「新しい生活様式」に合わせた娯楽・レジャー・旅はどうなる?

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ソーシャルディスタンスがベースの生活スタイルの中で、娯楽の分野もさまざまな変化があります。特にコロナ禍前より急上昇したのが「オンライン」の活用です。

多くが主婦であるMart読者のみなさんに、娯楽の場面でのオンラインの活用状況を聞いてみました。外出できない期間、家族で「オンライン動物園」に訪れるのが日課だったというのは、兼平里江さん一家。「実際の動物園に行っても、ここまでは見られなかったというリアルな動物の姿に驚き、同時に癒されました」。チケットを買い、アイドルグループのライブ配信に盛り上がったというのは、櫻井俊子さん。「ライブは中止で行けなくなりましたが、まるで最前列で観ているかのような演出に大満足です!」。そして、週3回のオンラインヨガが生活のベースになりつつあるという原田佳枝さんは「移動距離ゼロで先生にも質問もでき、これからも受け続ける予定です」。ほかにも、ママ友や遠く離れた友人と、家事が終わってからのつかの間のオンライン飲み会を楽しんだ人もたくさんいました。

これからのオンライン〇〇は共有型に

「おさかなマスク」の考案者でパン教室主宰のはまくまさんは、自粛期間中、対面でのレッスンができなかった自粛期間中にある試みをしました。

「会えない同士でも“パーティをする気分で繋がりたい”と思い、同じコース受講予定だった方に手作りフラッグを送って、互いに飾るというコミュニケーションを取ってみました。それが予想以上に楽しくて、受け取った方にも喜んでもらえました」。その上で、今後は「共有型スタイル」のオンライン教室も増えていくのではないかとも予想しています。オンラインで便利なこと、実現できることもたくさんありますが、やはり双方向のコミュニケーションとしては物足りなさを感じる方も多いかと思います。私もその一人。でも、目の前に同じ共有するもの物があれば、そこにリアルが加わり感動や喜びもさらに共有できるのだと」。今年の10月には、会えない人にハロウィンカラーのフラッグを送って、Zoomで繋いで画面越しにパーティーをする会も考えているのだとか。

このような、画面越しで「一緒に〇〇しよう!」と同じ目的に向かうオンラインコミュニケーションは、次第に広がりつつあるようです。家事代行のマッチングサービスを展開する「タスカジ」は、体験型オンライン家事プログラム「タスカジブートキャンプ」を7月から正式にスタートします。料理、掃除などいつもは1人でやる家事を、画面の隊長タスカジさんのリードのもと、みんなで一緒に楽しくやっていこうというもの。ゴールデンウィーク期間中の限定企画が「面倒な家事が、みんなでやると楽しい娯楽になってしまう!」と人気になり、7月から正式にサービス化することに。

「在宅時間が長くなり家庭の家事負担が大きくなる中で、やらなければならない家事にエンターテインメント性を持たせて楽しい時間にできないか、という思いから本企画は始まりました。実際に開催すると『楽しくイベント参加しているうちに、家事を済ませることができた』『普段面倒な食事の支度が楽しくできた』などの反響をいただき、この度正式にサービス開始となりました。新しい生活様式での日常が求められる現在、家庭での家事負担は大きいままですし、どのような状況下でも家事は必要不可欠です。タスカジブートキャンプは、普段は一人でやっている家事を、他の参加者や親子で一緒に1時間学びながら楽しくやっていたら終了時には家事も一つ終わっているという、一石二鳥なプログラムになっています。『やらなければならない家事』を『楽しい時間』に変えて、充実したイエナカ時間にしていただきたいと思っています」とタスカジ広報担当の門出万里子さんは話します。

 

みんなの関心は「おうち&屋外での娯楽」がキーワードに

一方で、やはり「オフライン=リアルな体験」がしたいという気持ちがあるのも、みなさん本心のようです。前述の兼平さんも「オンラインの画面越しに知られた情報を、今度は自分たちの目で見に行きたいですね。本物を子どもたちに触れさせたいです」。もちろんそこには、混み合わない時間に、短時間でという条件付きでの来園を近日に予定しているそう。

