【働くMartミセス】わたしたちの働き方改革が未来を開く・前編

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やりがいがあっても、母親になった先の働き方が見えない。両立はできても、「小1の壁」が乗り越えられない……。女性として働き方の岐路に立つごとに真剣に悩み、自分と家族にとって最良だと思える新たな道を模索してきたMart読者の大谷奈央さん。「これだ」 と思える働き方に巡り合えた今の気持ち、そしてこの先の「働き続けること」への思いを聞きました。

 


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【PROFILE】

大谷奈央さん(40歳)神奈川県川崎市在住/かならぼPR
化粧品メーカー「かならぼ」にPRとして勤務。気になるコスメや健康グッズを試すことが趣味。目下、在宅勤務での運動不足解消のために健康グッズにハマり中。夫と長女(小3)、長男(年中)の4人家族

 

猛烈な忙しさを経験して至った働き方改革。
育児を中心にしたベストなワークバランスを実現(前編)

2回の転職で出合えた仕事と育児が両立できる職場

「地道な宣伝活動の結果、商品が雑誌などのベストコスメに選ばれ、売り上げにつながるとうれしいです」
現在、“フジコ眉”のヒットで知られる化粧品メーカー「かならぼ」でPRとして働く大谷さん。3社目となる今の会社へは2年前に転職した。社員14名と小さいこともあり、職種の垣根なく、皆でイチから商品企画できることが私にとって最大の魅力です」
大谷さんにとっては、こうした働き方が納得のいくPRにつながっているのだそう。
「いい商品と商品内容をしっかり捉えた宣伝、それぞれがそろって初めて商品はヒットにつながります。そういう意味でも、 商品コンセプトやビジュアルデザインなどから携わり、 愛情を持って育ててきた商品を世に出すために、プラニングをする時間がとても楽しいです。そうした試行錯誤がヒットにつながったときはうれしいし、それがやりがいです」
一方、小3と年中という二児の母でもある大谷さんにとって、今の職場は抜群に働きやすいそう。
「自分の裁量のなかで柔軟な働き方が可能なので、ストレスなく育児と仕事が両立できています」

人生の節目ごとに自分に合った働き方を模索

新卒では、音楽事業を主力とする総合エンターテインメント企業に入社。
「毎日猛烈な忙しさでしたが、若いうちから大きな仕事を任され、やりがいに満ちていました」
入社3年目で、会社が手がけた映画の試写会を韓国で行うという大きなイベントの仕切り役を任された。さらに、6年目には映像配信を手がける新規事業の立ち上げメンバーに。
「たった5人しかいないチームで70億円の予算を預かるという仕事に、猛烈なプレッシャーを感じつつ、以前に輪をかけて忙しい毎日でした」
早朝まで仕事をし、11時には出社するという日も少なくないなかで、29歳になり当時交際していた彼との結婚も意識するようになると、「この働き方でいいのか?」と不安がよぎるようになったそう。
「仕事の面白さを知り、結婚後の第一線で働き続けたいという希望が強くなっていました。けれども社内には結婚後の働き方を、自分にイメージさせてくれるようなお手本となるママ社員がいなかったんです」
転職を意識するようになり芽生えたのが「一生働き続けるなら自分が興味のある美容業界に行たい」という思い。そして同じ年、結婚と同じタイミングで転職にも踏み出した。
「もし転職が失敗しても、夫と二人だから何とかなるという安心感があったから、チャレンジできました」
転職先はデパートコスメブランドを展開する企業。前職での宣伝の経験を生かしPRとして入社。多くのママ社員は働く環境だったため、「ここでならママになっても第一線で働き続けられる」という安心感のなか、31歳で娘を出産。娘が1歳になり保育園に入ると同時に仕事を再開。
「当時は仕事にも育児にも肩肘を張っていました。ママになってもバリバリ働く自分でいたいと仕事も丸抱えでしたし、 仕事で忙しい夫を尻目に『私がやるから』 と育児もすべて抱え込んでいました」
20時台に保育園に迎えに行き、帰宅後も1人で娘の世話をするなど、時間と闘いながらまさに“待ったなし”の生活。転機になったのは第2子の誕生だった。
「子どもが2人になると、頑張ってもどうにもならなくなってきて……。やっと『私1人じゃ無理だから助けて』と夫に言えました」
大谷さんのSOSに応え、夫は早く帰宅し夕食をつくったり、週末にはつくり置きもしてくれるように。
「私は仕事も育児も 『自分がやらなきゃ』 と抱え込んでしまうタイプなんだと自覚しました。そして私が肩の力を抜くことで、夫婦の形もよい方向に変わっていったと思います」
肩の力が抜けたことで、ある光景に気づけるようになった。
「育休期間に公園に行くと親子連れがたくさんいて。『穏やかな日常っていいな』 と素直に思えました。そして学校帰りの小学生を目にし『こんなに早い時間に帰ってくるのか』 と驚いたんです」 (後編に続く)

 

Mart2021年1月号 働くMartミセスより

撮影/平林直己(BIEI) 取材・文/須賀華子 構成/長南真理恵

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