【前編】福井のそばが日本一!?と聞いて現地を訪れたら、そりゃそうだわと納得した件

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皆さん、そばはお好きですか?
突然の問いかけ、失礼します。私、Mart編集長の小松は「大好き」です。ものすごく頻繁に食べるわけではないのですが、しばらく食べないと無性に食べたくなります。
両親の出身が長野、また父の転勤で島根にいたこともあり、美味しいそばと言えば信州と出雲そば!と思い込んでいたのですが、インターネットメディア『ねとらぼ』の調査で2021、2022年と2年連続で1位となっているのが「福井県」、いわゆる“越前そば”です。

失礼ながら知らなかった「そば王国・福井」を実地踏査!

すみません、恥ずかしながら私、福井のそばを食べたことがないばかりか、福井を訪れたこともありませんでした。東京からはアクセスがどうしても不便なので……。でも、あのチョコレートブランド「ゴディバ」が認め、いろいろとコラボをしていたり、最近お会いした食通の某社社長さんが「福井のそばは旨い!」と太鼓判を押していたのを聞いたりして、にわかに関心が高まっていたところ、福井へのメディアツアーのお誘いを受けたので、これは千載一遇のチャンス!と、勇躍現地に乗り込んだのでした。

まずは人気のお蕎麦屋さんで「越前おろしそば」を体験

まずは何事も体験!ということで、地元の人々にも人気だという「その字」さんへ。蕎麦の味を先代から引き継いで店主を務める高山博之さんによると、こちらのお店は玄米ならぬ「玄蕎麦」から自家製粉して手打ちしたそばが自慢だそうで、一番人気のメニュー「【冷】かきあげおろし」¥1,550をいただくことに。

このような形でサーブされます。

大根おろしがたっぷり入った蕎麦つゆをかけて、鰹節やネギを添えていただきます。

かき揚げはボリュームたっぷり!それでいて食べ切れちゃうから不思議。

かき揚げのボリュームとサクサク感も素晴らしいのですが、今回のメインテーマはそば。十割そばならではの香りと、ざらっとしているようでなめらかな舌触り、そして東京で食べるそばよりも少し太めでしっかりとしたのど越しが印象的。確かに旨い!!聞けば福井市内のお蕎麦屋さんはもっと太いお店も多いのだとか。

また、大根おろしで食べる「越前おろしそば」がスタンダードというのも、東京でざるそばを食べ慣れた身には新鮮。基本的にはわさびもつかないのだそうです。

なぜこんなにも美味しい?越前そばの秘密①在来種へのこだわり

本場の越前そばを味わった感動も冷めやらぬ中、次に向かったのはそばの畑。福井のそばが美味しい、その大きな秘密の一つが「在来種」であることだそうなんです。今までそば畑を見たこともないので、「在来種」と「改良種」の違いも全く知りませんでした、正直…。
先ほど訪れた「その字」さんでは県北部の丸岡産の玄蕎麦を中心に仕入れているそうですが、県内には22系統もの在来種があり、「小粒で香りがいい」「育つのが早く、粒は大きめ」などそれぞれに特徴があるのだそう。
そこで、そばを育て、製粉まで行う「ハーネス河合」さんを取材しました。

一面に広がる黄金色は稲のようにも見えますが、よく見ると黒が混じり、それがそばの実であることにすぐ気づきます。「このように、黒い実に青い実が少し混じっている状態で収穫したものが、とても香りが良い“新そば”として人気があるんです」と小倉崇文さん。でも今年は豪雨の影響でかなり収穫量も少なく、実も大きさが例年より小さいのだとか。

こちらがそばの実。完熟した黒い実と、まだ熟していない青い実が混在しています。

一般的な蕎麦の実より小さめなのが在来種の特徴でもあるそう。

お話をしてくれた、ハーネス河合の小倉崇文さん。

「ハーネス河合」では、JAを通さず自社で一貫して収穫から在来種の特性に合わせた乾燥、製粉、そして出荷までを行いつつ、他の生産者からも依頼を受けて同様の工程を行うのだとか。


「ハーネス河合」の自社工場。大きな乾燥機がなんと6台も。設備投資もかなりのものだそうですが、それも全て「美味しいそばをつくるため」。福井のそば文化を守るための強い思いが伝わってきました。

後編では、さらなるこだわりの作り手を取材。これを読んだらあなたも越前そばが食べたくなること間違いなしです。

【後編】に続く(12/18 12:00公開予定です)

取材・文/小松伸司

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