暖かな陽気の春は、寒さに身を縮めて過ごした冬と比べると過ごしやすい季節に感じます。しかし、頭痛やめまい、不眠などといったからだの不調を感じる人が多くなる季節だともいわれており、「胃痛」もこうした春の不調のひとつです。春には胃痛のほかにも「胃腸虚弱」や「胃もたれ」といった胃のトラブルを訴える人が増えます。今回はこうした春にあらわれやすい胃の3大不調に着目し、その解消法をお伝えします。
春は胃の不調を訴える人が増える?その理由は??
春に生じる胃の不調の多くは、自律神経の乱れが原因だといわれています。自律神経とは、からだのさまざまな器官を活発に動かす「交感神経」と、リラックスさせる「副交感神経」の2種類の神経のことをいいます。
消化器系も自律神経によってコントロールされているため、自律神経が乱れると胃の不快感や痛みを感じやすくなるのです。
それでは、なぜ春に自律神経が乱れやすくなってしまうのでしょうか。
理由1.季節の変わり目の気候
寒い冬から暖かい春へ季節が変わると、日ごとに変動する寒暖差や、1日の中で朝晩の気温差が大きくなります。からだがこの変動についていけないと自律神経がバランスを崩してしまうのです。
理由2.社会的ストレス(環境の変化)
春は人事異動や進学・進級、引越しなどで新生活をスタートさせる人が多くなります。
自律神経は精神的なものにも影響されやすいため、環境が変わり社会的ストレスを感じると、交感神経と副交感神経のバランスが乱れやすくなるのです。
このように、気候や環境の変化は、わたしたちが思っている以上に自律神経のはたらきに影響を与えます。
胃の3大不調を改善する方法
次に、胃の不調に代表される「胃痛」「胃腸虚弱」「胃もたれ」の3つの症状について、改善方法や気をつけるべき生活のポイントについてお伝えします。
1.胃痛
胃痛の対処法としておすすめなのは、以下の2点です。
- ストレスをためない
- 胃に優しい食事をとる
胃腸の働きを調整する自律神経は、ストレスの影響を受けます。適度な運動や趣味など、自分に合ったストレス発散方法を見つけましょう。
また、胃に刺激を与える香辛料(とうがらし、わさび、こしょうなど)やカフェインを多く含むもの(コーヒー、煎茶など)、お酒の摂取は控えるようにしましょう。
2.胃腸虚弱
胃腸虚弱の場合、以下に注意しましょう。
- おなかを冷やさない
- 何回かに分けて食事をとる
胃腸は冷えに弱い内臓で、胃腸虚弱の人は冷えやすい体質でもあります。暖かい春でも腹巻きを身に着け、温かいスープなどを摂っておなかを温めることを意識しましょう。
また、一度にかかる胃の負担を分散させるために食事を分けて摂ることで、食べ物の消化を効率よく行えます。
3.胃もたれ
胃もたれが気になる人は、以下のポイントを心がけましょう。
- よく噛んで食べる
- 消化の悪い食べ物を避ける
胃もたれは、食べ物が胃の中に長くとどまった状態が続くと起こります。胃の働きが鈍ってしまうと消化機能が追いつかず、いつまでも食べ物が消化されません。
食べ方や食べ物の選択を工夫することは消化の助けになり、胃もたれを防ぐことができます。「繊維質の多い食材」や「脂っこい料理」は消化によくないのでなるべく避けましょう。
春の胃を元気にする漢方薬
胃のトラブルの多くは生活習慣の見直しで改善できます。
それでも悩みが解消されない場合には、漢方薬がおすすめです。漢方薬はからだの内側から働きかけ、春に起こりやすい自律神経の乱れを改善することを得意としています。
ストレスが原因で血(けつ)の巡りが悪くなり、全身に栄養が行かないのを改善することで、胃腸の働きが良くなるのです。
また、自然由来の成分でからだに優しく働く漢方薬は、副作用も少ないとされています。飲み続けるだけなので忙しい人でも生活に取り入れやすい方法です。
それでは、春に弱ってしまった胃を元気にする漢方薬を一部ご紹介しましょう。
1.胃痛
安中散(あんちゅうさん)
体力があまりなく、胸やけやげっぷ、食欲不振、吐き気などでお困りの人に。温めることで症状を緩和します。
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
顔色が赤く、イライラしやすい人に。辛いものの摂りすぎや暴飲暴食などが原因で胃にこもった熱を取り除きます。
2.胃腸虚弱
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
元気がなく、疲れやすい人に。先天的な虚弱体質の人だけでなく、病後や術後の衰弱にも使われます。
半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)
みぞおちがつかえたような症状に。下痢や軟便、消化不良にも使われます。
3.胃もたれ
六君子湯(りっくんしとう)
疲れやすく、胃腸が弱って冷えがみられる人に。消化不良や胃痛、胸やけなどの症状を胃腸の働きを整えることで改善します。
平胃散(へいいさん)
体力がある程度あり、食後にお腹が鳴りやすく下痢気味の人に。不規則な食事や、暴飲暴食が原因である場合によく使われます。
漢方は一般的に副作用が少ないとされていますが、体質や症状の原因・背景などに合ったものでなければ効果が十分に発揮されないだけでなく、副作用が生じてしまうこともあります。
どの漢方薬が自分に合っているのか見極めるには、漢方に精通した専門家に相談するのがよいでしょう。
「あんしん漢方」は、オンライン上で漢方専門の薬剤師がぴったりの漢方薬を選んでくれます。わざわざ薬局に足を運ぶことなく、安価で、かつ自宅まで郵送してくれるので、まずは気軽に活用してみるのもいいでしょう。
体調万全で春を楽しみましょう
春は気候や心理的なストレスから胃痛が起こりやすくなりますが、生活に少し気を使うだけで改善できることがあります。
加えて、専門家の選ぶ漢方薬を日々の生活にプラスすれば胃の不調改善が期待できるでしょう。
元気な胃で新年度のスタートを切り、春を楽しく過ごしてくださいね。
<この記事を書いた人>
薬剤師 竹田由子
大学院で臨床薬学を専攻、病院で10年勤務、結婚後は調剤薬局勤務、ライターとしての活動も始める。腎機能低下を機に、月経痛への鎮痛剤使用量を漢方で減量成功した経験がある。元漢方・生薬認定薬剤師で薬膳漢方マイスター。「日常の不調はまず漢方」をモットーに生活を送る。病院時代の長いDI経験を生かし、薬の面から分かり易くサポートしたいと考えている。
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