辻村深月さんがアニメ業界の裏側を描いたお仕事小説『ハケンアニメ!』が、吉岡里帆さん主演で映画化。5月20日(金)公開です。映画化決定から7年越しでようやく完成・公開となったこの作品は、劇中アニメのクオリティも素晴らしく、熱いバトルに心をわしづかみにされます!
『ハケンアニメ!』あらすじ紹介
<STORY>
連続アニメ『サウンドバック 奏の石』で夢の監督デビューが決定した斎藤瞳(吉岡里帆)。だが、気合いが空回りして、制作現場には早くも暗雲が立ち込めていた。瞳を大抜擢してくれたはずのやり手プロデューサー・行城理(柄本 佑)は、ビジネス最優先のクセ者で瞳にとって最大のストレスメーカー。瞳は一筋縄じゃいかないスタッフや声優たちも巻き込んで「日本中に最高のアニメを届けたい!」という想いで奮闘していた。
そんな瞳たちの前に最大のライバルが立ちはだかる。瞳がアニメ業界を志すきっかけとなった天才アニメ監督・王子千晴(中村倫也)の復帰作『運命戦線リデルライト』だ。大ヒットしたデビュー作以降スランプに陥っていた王子復活に賭けるのは、その才能に惚れ抜いたプロデューサーの有科香屋子(尾野真千子)。しかし、彼女も王子の超ワガママ、気まぐれに振り回され悪戦苦闘中だった。
はたして、“ハケン=覇権”を獲るのはどちらのアニメか? 瞳の想いは人々の心に刺さるのか? 熱くて長い闘いが始まる。(プレス資料参照)
【見どころ①】吉岡里帆&柄本佑 VS 中村倫也&尾野真千子のチームバトル!
大手アニメ会社に所属する新人監督・斎藤瞳率いる『サウンドバック 奏の石』(通称:サバク)チームと、天才監督・王子千晴率いる『運命戦線リデルライト』(通称:リデル)チーム。どちらが人気のNo.1アニメになれるかというチームバトルが見もの。原作者の辻村深月さんも「イメージ通り」と語った魅力的なキャラクターについてご紹介します。
新人アニメ監督・齋藤瞳(吉岡里帆)
吉岡里帆さんが演じた主人公・斎藤瞳は、国立大学出身で公務員をしていた頃、王子監督のアニメと出会って転職を決意。やっと監督デビューが決まり、作品に対する熱量や想いはすごいのですが、気合が空回りして制作スタッフや声優キャストとギクシャクしてしまいます。そのため前半の吉岡さんはトレードマークの笑顔を封印し、常に「なんでわかってくれないの!」とイライラしっぱなし。子ども目線では「ちょっとかわいそう」、大人目線では「もっとうまくやればいいのに…」と感じさせるほどの不器用キャラを確立していました。
天才アニメ監督・王子千晴(中村倫也)
瞳の憧れの存在であり、今回ライバルとなって登場するのが中村倫也さん演じる王子千晴です。名前の通り王子様キャラですが、デビュー作が社会現象になるほどヒットしてしまい、その後スランプ続きで今回の復帰にかけては並々ならぬ想いを持っています。
登場シーンでは「人がゴミのようだ」「オヤジにもぶたれたことないのに」と、ジブリアニメやガンダムの名セリフを自然と口にするなど、キザだけど何だか憎めない「王子」そのものの中村倫也さんでした。作品の監督・吉野耕平さんも原作者の辻村深月さんも、映画化が決まった段階で「王子=中村倫也」というのが一致していたというのに納得です!
大手アニメ会社の敏腕プロデューサー・行城 理(柄本 佑)
瞳の味方だか敵だかよくわからないのが、柄本 佑さん演じる敏腕プロデューサーの行城 理。数々のヒットアニメを世に送り出してきたやり手ですが、周囲の評判は「売れるためには手段を選ばないクセ者」。クリエイターとして制作だけに専念したい瞳を、雑誌の取材やアニメを使った商品化会議などに連れ回し、二人のいざこざは絶えません。はたしてその魂胆は? いったい敵なの味方なの? クールで飄々とした態度にハラハラさせられます。
王子の才能に惚れ込むアニメスタジオのプロデューサー・有科香屋子(尾野真千子)
尾野真千子さんが演じるのは、アニメスタジオのチーフプロデューサー・有科香屋子。締め切り前に姿を消し、ふらっと戻ってくるような王子監督に振り回され、制作現場やアニメを放送するTV局上層部との調整に奔走します。王子の才能を信じて尊敬し、夢の実現のためには誠意をもって力を尽くして時にはタンカも切る、行城 理とは違ったタイプのやり手プロデューサー。その姿はどこまでもかっこよく、女性が見ても惚れ惚れしてしまいます。
【見どころ②】アニメ業界の裏側をのぞき見!
