誰もがなじみのある「Google」「Apple」「Facebook」「Amazon」に新たな課税ルールを決めようという「GAFA課税」。これがもし実現した場合、私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか?
今回は「GAFA課税」について、マクロエコノミストの崔 真淑(さいますみ)さんに解説していただきました。
崔 真淑(さいますみ)さん
マクロエコノミスト。大和証券SMBC金融証券研究所(現・大和証券)に勤務し、最年少女性アナリストとして主要メディアで解説者に抜擢される。現在はGood News and Companies代表、シーボン社外取締役、昭和女子大研究員。日経CNBC『崔 真淑のサイ視点』ほかテレビ東京、NHK、BSスカパー!等で経済解説を行う。身近に感じる経済解説が人気。
GAFA(ガーファ)って何?
「Google」「Apple」「Facebook」「Amazon」の4社のこと。
GAFA課税とは?
GAFAに代表される、巨大IT企業が低税率の国や地域に利益を移す課税逃れを防ぐ国際的な課税の新ルール。
崔 真淑さんが考える「GAFA課税が実行されるとどうなる?」
・無料や安価で使えたサービスのコストが上がる可能性が。
・先進的な企業が国から撤退する可能性も。
世界的にデジタル企業へ特別な課税をする動きが
今、消費税に次いで押さえておきたい課税の動向があります。それは「GAFA課税」です。ほとんどの方が、GAFAのサービスを何かしら利用していると思います。こうしたデジタルプラットフォーマーといわれる企業に対して、世界中が特別な税制度をつくり、課税をしようという動きがあります。仮に、これらの企業に対して課税負担を増やせば、企業はどこかに費用を転嫁する可能性があります。その結果、ユーザーのコスト増につながることも考えられます。例えば、無料で使う人が多いGmailやニュース検索が有料に、Apple Music、Amazonプライムなどがコスト増になるなどの可能性があります。
なぜこのような動きが起きているのでしょうか?それは2018年の欧州委員会の試算がきっかけです。欧州企業の税負担率が平均20.9%だったのに対し、GAFAは8.9%(!)にすぎないと……。これは日本でも同様に、これらのデジタル企業は適正な税金を納めていないという指摘が出ているのです。実際、今年1月からフランスで、4月からインドとイギリスで課税を始めることになり、世界各国で課税が始まっています。日本も自民党がGAFA調査に乗り出すなど、課税の動きが高まっています。
無料のサービスの裏側を考えるきっかけに
しかし、私はGAFAに大胆な課税はできないのではと見ています。というのも、経済学の研究では、国家間で規制緩和競争になりやすいとの報告もあり、自国だけ課税をすれば先進的な企業が国から逃げて法人税そのものを大きく逃す可能性もあるからです。さらには巨大産業と政治との密接な関係があるのか、そうした企業を優遇しやすいという指摘をする政治学者も存在するだけに、課税はそれほどうまくいかないかもしれません。
大阪で行われたG20では世界で協調課税ルールをつくりましょうという提案がされていますが、企業誘致に必死なはずの各国が乗り気になるのか……引き続き注目です!
スケールの大きい話ではありますが、無料のサービスの裏側には何があるのか、またそれが当たり前ではないことを、私もこれをきっかけに押さえておきたいなと思います。
※掲載中の情報はMart誌面掲載時のものです。
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イラスト/熊野友紀子 構成/タカノマイ(Mart編集部)
Mart2019年9月号
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