タイと日本を横断するアートシーンの現在地『Between Us』開催。サリーナ・サッタポンのキュレーションにより、磯村暖、Juli Baker and Summerら12組が参加。
労働、LGBTQ+、政治、記憶─異なる視点が“あいだ”で交差する企画展を、6月27日(土)より西麻布・WALL_alternativeにて開催。
エイベックス・クリエイター・エージェンシー株式会社(以下 ACA)が運営する夜のオルタナティヴ・スペース「WALL_alternative」では、2026年6月27日(土)から7月13日(月)まで、タイ出身で東京を拠点に活動するアーティスト/キュレーター、サリーナ・サッタポンによる企画展『Between Us』を開催いたします。

本展は、MEET YOUR ART FESTIVAL 2025で発表された『Thailand, What’s Going On』を発展させたキュラトリアル・プロジェクトです。愛甲次郎、磯村暖、木戸龍介、野島渓、サリーナ・サッタポン、D-jai Kosiyabong、Kanchalee Ngamdamronk、Siri Satthaphon、Juli Baker and Summer、Thawatchai Homthong、LOKLIESLAND、Padungpong Sarunoら、タイと日本、計12組のアーティストが参加し、文化、身体、政治、記憶、アイデンティティなど、多様なテーマを通して、“人と人とのあいだ”に立ち現れる感覚や関係性を探ります。
日本を拠点に活動するアーティストは、タイ滞在を通じた新たな制作も展開し、異なる背景や視点が交差することで生まれる、揺らぎや違和感、共鳴を可視化します。
キュレーションを手がけるサリーナ・サッタポンは、タイの少数民族出身という自身のルーツや日常の経験をもとに、パフォーマンス、写真、映像、インスタレーションなど多様な表現を横断しながら活動するアーティストです。社会や文化の「あいだ」に存在する距離や違和感をテーマに、国内外で作品発表を行い、アートを通じた新たな対話の場を創出しています。
会場では、12組のアーティストによる作品に加え、日本を拠点に活動するアーティストがタイでの滞在やリサーチを通じて制作した新作を中心に、絵画、映像、写真、インスタレーションなど15点以上を展示します。文化的背景や価値観の違いが交差するなかで立ち上がる、新たな表現の可能性を紹介します。
また、コーヒースタンド・グリーンショップ「PERK SHOP」と協働し、本展示にあわせてセレクトした植物を展示・販売するほか、タイで制作された丁寧なクラフトアイテムを扱うショップ『Studio 2525』ともコラボレーションしポップアップショップを展開します。
展覧会初日の6月27日(土)には、オープニングレセプションを開催しアーティストも在廊予定です。また、会期中の7月11日(土)にはサリーナ・サッタポンと磯村暖がシェフとなりタイ料理を囲みながら対話を育むイベントも開催予定です。
作品鑑賞にとどまらず、人と人、文化と文化が交わる“出会いの場”となる展覧会を目指します。
併設のバーでは、サリーナがディレクションしたオリジナルのタイ料理メニュー『グリーンカレー』と『ベジタブルココナッシュガー』、さらにタイのワイナリー「Spring Chenin Blanc」と「GranMonte Vineyard and Winery」によるスペシャルセレクトワインを会期限定で提供します。
私たちは、自己と他者、過去と現在、個人的な記憶と共有された歴史、そして地理、言語、文化、イデオロギーの境界を横断する、絶えず変化し続ける関係性のなかに生きています。そうした「あいだ」の空間は、不安定で曖昧であり、ときに定義することが難しいものです。しかし同時に、それは他者に耳を傾け、対話を重ね、ともにあることの新たな可能性を想像するための場でもあります。
『Between Us』は、タイと日本のアーティストたちの出会いを通して、現代社会における共生のあり方を探ろうとする関心から生まれました。それぞれのアーティストは異なる社会的、文化的、政治的背景を持ちながら活動していますが、彼ら/彼女らが向き合う問いの多くは、異なる文脈を超えて響き合います。労働、移動、ジェンダー・アイデンティティ、民族性、権力、記憶、そして個人と社会との関係といったテーマは、それぞれに固有でありながら、同時に私たちが共有する課題でもあります。
本展は、タイや日本を固定化されたアイデンティティとして提示することを目的としていません。むしろ、そのあいだに存在する距離のなかで何が生まれるのかを探る試みです。私たちはいかにして差異とともに生きることができるのか。そして、互いの複雑さを受け入れながら、傾聴や交流を通して新たな関係性を築くことは可能なのか。本展はそうした問いを投げかけます。
最終的に、「私たちのあいだ」にある空間は、埋められるべき隔たりではなく、出会い、学び、そして社会における共同的な変容へと開かれた場なのかもしれません。
サリーナ・サッタポン
We live amid relationships that are constantly in motion, between self and others, between past and present, between personal memories and collective histories, and across the borders of geography, language, culture, and ideology. These in-between spaces are often unstable, ambiguous, and difficult to define. Yet they are also spaces that create possibilities for listening, negotiation, and imagining new ways of being together.
‘Between Us’ emerges from an interest in the conditions of coexistence in the contemporary world through the encounter of artists from Thailand and Japan. While each artist brings distinct social, cultural, and political experiences, many of the questions they confront resonate across different contexts. Issues of labor, migration, gender identity, ethnicity, power, memory, and the relationship between the individual and society reveal challenges that are both specific and shared.
Rather than presenting representations of Thailand or Japan as fixed identities, this exhibition explores what takes place within the distance between them. It considers how we might live alongside differences and whether new forms of relationships can emerge through listening, exchange, and an acceptance of one another’s complexities.
Ultimately, the space between us is not a gap to be filled, but an open terrain for encounter, learning, and collective transformation within society.
■出展アーティストについて
サリーナ・サッタポン