小説の段階からアニメ業界について事細かに取材されていただけあって「アニメ制作の裏側はこうなってるんだ!」というのが子どもから大人までよくわかるお仕事映画になっています。
まず監督が描いたコンテを基に「コンテ撮」というのがあり、その後アニメーターとの「作画打ち合わせ」を経て「線撮」といわれる原画をつないで撮影した映像をチェック。それから背景や色を決める「美術CG打ち合わせ」があり、「仕上げ」「撮影」「ラッシュチェック」「脚本会議」「録音」……ものすごく多くの人が長い時間をかけてつくり上げているというのが、ストーリーの中でわかりやすく表現されています。
【見どころ③】劇中アニメのクオリティが半端ない!
監督同士はアニメ作品で対決するので、劇中アニメも「ハケン」が取れるようなクオリティを求めて、かなり本格的になっています。そのため、映画化を決めてから何年もかけて劇中アニメを制作したのだそう。「サバク」と「リデル」、二つの連続アニメのプロットは各12話分、原作者の辻村深月さんが自ら執筆し、吉野監督が脚本とイメージボードを制作したという気合の入れようで、有名アニメ監督や人気声優がその思いに応えた劇中アニメのクオリティは圧巻です。
瞳チームのアニメ『サウンドバック 奏の石』
瞳チームが制作した『サウンドバック 奏の石』は、「テルマエ・ロマエ」「若おかみは小学生!」などの谷 東監督が手掛け、声優キャストとしてアイドル的人気を誇る高野麻里佳さん、「進撃の巨人」エレン役などの梶裕貴さんらが参加。高野麻里佳さんは、瞳とぶつかり合うシーンもあり、実写部分での演技も披露。本格的なアフレコ場面はめちゃくちゃ見ごたえあります!
王子チームのアニメ『運命戦線リデルライト』
王子チーム制作の『運命戦線リデルライト』は、「プリキュア」シリーズを手掛ける大塚隆史監督のもと、「魔法少女まどか☆マギカ」などの岸田隆宏さんがキャラクターデザインを担当。ポップでキュートなキャラクターに合わせて、こちらには何人ものプリキュア声優や「鬼滅の刃」で 甘露寺蜜璃の声を担当した花澤香菜さんらが声のキャストに。キャラクター設定もストーリーもしっかりしていて、本当にアニメとして放送してほしいと希望する人続出のはず。
【見どころ④】大人は初心にかえり、子どもは「好き」を見つけるきっかけに
いま仕事をしている大人が見れば、仕事を始めた頃の気持ち、うまくいかないことがあったときのこと、先輩、後輩、仲間とみんなで何かを成し遂げる喜びなどを思い出し、初心にかえって共感したり俯瞰で眺めることもできます。子どもは仕事の大変さを知るかもしれませんが、がんばる大人はかっこいいと思ってもらえるはず。そして、「好き」を貫く大切さを感じ、まだ見つかってない子は「好き」を見つけるきっかけにもなる作品になっているのではないでしょうか。
書く仕事をしている私も、王子の「描く(書く)ことの壁は描く(書く)ことでしか超えられない」「どれだけやっても納得できないもの出したら終わり」という言葉が胸に響き、映画を観た後はやる気がみなぎってきました(単純…)。登場人物たちの熱い想いにいつの間にかどんどん引き込まれ、アニメの対決の行方も最後まで目が離せない、まさに〝胸アツ″ムービーです!
キャスト・スタッフ・作品情報
<Information>
『ハケンアニメ!』5月20日(金)全国公開
- 出演:吉岡里帆 中村倫也 工藤阿須加 小野花梨 高野麻里佳 六角精児 柄本 佑 尾野真千子
- 原作:辻村深月「ハケンアニメ!」(マガジンハウス刊)
- 監督:吉野耕平
- 脚本:政池洋佑
- 音楽:池頼広
- 主題歌:ジェニーハイ 「エクレール」(unBORDE/WARNER MUSIC JAPAN)
- 制作プロダクション:東映東京撮影所
- 配給:東映
- 公式サイト:haken-anime.jp
©️2022 映画「ハケンアニメ!」製作委員会
文/富田夏子