両親と過ごしているときに、〝今は元気だけれど、将来「介護」をすることになったらどうしたらいいんだろう〞と不安になることはありませんか?今回は、「介護」を実際に経験したMart読者の体験談とともに、知っておくと「介護」をするときに役立つ基礎知識をご紹介します。
Case3:夫の理解と義妹の協力で子育てと介護を両立し、乗り切ることができました
【基本データ】森田明子さん(仮名)、42歳、栃木県在住
【介護の相手】義母(パーキンソン病で半年別居在宅介護、1年施設入居)、義父(認知症で半年別居在宅介護、1年施設入居)
森田さんは義父母が続けて認知症になり、亡くなったのも立て続けだったそう。1年半と短期間ながら、2人も同時に介護することになった当時を振り返ります。
「義父と二人暮らしだった義母が動けなくなって入院し、パーキンソン病だと判明。その後認知症にもなったのが介護の始まりでした。義母はデイサービスも施設に入るのも嫌がっていたのですが、体が大きかったので夫でも動かすのは大変で……。特別養護老人ホームを探したものの空きがなく、グループホームに入ることになりましたが、利用料が高くてこちらが少し持ち出しに。またそのころ、義父も急に認知症になってしまいました」
目まぐるしく状況が変わるなか、介護に関する手続きを一手に引き受けたのが、介護士でもある義妹だったとか。
「介護制度の知識がなかったので、義妹が知り合いのケアマネジャーさんにケアプランを頼んだり、いろいろと手配してくれて助かりました。私は子どもが学校へ行っている間に病院の付き添いや面談などに行くようにしていました。田舎なので、同居して親の介護をするのが当たり前という風潮のなか、夫が『世間体は気にしなくていい』と施設へ預けることを主導して進めてくれ、お金の管理もしてくれたのは頼もしかったです」
その後、義母は特別養護老人ホームに入居。義父も空きを待って同じ施設に入れたという森田さん。特養に入れるまでは体調不良だと呼び出しがあり、自分で病院の送迎をしなくてはならないことも。
「冬場はグループホームと学校から、体調不良の呼び出しが重なったことも。さらにこの時期、介護でも免除されずPTA役員に。在宅介護などもっと大変なママもいると思うと休めずに無理をすることもありました。義父母が続けて亡くなったときには、午前中運動会の準備をして夜はお通夜、法事の準備をしながらバザーの準備と、亡くなってからもバタバタ。大変でしたが、夫・義妹・私で話し合いながら分担して介護できたのが救いです」
【森田さんの介護ヒストリー】
森田さん40歳:70歳の義母が動けなくなり入院。78歳の義父が認知症になる。
→最初は病気のためリハビリ施設へ。怒りっぽくなりご近所トラブルになることも。
森田さん41歳:義母、義父の順に特別養護老人ホームへ入居。
→「特養に移るまでの間、病院に行くときに自治体から介護用の車を実費で借りられると知るまで、タクシー代がかさみました」
森田さん42歳:義母、義父を立て続けに亡くす。
→「通夜や葬儀、法事が続き、PTA役員の仕事が多い時期と重なってやりくりが大変でした」
【森田さんの提言】
「周りの目は気にせず自分たちに合う介護を家族で見つけて」
介護・暮らしジャーナリスト 太田差惠子さんからのアドバイス
介護・暮らしジャーナリスト 太田差惠子さん
ファイナンシャルプランナーの資格を持つ。『親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと』(翔泳社)など著書多数。
●一人ですべてを背負わない
ケアマネジャーには素直に話して
「ケアマネジャーは心強い味方となる存在です。お金のことや親との関係性など、あまり人に知られたくないこともあると思いますが、ざっくばらんに相談すれば、力になってくれます。特に金銭面で無理をしてしまうと自分の生活も回らなくなるので、介護保険の範囲内でおさめたいなどの希望ははっきり伝えるべきです」(太田さん)
今の状態を話せる相手をつくろう
「特に若いうちから介護をすると、周りに同じ状況の人がおらず、一人で抱え込みがち。そうなると、介護する側もされる側もどんどん追いつめられていきます。介護はいつまで続くかわからないので、似た立場の人が集う介護者会に出るなど、気持ちをわかり合える人を見つけて。なかでも家族の理解を得られると、一気に気が楽に」(太田さん)
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イラスト/茅根美代子 取材・文/玉置晴子、富田夏子 構成/タカノマイ(Mart編集部)
Mart2019年9月号
先輩たちからの提言 40歳から考える「親の介護」いま知っておくべきこと より