【映画ライターの週末映画案内】横浜流星が新境地を見せる『ヴィレッジ』

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映画ヴィレッジ場面写真

横浜流星を主演に迎え、『新聞記者』『余命10年』の藤井道人監督がオリジナル脚本で手掛けた映画『ヴィレッジ』。4月21日(金)から全国公開中。閉鎖的なある村を舞台に、居場所を見つけられずに生きてきた一人の青年の姿を描いたサスペンス・エンタテインメントです。

『ヴィレッジ』あらすじ紹介

映画ヴィレッジメイン画像

かやぶき屋根が並ぶ山あいの集落・霞門(かもん)村。そこで暮らす片山優(横浜流星)は村のゴミ処理場で働き、職場と家を往復するだけの日々。仕事中は村長(古田新太)の息子である透(一ノ瀬ワタル)にいびられ、わずかな給料も母親の君枝(西田尚美)がギャンブルで作った借金の返済に消えていく。

幼い頃は村の伝統行事である薪能に夢中になり、教室に通っていた優だったが、父親が起こしたある事件によって村人から冷たい目を向けられる日々が始まり、今も続いているのだった。

そんなある日、7年前に村を出て行った幼馴染の美咲(黒木華)が東京から帰ってくる。美咲の存在や行動が、孤独で辛い日々を送る優の日常を変えることになるが――。

【見どころ①】目で感情を表現する横浜流星さんがすごい

映画ヴィレッジ場面写真

昨年公開された『流浪の月』で嫉妬に狂うモラハラ彼氏を演じきっていた横浜流星さん。今作では、逃げ場や居場所がどこにもない、ただ生きるだけの日々を送る青年・優役で新たな顔を見せてくれました。

主人公は過去に父親が事件を起こしてから村人に嫌われ、母親は借金をし、息をひそめて生きるだけの日々。前半は閉鎖的な村社会で生きていくあきらめ、悲しみ、怒りがないまぜになって内にこもったような、暗い目の色が印象的でした。そこからラストシーンまで、今まで見たことがないような表情を見せ続けてくれる横浜流星さんから目が離せません!

【見どころ②】若手俳優2人の演技に釘付け!

そうそうたる俳優陣の中で、奥平大兼さん、HiHi Jetsの作間龍斗さん、二人の演技がとても印象に残ったので、そちらにもぜひ注目していただきたいです!

映画ヴィレッジ場面写真

借金返済のためゴミ処理場で働く龍太役の奥平大兼さん

奥平大兼さんは、映画『MOTHER マザー』(2020年)で長澤まさみさん演じるシングルマザーの息子役として鮮烈なデビューを飾り、その年の新人賞を総なめにした俳優さんとして印象に残っている方も多いのでは。

『ヴィレッジ』で彼が演じるのは借金返済のためにゴミ処理場で働くことになった、村の外から来た人。金髪で明るく笑顔が印象的な人懐っこい青年で、閉鎖的な村社会の中では異質な存在に感じます。劇中、彼が思いがけないシーンで笑うところがあるのですが、観終わってからもその笑顔が頭から離れないくらい印象的でした。

映画ヴィレッジ場面写真

(左)優に憧れを抱く、美咲の弟・恵一役の作間龍斗さん

2人目は、最近映像作品での活躍が続く作間龍斗さん。普段はジャニーズJr.のグループHiHi Jetsの一員としてアイドル全開ですが、今作では大人しく家に引きこもりがちな、美咲の弟を演じました。後半に向けて登場シーンのインパクトが増していきますので、ぜひ注目を。今後も色んな映像作品での活躍が見たくなります。

【見どころ③】能舞台や音楽が物語を盛り上げる

映画ヴィレッジ場面写真

『ヴィレッジ』の物語全体を支えているのが、能。主人公・優が幼い頃に観た能舞台の演目がキーとなり、能面や能の音楽が映像を盛り上げます。

映画ヴィレッジ場面写真

能の練習をする場面より。(左)美咲役の黒木華さん(右)村長の弟・光吉役の中村獅童さん

村長一家に生まれ、能楽師でもあるが今は刑事になっている光吉を演じたのは中村獅童さん。歌舞伎でも能を取り入れた演目はあるそうですが、本物の能とはまた動きが違うのだとか。現役の能楽師や囃子方(伴奏担当)の協力を受けて仕上げた能のシーンは大迫力です。

文/富田夏子

作品情報

映画ヴィレッジ ポスター

『ヴィレッジ』 全国公開中

  • 監督・脚本:藤井道人
  • 音楽:岩代太郎
  • 出演:横浜流星 黑木華
    一ノ瀬ワタル 奥平大兼 作間龍斗/
    淵上泰史 戸田昌宏 矢島健一/杉本哲太 西田尚美 木野花/
    中村獅童 古田新太

配給:KADOKAWA/スターサンズ
©️2023「ヴィレッジ」製作委員会

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