産婦人科医の高尾美穂先生が、体も心も揺らぐ30~40代の女性に優しくアドバイス!第4回の後編は、首や肩のこりがつらいという、Sさんのお悩みについてです!
教えてくれたのは
高尾美穂先生
産婦人科専門医・婦人科スポーツドクター・ ヨガ講師。産婦人科専門医として、女性の健 康をサポートしつつ、それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った治療を提案す る一方、スポーツドクターとして、女性のプロアスリートへのサポートも行っている。
【相談テーマ】肩こりや腰痛と冷えに悩まされないための対処法は?
相談者:Sさん(44歳)
神奈川県在住
11歳双子の男の母
フリーランスの仕事と派遣社員のWワーク
こりは血行不良!気づいたら肩や首を回して
Sさん:最近はこうした疲れのほかにも、仕事柄PCやスマホ時間が多いせいか、肩・首のこりや腰痛もつらくて……。
高尾先生:こっているというのは、血流が悪いということ。気づいたときに、肩や首をぐるぐる回すといいですよ。腰痛に関しては姿勢が大事です。立っているときはそり腰にならないように、おへそをグッと背骨に引き込むように意識しましょう。また座っているときは足を組まないことと、腰を立たせるように意識することも必要ですね。腰を立たせるためには、椅子の上にあぐらをかく姿勢もおすすめです。
Sさん:長時間仕事をしていて背中が丸まっているとき、呼吸が浅くなっている気がしています。これも疲れと関係がありますか?
高尾先生:大いにありますよ。Sさんが言うように、背中が丸くなると肺が圧迫されて呼吸が浅くなります。呼吸が浅くなると、体を活動的にする交感神経が優位に。ずっとアクセルを踏み込んでいる状態なので、体がリラックスできないんです。
Sさん:つい仕事に没頭してしまうこともあるんですよね。そんなときは、どうしたらいいですか?
高尾先生:仕事中は定期的に休憩をはさんで、リラックスしてください。おすすめは90分ごとにアラームをかけて休憩をとり、その際に深呼吸を行うことですね。「4数えながら吸って、6数えながら吐く」というリズムで、1分間に6回深呼吸を行うだけでも、心拍数が落ちて副交感神経が優位になり、体がリラックスした状態になりますよ。
冷え対策には体を動かして熱をつくり血行不良を改善!
Sさん:こりも気になっていますが、実は同じくらい冷えも気になっています。冷え取り靴下や腹巻きを使ったり、30分以上湯船につかったりするよう気をつけていますが、ほかにできることはありますか?
高尾先生:冷えは漢方が得意な分野ですよ。
Sさん:どこで相談をすればいいでしょうか?
高尾先生:一般の婦人科でいいと思います。「冷えに悩んでいるのですが、使える漢方はありますか?」と聞けば、保険の効く漢方を処方してもらえると思います。
Sさん:早速相談してみます。
高尾先生:あとは、運動ですね。体の中で唯一熱をつくれる臓器が筋肉です。体を動かして熱を生み出すことが根本的な解決策です。
Sさん:私、運動習慣がなくて……。
高尾先生:まずは夜寝る前に動画を見ながらヨガをするなどから始めて、体を動かすことに慣れていくといいですね。寝る前にヨガをすると副交感神経が優位になるので、睡眠にも効果的ですよ。
【高尾美穂先生のお悩み処方箋】肩・首のこりや腰痛改善のためにできること
1:こりを感じたら肩や首をまわす
2:腰を立てる姿勢を意識する
3:仕事中は90分ごとに休憩をはさんで深呼吸を
【高尾美穂先生のお悩み処方箋】冷えの改善のためにできること
1:漢方を取り入れる
2:体を動かす(運動習慣がない場合はヨガなどできそうなことからスタート)
【相談を終えて】限界まで頑張らずゆとりを持つことを心がけたいです!
たしかに、最近は食事していても仕事のことばかり考えていましたね……。根を詰めすぎず、ゆとりや余裕を持つことを心がけたいです。また、生活の中に運動を取り入れたり、今抱えこみすぎていることを少し手放してみることも大切だと実感しました。
家で飼っている猫が癒しになっていて、気持ちにゆとりを持つのに一役かってくれています。猫と一緒に遊ぶ時間はもちろん、家族との時間も貴重なひとときなので、上手に楽しく過ごしていきたいです。
撮影/中林 香 取材・文/須賀華子 編集/倉澤真由美