『君の名は。』『天気の子』の新海誠監督最新作、『すずめの戸締まり』がいよいよ11月11日より公開されます。日本全国の廃墟を舞台に、各地の“扉”を閉めていく少女・すずめの成長を描く冒険物語のはじまりです。
『すずめの戸締まり』あらすじ紹介
九州にある海辺の町、叔母と二人で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟でぽつんとたたずむ古ぼけた扉を発見したすずめは、何かに引き寄せられるように扉に手を伸ばすが……。
そのことがきっかけで扉の向こう側から災いが訪れてしまい、再び廃墟を訪れたすずめは、扉を閉めようとしている草太と再会。彼は全国の廃墟にある扉を閉めて鍵をかける“閉じ師”として旅を続けているという。
扉を閉める際にけがをした草太の手当てをするすずめ。二人の前に前に謎の猫・ダイジンが現れ、草太は脚が一本欠けた子ども椅子へと姿を変えられてしまう。草太を元の姿に戻すため、そして全国各地で次々に開き始めた“扉”を閉じるため、二人は謎の猫を追うように旅をする。やがてたどり着いた場所ですずめを待っていたのは、忘れられてしまったある真実だった。(プレス資料参照)
【見どころ①】少女と椅子、そして不思議な猫が日本縦断
17歳の少女・すずめと、すずめが幼い頃に愛用していた椅子へと姿を変えられてしまった草太。映画は二人が日本各地にある廃墟の“扉”を閉めながら不思議な猫を追いかける冒険物語であり、九州から四国、関西、東京へと日本を縦断するロードムービーにもなっています。
三本脚の椅子にされてしまった草太(cv松村北斗)ですが、椅子の状態で走ったり話したりでき、すずめとのやり取りはとってもコミカル。行き着いた先で出会った人たちは、すずめのことをおそらく変わった家出少女だと思いながらも手を貸してくれ、すずめもできる限りの“恩返し”をする。その交流の様子は観ていてほっこりします。
【見どころ②】地震のシーンを描いた新海誠監督の覚悟
映画の公式サイトにも注意書きがありますが、この作品の中には地震の描写が出てきます。そのため、鑑賞後には賛否両論が出ることも予想されます。
新海誠監督自身が映画の完成報告会見で、現在12歳の娘さんに震災の記憶がなく、新海監督作品の観客の多くが10代で、「共通言語の震災が薄くなっていって」いることに危機感を抱いていると語りました。「でも、今であればまだ同じ気持ちを共有できるかもしれない、という焦りの気持ち。今なのではないか」という想いから、『すずめの戸締まり』を制作したと。
こうして新海監督が覚悟をもって描いた作品をどう受け取るか、それ以前に観るか観ないかはこちら側に委ねられています。アニメのエンターテインメント作品ではありますが、観客の受け取る力を信じてつくられた映画だと感じました。
【見どころ③】少女すずめが冒険を通して得たものとは
苦労の末に扉を“閉めて”いくすずめですが、一方で扉を“開けて”「行ってきます」と、時に明るく、時に覚悟を決めて一歩踏み出すための言葉を発するシーンも出てきます。『すずめの戸締まり』における“扉”は、ある種の災いや過去につながる象徴でもありますが、未来へ、明るい光へ向けて開くものでもある。そんな希望を感じる作品になっています。
そして最後まで観終えると、あの椅子は……、あの猫は……、あの時出会っていたのは……と、考察が止まらなくなり、もう一度観たくなるはず! 超豪華な声のキャストや、各シーンに寄り添った音楽もお楽しみに。
作品情報
『すずめの戸締まり』
2022年 11月11日(金) 全国東宝系にて公開
- 原作・脚本・監督:新海誠
- 声の出演:原菜乃華、松村北斗、深津絵里、染谷将太、伊藤沙莉、花瀬琴音、花澤香菜、神木隆之介、松本白鸚
- キャラクターデザイン:田中将賀
- 作画監督:土屋堅一
- 美術監督:丹治匠
- 音楽:RADWIMPS 陣内一真
©2022「すずめの戸締まり」製作委員会
公式サイト https://suzume-tojimari-movie.jp
取材・文/富田夏子