不妊治療をしていますが、いつまでどこまでしたらいいのか悩みます。【高尾美穂先生のお悩み処方箋】

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Mart世代の30~40代女性は、心や体の変化を感じたり、悩むことが多い世代でもあります。そんな悩めるMart読者のために、産婦人科医の高尾美穂先生が相談者の心に寄り添って優しくアドバイス!第24回は不妊治療についてのお悩みについて、お答えいただきました。

悩める女性の心を軽くしてくれる!高尾美穂先生

高尾美穂先生
産婦人科専門医・婦人科スポーツドクター・ ヨガ講師。産婦人科専門医として、女性の健 康をサポートしつつ、それぞれのライフステージ・ライフスタイルに合った治療を提案する一方、スポーツドクターとして、女性のプロアスリートへのサポートも行っています。雑誌やテレビほかさまざまなメディアでも、女性のお悩みへの優しいアドバイスが好評です。

【相談テーマ】不妊治療はいつまでどこまでしたらいい?

相談者:Aさん
東京都在住
専業主婦

高尾美穂先生にお悩み相談をした読者

金額や期間を決めて治療を続けてみるのがおすすめ

Aさん:現在33歳で、2年前から不妊治療をしています。この先どうしたらいいのか悩んでしまうことがあって……。

高尾先生:どのような治療をしているのですか?

Aさん:私のホルモン値が低く無月経なので、体外受精と顕微鏡受精を今までに2回行いました。1回目は着床せず、2回目は着床したのですが、残念ながら7週目くらいで稽留流産してしまいました。

高尾先生:一度妊娠できているというのは、非常にプラスになる判断材料です。少なくとも、現在通院している病院の治療方針は間違いではないと思いますよ。

Aさん:そうなんですね。ホルモン剤などの治療をしているので、体への負担も心配です。

高尾先生:確実なデータがあるわけではないのでなんとも言えませんが、基本的には体の中でつくられているものを足しているので、そこまでに心配することはないと思います。

Aさん:この先のことを考えるうえで、セカンドオピニオンを受けるのはどうでしょうか?

高尾先生:妊娠7週目までいっているので今の病院でもいいと思いますが、別のところで話を聞いてみてもいいと思います。もしかしたら使っていない補助や助成もあるかもしれないので、話を聞くことで新しい道が見えたり、お金の使い方が変わることもあるかもしれません。

Aさん:このままずっと治療を続けるべきかも悩んでいます。金銭的なこともあるので、どれくらいを目安に続けるべきか……。

高尾先生:そこはみなさんが悩むところですよね。本当は不妊治療を始めるときに、夫婦でどれくらいの期間や金額を目安に続けるか決めておくのがおすすめです。お金に関しては、生活が不安になるような使い方はおすすめできません。どのような形になるにしても、夫婦でしっかり話し合うことは大切だと思います。

Aさん:年齢について、高尾先生はどれくらいを目安にするのがいいと思いますか?

高尾先生:現在33歳であれば、一般的に考えてまだ5年以上はチャンスがあると思うし、卵子の状態によってはそれ以上続けられることもありそうです。男性も女性より少ないとされていますが、加齢により精子に影響が出てきます。2年前から始められているので、31歳から不妊治療をしているのは早いですね。若い間に集中的に治療をするのは、可能性も高まるのでいいと思いますよ。

 

高尾美穂先生

治療ばかりではなく、ときにはまわりにも目を向けてみましょう

高尾先生:夫婦で不妊治療に対する気持ちにずれなどはないですか?

Aさん:無理をせずに長い目でやっていこうと、同じ方向に気持ちは向いていると思います。

高尾先生:それはよかったです。もし妊娠に至らなかったときも、決して自分のせいだなど自分を責めないようにしてくださいね。不妊治療は、努力をすればした分だけ結果が出る、というものではないので、頑張っている人ほどつらいと思います。

Aさん:うまくいかないことが続くと、「お母さんになる資格がないのかな」「いつまでこの治療生活が続くんだろう」と不安が募ってきて、泣きたくなる気持ちになってしまうこともあるんですよね……。

高尾先生:治療だけに意識がいってしまうと、だんだん辛くなってきてしまいますよね。これからのことがわからない中で大変ですが、ひとりで思いつめすぎずに夫婦間のコミュニケーションを積極的にとるようにしましょう。ひとりで頑張っているのではなく、ふたりでともに進んでいる、という意識が大切です。あとは治療以外のことにも挑戦してみるのはどうでしょうか。

Aさん:治療以外のことですか?

高尾先生:24時間治療のことばかり考えていると、心がしんどくなります。治療が大変だとは思いますが、趣味や仕事など、ほかのことに没頭してみると少し心が楽になるかもしれません。

Aさん:なるほど。ほかのことにも目を向けてみるのもいいかもしれませんね。

高尾先生:個人的にはメリハリをつけてトライするのがおすすめです。例えば治療を夏まで半年間続けると決めたら、夏はいったん治療のことは気にせずに好きなことをして過ごすなど、ご褒美や楽しみもつくっておくといいですね。追い込まれていないほうが、意外にうまくいくこともあるかもしれませんよ。

Aさん:わかりました。あまり自分を追いつめずに頑張っていきたいです。

高尾先生:30代前半は、いろいろな生き方をしている人がいる年代です。子育てをしている人、バリキャリの人、婚活している人、事業を起こす人……。そういう中にいると、治療中で悩みもがいている自分が前に進めていないような気がしてしまうことも。でもまた時が経てば自分も周りも状況が変わってくるし、どの生き方が正解というのはありません。焦らずマイペースでいきましょう。

【高尾先生のお悩み処方箋】不妊治療中に心を楽にする方法

  1. 現在の病院もいいけれど、セカンドオピニオンを受けるのもあり
  2. 夫婦で話し合い、金額や期間を決めて治療をする
  3. 自分を追い詰めないようにする
  4. メリハリをつけて治療に臨む
  5. 治療以外に夢中になれることを見つける

【相談を終えて】違うことに目を向け、リフレッシュできました

高尾先生の言葉を受けて、治療以外のことに目を向けて二人で出かける時間を増やしました! この夏は映画に行ったり美術館に行ったりしましたが、一番の思い出は花火大会に行ったことです。去年は残念ながら雨だったのですが、今年は天気に恵まれて、夜空に浮かぶ色とりどりの花火に癒されました。

普段、治療をしていると思いつめてしまうことも多いのですが、花火前のライブを楽しみ、勢いよく夜空を彩る花火を見ているうちに気分もリフレッシュ!また諦めず夫婦で前へ進んでいく力が湧いたので、がんばろうと思います。

撮影/中林香(高尾先生) 取材・文/酒井明子

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