景にある場合もあるため注意が必要です。いびきを何度も人に指摘されるようなときは、病院を受診することをおすすめします。
今夜から自分でできること
- 横向きで眠る
- お酒を控える
歯ぎしりの原因と対処法
歯ぎしりの原因
歯ぎしりは、眠りが浅いときに頬の筋肉が力むと起こります。飲酒や喫煙、カフェインの摂取やストレスなどが原因で眠りが浅くなると、歯ぎしりが出やすくなる場合があります。
歯ぎしりの対処法
飲酒や喫煙、カフェインなどを控えて睡眠の質をよくすることが、歯ぎしり対策におすすめです。ストレスで歯ぎしりが悪化する場合もあるため、ストレス解消を心がけるのもいいでしょう。
なお、歯ぎしりを放置すると歯やあごに負担がかかり、噛み合わせが悪くなるなどのトラブルにつながります。歯科を受診して自分の歯に合わせたマウスピースを作ってもらうと、噛み合わせを調整することができます。
今夜から自分でできること
- 睡眠の質をよくする
- ストレス解消を心がける
歯ぎしりに認められた漢方も
「いびきや歯ぎしりをからだの内側から改善したい!」
そんな人には、漢方薬もおすすめです。
漢方薬のなかには、「歯ぎしり」に効果が認められているものもあります。歯ぎしりの改善には、「自律神経を整えることで睡眠の質を上げ、無意識の食いしばりを改善する」「ストレスによる歯ぎしりを防ぐ」といった生薬を含む漢方薬が選ばれます。
また、いびきに対して、臨床データで漢方薬の効果を証明している論文も多く出ています。たとえば、竹迫賢一氏らが日本東洋医学雑誌(44巻1993-1994 1号)で発表した論文によると、柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)に、いびきに対する治療効果が認められたとしています。
そのほかにも、抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)などの漢方薬がいびきに著効を示したとの報告があります。
漢方薬は、いびきや歯ぎしりの根本改善を目的としますので、繰り返すいびきや歯ぎしりに悩む人にはとくにおすすめです。
また、漢方薬は毎日決まった量を飲むだけなので、手軽に継続できるのもメリットです。栄養バランスのよい食事や規則正しい生活、定期的な運動などを継続することが難しい人でも、すぐに取り入れられるでしょう。
いびき・歯ぎしりでお悩みの人におすすめの漢方薬
抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ
神経がたかぶり、イライラしやすい人の不眠などに用います。神経のたかぶりをやわらげ、歯ぎしりなどを改善します。
【第2類医薬品】抑肝散加陳皮半夏エキス錠クラシエ 240錠
漢方薬を選ぶときに重要なのは、その人の状態や体質に適した生薬を選んでいるかどうか、という点です。うまく合っていないと効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が起きることもあります。自分に合う漢方薬を見つけるためにも、購入時にはできる限り漢方に詳しい医師、薬剤師等の専門家にご相談ください。
自分に合った漢方薬を見極めるには、「あんしん漢方」などのAI(人工知能)を活用したオンライン相談サービスに相談するのもおすすめです。漢方のプロがAIを駆使してあなたに適した漢方を選び、自宅に郵送してくれますよ。
「いびきや歯ぎしりを人に聞かれたら恥ずかしい……」という人は、飲酒を控えめにしたり、いびき対策のために横向きに眠ったりするといいでしょう。ストレスや疲れをためないようにすることも大切です。
また、いびき・歯ぎしりを何度も人から指摘されていたり、あごなどの不調を自覚していたりする場合には、慢性的な症状である可能性が高いので医療機関に相談することをおすすめします。悩みをひとりで抱え込まずに、適切に対処していきましょう!
<この記事を書いた人>
薬剤師 竹田由子
大学院で臨床薬学を専攻、病院で10年勤務、結婚後は調剤薬局勤務、ライターとしての活動も始める。腎機能低下を機に、月経痛への鎮痛剤使用量を漢方で減量成功した経験がある。元漢方・生薬認定薬剤師で薬膳漢方マイスター。「日常の不調はまず漢方」をモットーに生活を送る。病院時代の長いDI経験を生かし、薬の面から分かり易くサポートしたいと考えている。
●あんしん漢方(オンラインAI漢方)