「ママ友とも会ってランチに行きたいのですが、みんな、コロナ感染拡大の第二波に備えて慎重です」と話すのは飯田萌子さん。一方で飯田さん一家は家族で過ごす時間がとても増えたそう。これまで休日はモールにショッピングが多かったそうですが、今はお気に入りのお店でテイクアウトしたランチをベランダで食べたり、近所の公園に散歩に行ったりと「おうちと屋外でいかに楽しむか」がテーマになっているのだとか。

そして、全国的にほぼ学校生活が元のペースに戻りつつあり、習い事も再開している今、子どもたちも大人も、週末は自宅でゆっくり休みたいと考えている方も多くいました。「今年は学校の夏休みが短く2週間です。今からいろいろ予定を立てすぎず、状況を見ながら考えていきたいですね。毎日が充実して健康であることが幸せ」とのコメントもいただきました。。いまはまだ様子見で、旅行などの娯楽はこれから徐々に楽しんでいく、予定を立てるというスタンスの人が多いのかもしれません。

 

遊園地、キャンプ・旅行も新しい生活様式にあわせた営業

7月1日、約4カ月ぶりにファミリー世代が待ちに待った東京ディズニーランドおよびディズニーシーが営業を再開しました。事前にチケットを購入できた人のみ入園できる方法で、これまでの約半分の入園者に抑えています。営業時間の短縮のほか、入園者には全員検温とマスクの着用が必須に。アトラクションに並ぶ列も、ソーシャルディスタンスがはかれるスペースを十分確保しています。ホームページ上では「7月1日、新しいはじまり」のページを展開、「パークも、キャラクターも、キャストも、みなさんの笑顔に会えるのを心待ちにしていました」とメッセージをつづっています。

キャンプ場の最大手にあたる北軽井沢スウィートグラスも、野生動物と人間の関わり方「ナチュラル・ディスタンス」になぞらえ、近すぎず遠すぎず、ちょうどいい間合いでの営業を掲げています。

県をまたいでの移動が可能になった今、旅行連絡会は国土交通省・観光庁の協力のもと、「感染リスクを避けた楽しい旅行を」と「新しい旅行のエチケット」を発表しました。

「新しい旅のエチケット」 策定主体:旅行連絡会(協力:国土交通省・観光庁) ※ 旅行連絡会・・・交通機関や宿泊・観光施設等の旅行関係業界の業界団体等で構成

「新しい旅のエチケット」 策定主体:旅行連絡会(協力:国土交通省・観光庁) ※ 旅行連絡会・・・交通機関や宿泊・観光施設等の旅行関係業界の業界団体等で構成

今までと同じような旅行はできない、と悲観的になるのではなく、こう考える・行動すれば楽しいというヒントがたくさん詰まっており、夏の規制や旅行計画に多いに参考になりそうです。

 

ちょっとした不自由が、新たなもの生み出す! 今後の娯楽はこう変わる

「新しい生活様式」と言葉だけが先走っていた時は、今までと同様なことが出来ないと嘆いていた傾向にありましたが、このちょっとした不自由が、新たな物・消費を生み出すきっかけにもなると考えられそうです。レジャーなどの消費動向に詳しい消費・流通の専門紙・日経MJの鈴木哲也編集長に、今後の娯楽・レジャーについて予測してもらいました。

「ウィズコロナの生活の中で、脚光を浴びそうなのが新たな“カーライフ”です。米国では昔からある“ドライブインシアター”が、ソーシャルディスタンスを保てる娯楽として改めて人気を集めています。車窓からスクリーンを眺めFM波で音声を聞けます。また、音楽ライフやスポーツなど様々な娯楽のオンライン配信では、これからVR(仮想現実)などテクノロジーの進展によってより『現実感』が増すでしょう。様々な制限がある中でも、企業側はより柔軟な発想を、消費者は心のゆとりをもつことで、娯楽の形は柔軟に進化していくと思います」
なるほど! 伺っているとワクワクします。そして、同時に新しい娯楽スタイルには、私たちの寄り添い方、楽しみ方も大きく影響するようです。せっかくですもの、楽しまなきゃ!ですね。

 

取材・文/新里陽子

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