漢方薬にも副作用はある?身近な3つの生薬について薬剤師が解説

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「漢方薬は自然由来だから副作用がなくて安心!」と思っていませんか?漢方薬は、日頃よく用いられる西洋薬と比べると作用が穏やかなことが多いですが、副作用がないというわけではありません。そこで今回は、よく使われる漢方薬で生じる副作用と、漢方薬の使用にあたって注意する点を薬剤師が解説します。

漢方薬にも副作用はあるの?

「漢方薬は自然由来の薬だから、副作用も少なそう」そんな風に考えている人はとても多いですが、漢方薬にも副作用はあります。

飲みすぎやそのほかの薬との飲み合わせで副作用が起こることもあれば、適切に使用しても体質の問題で副作用が起こることも否定できません。

自然由来の漢方薬といえども、薬であるということは忘れないでください。

代表的な漢方薬の副作用

よく使われる漢方薬の副作用についてご紹介します。生じやすい副作用は、漢方薬を構成する「生薬」によって変わるというのが特徴です。

芍薬甘草湯の副作用


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足の攣りによく効く「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」は、低カリウム血症という副作用があります。これは比較的多い副作用です。

低カリウム血症は、芍薬甘草湯に含まれる甘草(かんぞう)という生薬が原因。甘草によって血液中のカリウムが低くなり、痙攣や便秘、手足に力が入りにくいといった症状を起こします。

頓用でたまに使っている程度なら問題ないことが多いですが、頻繁に使っていたり、利尿薬と組み合わせたりすることで副作用の頻度が高まります。

柴胡加竜骨牡蛎湯の副作用


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「柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」は、更年期の不安や不眠によく用いられる漢方薬です。

これに含まれる柴胡(さいこ)と黄芩(おうごん)で、ごく稀に間質性肺炎の副作用が生じます。

間質性肺炎は、もともと肺の病気がある人・抗がん剤や肝炎治療薬を飲んでいる人が、柴胡や黄芩を含む漢方薬を一緒に飲むとリスクが高まるとわかっています。また、漢方薬の併用などで柴胡や黄芩の摂取量が増えることもリスクです。

防風通聖散の副作用

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便秘や肥満の解消に効果がある「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」ですが、長期間使い続けるとごく稀に副作用が生じることがわかっています。

防風通聖散などの山梔子(さんしし)という生薬が含まれる漢方薬を、おおむね5年以上の継続服用することは、腸間膜静脈硬化症を起こすリスクとなるのです。

腸の血管が硬く・狭くなる病気で、お腹の右側を中心として腹痛、吐き気、下痢などの症状を呈します。

漢方薬の副作用を予防するには?

漢方薬の副作用は、西洋薬に比べると頻度が稀なことが多いですが、できるだけ副作用を起こさないためにはどうしたらよいでしょうか。ポイントを3つご紹介します。

1.規定量を超えて服用しない

漢方薬も、1日の規定量を守って服用してください。

規定量を超えて服用すると、体内に入る生薬の量が多くなり、副作用を起こしやすくなってしまいます。

2種類以上の漢方薬を自己判断で飲まない

2種類以上の漢方薬を自己判断で組み合わせて飲まないようにしましょう。

1つの漢方薬の中には、いくつもの生薬が含まれています。漢方薬を組み合わせるときには、同じ生薬が重複していないか、生薬の量が多くなりすぎていないか、確認しなくてはいけません。

漢方薬の場合でも、医師や薬剤師に飲み合わせを確認してもらうことがとても大切です。

3.市販薬やサプリメントの服用にも注意

漢方薬同士だけでなく、市販薬やサプリメントとの飲み合わせにも注意を払いましょう。

例えば、風邪をひいたときによく使われる「葛根湯(かっこんとう)」には、麻黄(まおう)という生薬が含まれます。麻黄の主成分はエフェドリンで、これは総合感冒薬によく含まれるメチルエフェドリンと同様の作用がある成分です。

葛根湯と総合風邪薬を合わせて内服することでエフェドリンの作用が強く出て、動悸やイライラ、血圧上昇、吐き気などの副作用が出ると予想されます。

自分に合った漢方薬を選ぶには?

漢方薬にも、西洋薬と同じように副作用があるとお伝えしてきました。副作用をできるだけ避けて自分に合った漢方薬を選ぶためには、医師や薬剤師といった漢方薬の専門家に相談することが大切。

体質や飲み合わせ、持病などを考慮して、一人ひとりに合った漢方薬をオーダーメイドで使用することで、副作用のリスクを減らすことができます。

「漢方を出してくれる病院がわからない」という人は、「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスに、一度相談してみるのもいいでしょう。

漢方に詳しい薬剤師がAIを活用して個人に合う漢方薬を見極め、お手頃価格で自宅まで郵送してくれます。

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漢方薬を正しく安全に使いましょう

漢方薬にも副作用はありますが、正しい使用方法を守り、飲み合わせなどに気を付けることで、頻度を下げることが可能です。
自然由来のものとはいえ、漢方薬も薬だということを忘れないでください。

「あんしん漢方」などを使って漢方の専門家に相談しながら、からだに合った漢方薬で体調を整えていきましょう。

<この記事を書いた薬剤師>

薬剤師 中山 歩実
大学病院、市立病院での勤務を経て、長期療養型の病院へ転職。なかなか改善しない症状に対し漢方を使ったサポートを実施している。さまざまな病気の段階の方と接する中で、正しい医療情報を得ることの難しさを痛感し、ライター活動を開始。がんや感染症、生活習慣病など幅広い疾患や薬についての記事制作を担当。「誰もが自分のからだを労れる社会」を目指し、あんしん漢方などでわかりやすい情報を発信している。

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