1992年、タイ生まれ。東京藝術大学大学院グローバルアートプラクティス専攻にて博士号を取得したアーティスト。パフォーマンス、インスタレーション、写真など多様なメディアを用いて制作を行う。自身の経験や日常の出来事から着想を得ながら、人と人とのつながりや、場所との関係性のずれによって生じる空間的・身体的なダイナミクスに関心を寄せている。近年は、パフォーマティブな空間のあり方を通して、人間関係やディスロケーション(移動や移住に伴う居場所の揺らぎ)について探求している。
愛甲次郎

東京を拠点に活動する画家。2016年に東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業。主に和紙の上に鉛筆と墨を用いて制作を行う。曖昧に揺らぐ輪郭や、無機的な線と有機的な線の交わり、さまざまな深度の黒を扱うことで、描かれたモチーフにブレ、乱視のような焦点の定まらなさを生じさせる。主な個展に「誰かが自分のために祈ってくれるということ」(CLEAR GALLERY TOKYO、東京、2024年)、「ピアニシモな鎧」(TAKU SOMETANI GALLERY、東京、2023年)、「fragments」(銀座蔦屋書店、東京、2022年)など。
磯村暖

美術家。絵画、彫刻、映像、サウンド・インスタレーション、プロジェクトベースの実践を横断し、異なる時間スケールや生命活動、言語/情報のあり方を交差させる作品を展開している。人間中心的な時間意識や価値観、バイオポリティクスから逸脱した人間の存在のあり方に関心を寄せ、反復、ずれ、停滞といったクイア・タイム的感覚を通じて、日常のリズムやオルタナティブな進化、身体機能の変容といった複数のレイヤーを重ね合わせる。また、SF的想像力や社会規範の引用、ユーモアを介しながら、多様なメディアを移動・変形させ、意味の成立条件そのものを問い直している。主な活動に、アジアン・カルチュラル・カウンシル(ACC)フェローシップによるニューヨークでのレジデンス、国立台湾美術館で開催された「アジアン・アート・ビエンナーレ2021」への参加、東京大学安田講堂における「TEDxUTokyo 2023」への登壇など。
木戸龍介

