こんにちは!
Mart WEEKENDER、フォトグラファーのSOLAです。
3月。卒園・卒業を迎えるご家庭も、そうでない方も、この節目の季節には、お子さんの成長にきゅんとする瞬間をお過ごしのことと思います。
新しい世界へ踏み出していく子どもの背中を、成長の嬉しさと、ほんの少しの寂しさも感じつつ、そっと押してあげたいものですね。
衝撃!日本の子どもたちの心の現実
まずはこのグラフを見てください。日本を含めた7カ国の、子どもの意識調査です。
他国に比べ、日本の子どもの自己評価がかなり低いのがわかります。
「自己肯定感」、最近よく耳にするワードですが、「自分が好き・私ならできる・僕は大丈夫」、そう思える自信の源で、何をするにも心の土台となるもの。
勉強もスポーツも人間関係も、この先の人生を進んでいくのにこの土台が強いほど、幸福度が高くて伸びる子になっていけます。
子どもの心に、強い土台を作るには?
自己肯定感を高めるためには、周囲の人から日常的に認められたり、ほめられたりする経験が重要です。きっとここが、諸外国と日本の違いの一つではないでしょうか。
私たちは、ほめるというと、「テストがんばったね」「よく描けたね」「お片付けできてえらいね」といったほめ方=【条件付きのほめ】はできるんです。
けれども、海外ドラマのように、日常的に「愛してるよ♡」とか、「そばにいてくれてありがとう」など、【無条件で存在自体をほめる】愛情表現となると、なかなかできないのが日本人。
面と向かってほめるのも照れ臭かったり、どうほめればいいか分からなかったり、子どもも成長に伴い親の言葉を素直に受け取れなくなってきたり。
子どもをほめるのが苦手な方に試してほしいこと
日常的に子どもをほめるために一役買うのが……スマホやカメラの中に蓄積されてる【写真】です。
子どもや親子の写真をプリントし、日常的に目にするところに飾る、またそれを一緒に見ながら、ポジティブな言葉をかける。
「ほめ写」という言葉で提唱されるその新しい子育て習慣に私が出会ったのは、まだ子どもが赤ちゃんの頃。以降、子ども×写真という組み合わせでできることに共感し、自分なりに写真を使った励ましを実践してきました。
子どもに「自分は愛されている」「必要とされている人間なんだ」という感覚が育まれ、自己肯定感の向上につながることが実証されています。
親子の対話のきっかけにもなるし、たとえ忙しくて会話がままならない時でも、写真が言葉以上に語りかけ、さりげなく愛情を伝えてくれるのです。
「ほめ写」のやり方とポイント〜知っておきたい2種類の「ほめ」〜
誕生時や七五三など、記念日の写真をいくつか、フレームに入れて飾っているお家は多いと思います。それだけでも目に留まるたび、家族の絆は感じられるし、インテリアとしてもほっこりしますね。
ただ、ここではそこからもう一歩進んで、子どものメンタルにより有効な「ほめ写」のやり方・ポイントを紹介します。ステップは3つ。
- 撮る、選ぶ
- プリントする、飾る
- ほめる
それぞれ、詳しく説明していきます。
1 撮る、選ぶ
親が撮る写真、選ぶ写真は、それ自体がメッセージですね。キレイな写真、上手い写真である必要はありません。構図や明るさで迷うより、一瞬の本物の表情を優先しましょう。
「テストで100点とったよ」
一瞬の表情が思い出に
どろんこになっても輝く笑顔
夢中を邪魔せず、自然な姿を。こっちを向いてなくてもOK。
ポイントは、先ほど挙げた、2種類のほめ。「①条件つきのほめ」と「②無条件のほめ」の両方を意識して選んでみましょう。
①子どもが何かに熱中している、がんばっているシーン=努力や達成をほめる「条件つきのほめ」
試合や発表会などの姿や、何かを成し遂げたときの写真。
がんばった過程や達成感をしっかり可視化することで、記憶に強く残り、自信になります。
標高3,000mの立山(雄山)に登頂!
