バラつく40代の生理、どう対処したらいい⁉【高尾美穗先生のお悩み処方箋】

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産婦人科医の高尾美穂先生が、30~40代の人にはなかなか言いづらいお悩みに、優しくアドバイス! 第3回の後編は、生理周期がばらついて困っているというSさんのお悩みについてです。

 


教えてくれたのは
高尾美穂先生
産婦人科専門医・婦人科スポーツドクター・ ヨガ講師。産婦人科専門医として、女性の健 康をサポートしつつ、それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った治療を提案す る一方、スポーツドクターとして、女性のプロアスリートへのサポートも行っている。

【相談テーマ】バラつく生理の対処法を教えてください


相談者:Sさん(46歳)
愛知県在住
会社員

生理のバラつきは吸水ショーツなどで対策を、量が多ければミレーナで出血を減らす手も

Sさん:今日はもう一つ、生理のバラつきに関してもご相談したいです。

高尾先生:46歳ということだと、閉経に向けて生理がバラついてくる年齢ですね。

Sさん:はい。バラつき自体はしょうがないことだと思っているのですが、生理が始まる日の予測がつかないことに困っています。

高尾先生:更年期の女性の大きな悩みですよね。40歳以降にピルを服用開始することは血栓症リスクが年々高くなるので、強くはおすすめできませんが、40歳前からピルを飲み初めていた人の場合は、継続することができます。なので、ピルを飲んでいた人はここにきて大きなメリットが出るんですよね。ホルモン補充療法によって周期を整えることは可能ですが、最後はやはりバラついてしまいます。

すぐにできることとしては、色の薄い洋服で外出するときはナプキンをつけておくことや、吸水ショーツを利用することでしょうか。

Sさん:吸水ショーツも量が多いときは不安になります。

高尾先生:出血量を減らすことは可能ですよ。こういったケースにおいて一番おすすめなのは、子宮内黄体ホルモン放出システムのミレーナを子宮内に入れることです。これによってかなり出血量は減ります。ミレーナは内診台で医師に入れてもらう必要がありますが、一度子宮内に入れるだけで5年間そのまま入れておけるので、46歳であれば平均的な閉経年齢前後まで使い続けることができます。

そのほか、プロゲスチン製剤(黄体ホルモン製剤)を服用することで出血がなくなる人もいますが、朝晩薬を飲み続けなければならないので、ミレーナの方が手軽だと思います。

一歩踏み込んだ相談をしたいなら、時間をかけてかかりつけ医をつくって

Sさん:そうなんですね! 以前出血量が急に増えたときに心配で受診したのですが、医師からは「大丈夫ですよ」と言われただけで、こういった説明はしていただけませんでした。

高尾先生:医師の仕事は、まず異常の有無の判断をすること、つまり「診断」です。異常がなければ、それで診察終了となってしまうことが多いと思います。もし異常がなくても困っていることがあるのであれば、「何に困っているのか」「何を改善したいのか」など、自分が何を望んでいるのかを整理して医師に伝えてみてください。ちなみに、Sさんはかかりつけ医はいますか?

Sさん:いえ、それっきりそこのクリニックには行っていなくて。

高尾先生:医師から的確なアドバイスをもらうためにも、かかりつけ医を持つことも大事ですよ。私たち医師にとって、患者さんを診る上で大事なのが、前回の記録との比較です。「前回とポリープのサイズが変わってないから大丈夫だな」とか「血液検査の値が少し低いけれども、これまでも低めだったから、この患者さんにとってはこれで問題ないんだな」といった判断をすることができます。

さらに「3か月後にまた来てね」などと伝えた通りに来てくれる患者さんは、医師にとっては「約束を守ってくれる人」で、自分をかかりつけ医だと思ってくれているのだと感じます。こうしてお互いに時間を重ねてコミュニケーションをとっていく中で、その患者さんの生活全体を視野に入れた生活習慣などの提案もできるようになっていきます。

もちろん診察室で傷つくようなことを言われたというようなときは、ほかの医師を探すべき。でもそうでないのであれば、少し時間をかけて医師とつき合うということを大事にしてみてください。

【高尾先生の処方箋】バラつく生理への対処法

1:外出時にナプキンや吸水ショーツを使う
2:出血量を減らすためにミレーナを使う
3:一歩踏み込んだアドバイスを求めるなら、望むことを整理して伝えつつ時間をかけてかかりつけ医をつくる

【相談を終えて】物事を難しく考える癖をなくし、医師とじっくり向き合うようにしたいです!

これまで友人から誘いがあったときに会っており、目的を明確にしていなかったこともモヤモヤしてしまう原因の1つだと気づくことができました。今度から目的を明確にして楽しむのと同時に、会ったあと、よかったことに目を向け、物事を難しく考える癖を改善していこうと思いました。睡眠の質をよくするために深呼吸や運動も取り入れていきたいと思います。

後半の質問に関しては、今後自分に合ったかかりつけ医を見つけるためにも、自分の状況を整理して受診したいと思います。ミレーナのことは知らなかったので、今後の状況を見て取り入れるか検討したいと思います。

趣味のアクセサリーづくりをするときは、集中できる気がします。でき上がったときの達成感が何ともいえず、また、服に合ったアクセサリーを選んだり、つけたりすることも楽しんでいます。

撮影/中林 香 取材・文/須賀華子 編集/倉澤真由美

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