1984年、東京生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科博士課程およびタイ王国シラパコーン大学博士課程を修了し、両大学から博士号を取得。彫刻技法を基盤に、社会の内面性や価値観、歴史的記憶に対して、物質を通してどのように関与し得るかを探求している。近年の「Inner Light」シリーズでは、社会的・歴史的文脈を持つオブジェクトや建築、船などに無数のヴォイドを生み出し、光や空気、視線を通過させることで、物質・記憶・風景の関係を再編している。主な発表に、Thailand Biennale Chiang Rai 2023《Inner Light -Chiang Rai Rice Barn-》、瀬戸内国際芸術祭2025《Inner Light -Floating Houseboat of Setouchi-》など。さらに2025年度文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業を機に、アーティストとロボットアームが同一素材に交互に彫刻を施す《A.I. – Dialogue through Two Hands -》を展開し、人間・素材・機械の関係から、AI時代における創造性のあり方を問い直している。作品は東京藝術大学大学美術館、サンフランシスコ近代美術館などに収蔵されている。
野島渓

1993年生まれ。 東京造形大学大学院デザイン研究領卒業
コラージュを中心に作品を制作。異なるイメージを重ね合わせて生まれるズレやリズムを、グルーヴとして捉え音の視覚化を試みながら、てんかんの発作時に起きる瞬間的な記憶の繋がりをテーマにした「Flash map」という考えも作品に取り入れ、作品を制作している。
主な実績に、LUMINEのショーウィンドウへのアートワーク提供、HYSTERIC GLAMOURとのコラボレーション展示「BLIND KILL」、BEAMSへの作品提供、MIYAVIのNFTアート制作としてPERIMETORONへのアートワーク提供、Plus81galleryなどでも個展をしている。
D-jai Kosiyabong

1998年、バンコク生まれ。絵画を通して言語、記憶、そしてノスタルジアをテーマに探求している。彼女は特定の記憶に自身を定位させることから制作を始め、その記憶と、記号論や言語へのオマージュとして設定された独自のルールをもとに、キャンバス上での手の動きを決定していく。そこから作品は視覚言語から聴覚言語へと変換され、結果として大規模な絵画作品は「新たな言語」として立ち上がる。コシヤボンはこうした思索的な姿勢を作品に内包しつつ、祝祭的な感覚を喚起しながら、希望と遊び心に満ちた新しい世界を創出している。
Kanchalee Ngamdamronk

1989年、タイ生まれ。テキスタイルを専門とするタイのアーティスト/デザイナーであり、クラフトを通してアイデンティティ、帰属意識、そして文化的記憶を探求している。テキスタイルおよび織物のバックグラウンドを持ち、チェンマイにて「Slowstitch Studio」を共同設立し、素材の探究とクラフツマンシップに基づく制作を行っている。彼女のプロセス主導の実践は、アートとクラフトの境界を横断し、職人との協働を通して伝統的な技法を再解釈しながら、変化し続ける文化的な物語や、手仕事の持つ感情的な共鳴について思考を促している。
Siri Satthaphon

1963年、タイ・サコンナコーン生まれ。サコンナコーン師範大学(現・サコンナコーン教育大学)にて美術教育の学士号を取得。1989年から2023年まで、プーパン郡バン・ルブラオ学校で教員として勤務し、サコンナコーン県の優秀美術教師賞やチャオファー・マハジャクリ賞(第5期・教師功績賞)を受賞した。アーティストとして、シリはタイ国内外で100回以上の展示に参加しており、ラオス、中国、マレーシアでも作品を発表している。彼の作品は、多彩な技法と鮮やかな色彩を通してイーサン地域コミュニティの文化や集団的記憶を反映している。また、一部のタイのコミュニティに伝わる、目に見えない存在や精霊、神々との結びつきに関する信仰を取り入れており、人間の生活がこうした不可視の力とつながっているとする考え方は、代々語り継がれ、地域文化に根付いている。
Juli Baker and Summer