がんばったことや、達成したこと。一緒にいた仲間。
大好きなことを楽しんでいるところ
②家族のふれあいや愛情、楽しさを思い起こすシーン=存在そのものを肯定する「無条件のほめ」
生まれた時の写真や、お祝い、家族とのふれあいなどを見ると、愛されている実感が湧きます。
赤ちゃん時代やお誕生日
愛情を感じられるだっこの写真
日頃から、このようなシーンに出会ったらすかさずカメラに収めておきましょう。(←ここで親の観察眼も磨かれますね。自然と子どもをよく見るようになります。)
写真セレクトの際は、お子さんに選ばせてあげるのも◎。
「なぜそれを選んだの?」とか、「この時どんな気持ちだった?」など対話のきっかけにもなります。
思春期で写真を撮らせてくれない場合には、昔の写真でもOKです。
2 プリントする、飾る
リビングや子ども部屋など、子どもが日常的に過ごす場所に、子どもの目線に合わせた高さで。L版、2L以上で、なるべく大きめが見やすいです。特にお気に入りはA4くらいに大伸ばしするのも変化がついておすすめ。
まずはあまり気負わずに、ピン留め、マステ貼り、クリップで吊る…など、ご自宅に合う方法を試してみましょう。
ただ、紙焼きはそのままだと、時間とともにカールしてきてしまいます。それが気になる場合は、インテリアパネルやキャンバスプリント、額装サービスを利用したり、市販のフォトフレームも写真をぐっと格上げしてくれます。
あまりコストをかけずにパネルを作りたいなら、ホームセンターに売っている材料で自作もできます。
裏がシールになった糊付きパネルに写真を貼り、カッターでサイズに合わせて切るだけ。
ただ…
子ども写真って新作がどんどん生まれるから、壁もすぐいっぱいになりますよね。
過去ばかりでなく今の成長を追うためにも、名残惜しいけど定期的に写真を交換したいもの。なので、あまり手間・コストが負担にならずに、手軽に入れ替えできる方法を選ぶのが続けるポイントです。
貼り替えの手間を少なく、インテリアとしての映えも重視する人には、木製パネル「AUGENBLICK」のような商品もおすすめ。
壁にスペースがない方は、フォトブックにしてもOK。
他にも、カレンダー、マグカップなど、生活の中で身近における様々なグッズが作れます。
3.ほめる
折に触れ、写真を見ながら、さりげなくポジティブな言葉をかけましょう。
- がんばったこと、達成したこと
- 子どもの存在そのものへの肯定
この2つのほめポイントを心がけてほめることで、何事に対しても「私ならできる、がんばれる」と思える心の強さが育ち、失敗しても前向きに立ち向かっていけるようになります。
また、「あなたがいてくれて、幸せなんだよ」というメッセージを伝えることで、子どもは愛情を実感でき、自分の存在を肯定できるようになります。自分が受容される体験を重ねることで、他の人を思いやる気持ちも育まれていきます。
筏作りから挑戦して、一人で冒険に漕ぎ出した。
たまたま撮った写真だけど、愛情が伝わる気がしてる。娘もお気に入り。
「ほめ」のビジュアル化が重要
選んで、プリントして、壁に貼る、かぁ…ちょっとハードルが高いわ、という方もいますよね。かくいう私も、あまりマメにできないタイプ。
そんな人には、スマホ内の写真や動画を、そのまま親子で一緒に振り返る「鑑賞タイム」をとるのもおすすめ。
できれば毎晩1日の終わり、あるいは家族で過ごせる週末に、子どもが楽しそうにしている姿、がんばってるシーンなどを一緒に見ながら、「〇〇君、今日はこれがんばってたね、かっこよかったね」「この時のキャンプ、楽しかったね」といったポジティブな会話をします。
「目」を通して育つもの
写真を使ったこうした取り組みが、なぜ心に作用するかというと、「自分が幸せな状態は、客観視することが難しい」からです。過去を振り返って、楽しいこと、いい思い出が多い人ほど、幸福度が高いことがわかっているそう。
私自身も子ども時代、楽しかった思い出は何度も記憶で反芻して、その度に元気をもらっていた思い出があります。であれば、その思い出を目に見える形にできる「写真」というツールはうってつけ。「自分は素敵」ということを、繰り返し脳に伝えてあげることができるんです。
また、そもそも写真が苦手すぎるとか、夜にデジタル機器で動画を見せるのは抵抗がある、などの場合は、【鏡の前で抱きしめる】習慣だけでも、愛されている姿を客観視することができます。
まとめ
こうした「幸福のビジュアル共有」は、子どものためだけでなく、親としても幸福感を再認識でき、自分のがんばりを認められる機会になります。
大変なことも少なくない子育ての日々で、気持ちの余裕を持って子どもに接していくためには、親自身の自己肯定感も大切。
無理せず、楽しんでできることから。ぜひ試してみてくださいね。
写真・文/SOLA