『ラ・ラ・ランド』『セッション』のデイミアン・チャゼル監督最新作『バビロン』が、2月10日から全国公開。ブラッド・ピット、マーゴット・ロビーを主演に迎え、1920年代のハリウッドを描いた壮大なエンタテインメント作品です。
『バビロン』あらすじ紹介
1920年代のハリウッド。サイレント映画の大スター、ジャック(ブラッド・ピット)は毎晩開かれる映画業界の豪華なパーティの主役だ。会場では大スターを夢見る、新人女優ネリー(マーゴット・ロビー)と、映画製作を夢見る青年マニー(ディエゴ・カルバ)が運命的な出会いを果たし、心を通わせる。恐れ知らずで奔放なネリーは、その演技力と特別な輝きで周囲を魅了し、スターへの道を駆け上がっていく。マニーもまたジャックの助手として働き始め、映画界での一歩を踏み出す。しかし時は、サイレント映画からトーキーへと移り変わる激動の時代。映画界の革命は大きな波となり、それぞれの運命を巻き込んでいく。果たして3人の夢が迎える結末は……?(プレス資料参照)
【見どころ①】狂騒と“ごちゃまぜ感”で時代の雰囲気を切り取る
物語はサイレント映画の大スター、ジャック(ブラッド・ピット)が主催するパーティー会場からスタート。そこに運よく潜り込んだのが、映画製作に関わりたいメキシコ人の青年マニー(ディエゴ・カルバ)と、スターになって今の生活から抜け出したい新人女優のネリー(マーゴット・ロビー)です。
このパーティーシーンが、とにかくド派手でめちゃくちゃ! 生演奏にショー、お酒にドラッグ何でもありで、多くの男女が入り乱れての大騒ぎ。この熱気と“ごちゃまぜ感”が、夢を求めて人が集まる当時のハリウッドを象徴しているかのようで圧倒されてしまいます。冒頭から作品世界に引きずり込まれますので、軽い気持ちで観始めた筆者は「もう後戻りはできない」と覚悟を決めました。
【見どころ②】マーゴット・ロビーの演技に釘づけ
布面積が極端に少ない(!)深紅のドレスで登場するマーゴット・ロビーには大注目。くるくる変わる彼女の表情、だんだんゴージャスになっていく衣装や生活、そして垣間見せる生まれ育った境遇や家族環境……マーゴット・ロビーの演技が大胆かつ繊細で素晴らし過ぎて、ネリーの行く末が気になって目が離せません。
一夜にしてパーティーの華となり映画出演への足掛かりをつかんだネリーは、監督からの無茶ぶりに驚異的な演技力で次々と応じて才能を見せつけ、一気にスターへの階段を駆け上がります。やがて無声映画からトーキーへと移り変わる時代の波に飲み込まれるのですが……その先は劇場で見届けてください。
【見どころ③】デイミアン・チャゼル監督の映画愛が画面からあふれ出している
ネリーと共に時代の変化を見届けるのが、大スターのジャック(ブラッド・ピット)と、その助手となる青年マニー(ディエゴ・カルバ)。デイミアン・チャゼル監督は三人の姿を通して、トーキー映画へと移り変わる激動のハリウッドと、その渦中にいた人たちの変化、特に悲しみを丁寧にすくい取っていました。それには何人かの実在の俳優や人物がモデルになっていて、映画の礎を築いた人達へのリスペクトが込められているのを感じました。
映画では三人以外にも、映画に、時代に翻弄される人々が描かれています。特に過激な描写もありますが……、それでも彼ら、彼女たちがいたから歴史が積み重なり、今の映画界があること。そしてこの作品も映画史の一部であり、これからも映画づくりは変化しながら続いていくことが伝わってきて、ラストは感動。監督の映画愛がちょっと重いくらいに画面からあふれ出してしまっているので、3時間9分の大作、ぜひ受け止めてください。
取材・文/富田夏子
作品情報
『バビロン』2月10日(金)全国公開
- 監督・脚本:デイミアン・チャゼル『ラ・ラ・ランド』
- 製作:マーク・プラット, p.g.a.、マシュー・プルーフ, p.g.a.、オリヴィア・ハミルトン, p.g.a.
- 製作総指揮:マイケル・ビューグ、トビー・マグワイア、ウィク・ゴッドフリー、ヘレン・エスタブルック、アダム・シーゲル
- キャスト:ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバ、ジーン・スマート、ジョヴァン・アデポ、リー・ジュン・リー、P・J・バーン、ルーカス・ハース、オリヴィア・ハミルトン、トビー・マグワイア、マックス・ミンゲラ、ローリー・スコーヴェル、キャサリン・ウォーターストン、フリー、ジェフ・ガーリン、エリック・ロバーツ、イーサン・サプリ―、サマラ・ウィーヴィング、オリヴィア・ワイルドほか
- 配給:東和ピクチャーズ
- 公式サイト:babylon-movie.jp
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