タイ出身。アーティスト、ライター、旅人。彼女の創作の旅は、ファッションデザイナーになるという夢から始まった。チュラロンコン大学でファッションとテキスタイルを学んだ後、絵画に真の天職を見出し、アーティストとしての人生を歩み始めた。2015年にプロとしての活動を開始して以来、Juli Baker and Summerは、大胆で太陽に照らされた色彩パレットと、若い女性を表現した生き生きとした作品で知られている。彼女の描く人物像は、しばしば奇妙で抽象的かつ自由でありながら、静かな強度を漂わせ、鮮やかな筆致を通して感情を体現している。
Thawatchai Homthong

1972年、タイ・ウボンラーチャターニー生まれ。メコン川流域の文化や環境をテーマに制作する現代タイの画家である。絵画を通して、地域の生活、記憶、人と自然の関係性を表現している。
タイ国内および東南アジア各地(マレーシア、ラオス、ベトナムなど)で作品を発表しており、2019年には東京都美術館で銀賞、2020年にはメコン現代美術賞を受賞している。
LOKLIESLAND

1988年、タイ・ソンクラー生まれ。ナコーンパトムを拠点に活動するタイのアーティスト。シラパコーン大学美術学部を卒業。彼の絵画は、断片化された記憶、神話、多文化的な影響、そして個人的な物語から生まれる想像上のキャラクターや夢のような空間を描き出す。制作を通して、芸術を一種のメンタルセラピーとして捉え、内面的な探求を行っている。これまでに個展「MaidenLand」(2014年)、「#BORDERLAND」(2018年)を開催し、タイ国内の複数の美術賞を受賞。中でもシルパ・ビラサリ金賞という権威ある賞を受賞している。
Padungpong Saruno

1990年生まれ。タイの画家であり、アイデンティティや自己表現、そしてLGBTQ+コミュニティの生きられた経験をテーマに制作している。
大胆な色彩と表現豊かなフォルムを用い、個人的な物語とより広い社会的テーマの両方を作品に反映させながら、多様性を称揚すると同時に既存の規範に問いを投げかけている。
パドゥンポンの実践はオーセンティシティ(真正性)に根ざしており、アートを存在の証明、プライド、そしてレジリエンス(回復力)を肯定するための場として用いている。
コラボレーションショップ
PERK SHOP

PERK SHOPはコーヒースタンド・グリーンショップ・ギャラリーが一つになった、設計事務所PERK DESIGN OFFICEが手がける複合施設。独自の視点でセレクトする個性的な植物やグッズが暮らしを明るく彩ります。
Studio 2525

Studio 2525は、タイの手仕事と日本の日常をつなぐセレクトショップです。
タイ各地の職人や地域コミュニティと協力し、手織り布、漁網バッグ、陶器など、暮らしの中から生まれたものづくりを紹介しています。
伝統的な技術や素材を大切にしながら、日本の生活に自然となじむデザインを提案しています。
タイの暮らしから生まれたものを、日本の日常へ届けることを目指しています。
【OPENING RECEPTION】
日程:2026年6月27日(土)
時間:18:00-21:00
※21時以降は通常営業
※事前申込制/入場無料
会場:WALL_alternative(東京都港区西麻布4-2-4 1F)
お申し込みURL:https://forms.gle/gNan5u6CFX4jckwR6
【SPECIAL EVENT】
サリーナ・サッタポンと磯村暖がシェフとなりタイ料理を囲みながら対話を育むイベント
日程:2026年7月11日(土)
時間:Cooking performance
※19時30分以降は通常営業
※事前申込制/入場無料/ワンドリンク制
登壇者:サリーナ・サッタポン、磯村暖
会場:WALL_alternative(東京都港区西麻布4-2-4 1F)
申し込みURL:https://forms.gle/FdjHf83eqb3j1fBT8
展示概要
「Between Us」
会期: 2026年6月27日(土)~7月13日(月)
※日曜定休
時間:18:00-24:00
会場:WALL_alternative(東京都港区西麻布4-2-4 1F)
入場:無料・予約不要
HP URL:https://avex.jp/wall/exhibition/841/
企画・主催:WALL_alternative
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