世界中から美味しいものばかりを集めた食のセレクトショップ「DEAN & DELUCA」(ディーンアンドデルーカ)で、2003 年の日本上陸時当初から販売し、殿堂入りの人気商品となっているアップルパイがあります。京都に本店を構える焼き菓子店「松之助」のもので、オーナーの平野顕子さんが手掛けるもの。平野さんの著書本の出版を記念してイベントが開催され、アップルパイつくり秘密の実演も! とっておきのお話をたくさん伺えました。
京都に本店を構え、東京・代官山に姉妹店をもつアメリカ・ニューイングランド地方の伝統焼き菓子のお店「松之助」のアップルパイは、サクサクのパイとぎっしり入ったリンゴの上品で繊細な味わいが特徴で、著名人の中にもファンが多数。2003年、丸の内にDEAN & DELUCAがオープンした際、このアップルパイの美味しさを語る雑誌記事を読み、私も買いに走りましたが、ひとくちいただき美味しさのあまり「うわぁ、すごい!」と叫んでしまいました。それほど、衝撃が大きかったのを覚えています。そして、食べながらなんとも言えない充実感に満たされるスイーツなのです。
オーナー平野さんは45年間専業主婦を経て、転身
イベントの前に「松之助」オーナー・平野顕子さんにお話を聞伺うことが出来ました。平野さんにとっても、DEAN & DELUCAは特別な存在。洗練された世界観に憧れ、松之助の店舗つくりにも取り入れられたそう。「当時の丸の内店の洗練された店内に自分のアップルパイを置いて下さることで、胸いっぱいでした。今でもこうしてお付き合いできることに感謝します」とにっこり笑います。
70歳を過ぎてもなお、ハツラツとした平野さん。書籍『「松之助」オーナー・平野顕子のやってみはったら!60 歳からのサードライフ』(主婦と生活社 ¥1,650)では、45年間専業主婦だった平野さんが、今にいたるまで、その半生を綴られています。これからの時代を生きる女性に勇気とエールを贈る内容で、 健康レシピや、特別に家庭で簡単につくれるアップルパイのレシピも。
あの美味しさは、素材への細やかな配慮と繊細なワザだった!
東京・赤坂の「THE ARTISAN TABLE DEAN & DELUCA」(現在休業中)にて平日夜に開催されたイベントには、DEAN & DELUCAのメールマガジンを見て応募した約40名が参加。人気商品を、オーナー自らが目の前でつくる特別イベントだけあり、熱心に動画や画像を撮ったりメモを取る姿が見られました。
私もその一人です。数々のアップルパイを食べましたが、唯一無二の美味しさ、そのポイントはいったい?と普段の取材よりもなかり前のめりに!?参加しました。約1時間の実演の内容をすべては膨大な時間がかかるので、特に印象に残ったことを少しだけシェアさせていただくと
- 平野さんはアップルパイを「焼く」というより「炊く」という感覚で作られている。
- バターやショートニングなど、素材をミックスさせかつ仕上がった時にその特徴が出るような工夫がたくさん。
- 生地はこねるのではなく、あわせる、かたまたりにしていく感覚。
- 一般的な麺棒はどちらかに力がかかって均一にならないので、回転式のものがよい
…などなど。何より、ふんわり関西弁で、優しく、時に「ここは絶対こうしてくださいね」と力強く説明される平野さん。アップルパイに対する情熱を直接受け取れたことは、とても幸せでした。
私が座った席からはこの角度。元フジテレビアナウンサーの平松あゆみさんをナビゲーターに、平野さんの手元をDEAN & DELUCAのスタッフが拡大撮影され、モニターに映し出していました。
モニター画像で見る臨場感ある実演実況は、目が離せませんでした。
完成品のアップルパイ。美味しくいただくには1日寝かすことが重要とのこと。
実演会の後はトークショー。著書名「やってみはったら」にも通ずる「無駄はまったくないし、失敗したとも思っていない」「だから、今が一番自然体で、幸せ」と前向きワードで、会場のみなさんを引き込んでいました。
人生の先輩からのポジティブメッセージ、気になる方はぜひ。年末年始の読書タイムにもオススメです。
取材・文/新里陽子