今日はよもやま話をさせてください
思えば、まだ2回しか世の中にこの連載は出ていないのでした。先日、少し早めの4回目(8月末発売10月号)の撮影をしながら、ふとそんなことに気づいてちょっと驚きました。そして、今この文章を打ちながらも、もう長らく連載原稿を書いているような気がして、不思議な気持ちに……。そう思わせるものは、なにか。今日は、そんなことを書きたいと思います。長くなってしまったらごめんなさい。
アツヒロさん連載の撮影現場は、他と違う。最初に都内で撮影したときからなんとなく感じていましたが、4回目となる月曜の撮影時に、はっきりと実感。不思議な緊張感、そしてユーモアがあるのです。もちろん、通常の撮影と同じように「どんな写真を撮ろうか」という目標は掲げても、どこか自由! その場で生まれるストーリーがあって、それをどんどん盛り上げていく。時おり、いたずらっ子がなにか楽しい企みをしているかのような笑顔を見せながら、新しいものをどんどん生み出していくのです。自由で、なんだかあたたかくて、ちょっとユーモラスな空間が広がります。
そして、そこにとびきりのやさしさが加わるのも、このアツヒロさんチームの撮影ならでは。例えば誰かがなにかに戸惑っていたり、緊張しているときは、さっとそばに行って「大丈夫?」とポンポン肩を叩いたり……。困ってまごついている人がいたら、自然にささっと手伝ってくださったり……。撮られる人とスタッフたちという構図ではなく、「一緒に楽しくやろうよ」という気持ちが伝わってくる現場なのです。言い方も、もしかしたらあるのかも……。決めつけないで「こうしたらどうかな?」「どう思う?」、そんなやさしい表現なのです。
だからきっと、世界にひとつしかない、アツヒロさんオリジナルの最高な作品がつくれるのだなと思いました。昔むかし、アツヒロさんがグループ時代に出した自伝の最終ページにあった「好きな言葉100(ちょっと表現が違うかもしれません)」。他ページはみんなと同じ構成なのに、ひとりだけ特別な見開きがあって。なんだかそこを読むだけで、より敦啓さん(あっくん)を知れたような気がしてわくわくしたことを、いまだに覚えています。あの頃も今も、やさしさとまっすぐさ、あったかさ、たくさんの好奇心とユーモアを持って「ひと対ひと」を大切に、ものづくりをされているのだなと感じました。そして、これは、アツヒロさんにしかできないことだな、とも。
Martの連載は、そんなアツヒロさんのパワーの結集です。アツヒロさんにしかできない、最高のものづくりを目指しています。いろいろな経験をして、いろいろな気持ちに触れてきたからこそ言ってくださる、誰にもマネできない”アツヒロ論”を大切にしたいと思っています。そして、お写真はちょっぴりプライベート感ありで。どうぞ今後とも、「こじらせ男子でなにが悪い」をよろしくお願いいたします。