絵本の次に選びたい「児童書」④クレヨンハウス店員さんおすすめ!思いやりをはぐくむ本

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表参道にある「クレヨンハウス」は子ども・女性・オーガニックなど、独自の視点でセレクトした本や商品が人気のショップ。今回はその中にある「子どもの本の専門店」の書店員さんに、選び方のポイントと子どもの思いやりを育てる本についてうかがいました。

ご紹介いただいたのは

クレヨンハウス 子どもの本売り場担当 馬場里菜さん
約5万冊の絵本と児童書を揃えるクレヨンハウスに、7年勤務。選書や、HPやSNSなどでの情報発信、イベントの企画を行う。毎月の新刊会議で、お店に置く本を決めている。

【SHOP DATA】
クレヨンハウス 子どもの本の専門店

住所:東京都港区北青山3-8-15
電話:03-3406-6492
営業時間:11:00~19:00(平日)、10:30~19:00(土・日曜、祝日)

登場人物に感情移入し 考える機会を手助け。読み方は個性です!

友達を思ったり、相手の気持ちを考えたり……読書は、人間関係を考えるきっかけにもなります。例えば、物語から「ケンカする気持ち」を読み取り、相手を受け入れられることも。本から受け取る答えも、人生の答えも、一つではないので、感受性を育てる意味でも読書の時間を大切にしてもらえたら。
たくさんの本を読んでみたい子や、一冊の本を何度もじっくり読んで、読むたびにいろんな方向から心情を考える子など、性格やタイミングに合わせて、どちらの読み方もいいことだと思います。もっと読書の幅を広げてほしいと親御さんが願うときは、お子さんが興味のあることに関連した本を身近に置き、手に取れる環境にしておくのもいいですね。子ども自身のタイミングを尊重して、それぞれの本とのつき合い方を、見守っていただけたらと思います。

\児童書選びのポイント/

Point1:大人の気持ちを押しつけず、子どもの心に入っていけるものに
Point2:子どもの興味を尊重して、その周辺の本も選んでみる

馬場さんおすすめ!思いやりをはぐくむ本

『ふたりはともだち』アーノルド・ローベル/作 三木 卓/訳 文化出版局 ¥950


仲よしのかえるくんとがまくんが主人公の、ユーモラスな友情物語を5編収録。小学校の教科書にも採用されたロングセラー。「個性の違うふたりが、自然体でお互いを思いやりながら、尊重し合う日常が愛おしい作品。相手のために何ができるかを考えるようすに、人生に1人でもこんな友達をつくれたら、と思わされます」

『あらしのよるに① あらしのよるに』
『あらしのよるに② あるはれたひに』
『あらしのよるに③ くものきれまに』
木村裕一/作 あべ弘士/絵 講談社 各¥1,000


嵐の夜に逃げ込んだ小屋の暗闇の中で出会う、オオカミとヤギの物語。「食うもの」と「食われるもの」という立場に気づかず、生まれた友情の行方は……。全7巻。「立場より友達を思いやる気持ちや先入観、相手のコミュニティの大変さを理解することなど、本質的な心のつながりを考えさせられます。約束や友情を見つめるきっかけに」

『ぶたのぶたじろうさんは、だれかにてをふりました。』内田麟太郎/文 スズキコージ/絵 クレヨンハウス ¥1,200


型破りでユーモアたっぷり、思わず笑い転げてしまう「ぶたのぶたじろうさんシリーズ」の9巻目。明るく、希望が生まれるような読後感がやみつきに。「ナンセンスで天真爛漫なぶたじろうさんが魅力的。手を振るということは思う相手がいるということ、気持ちを伝え、つながれるということ。『手を振る』という行為の温かみに気づかされます」

『やかましむらのこどもの日』
リンドグレーン/作 ヴィークランド/絵 やまのうちきよこ/訳 偕成社 ¥1,000


やかましむらの6人の子どもたちが、幼いシャスティーンと遊んであげる日を「こどもの日」と決め、どんなふうに遊び、行動するかを試行錯誤する物語。国際アンデルセン賞・作家賞を受賞。「歳の違う子と遊ぶシーンは、子どもたちの日常にもあることだと思います。仲間はずれをつくらないよう工夫し、行動する姿が素晴らしいです」

次回は、これまで本をおすすめしてくださったお三方が読者の児童書選びにまつわる悩みに答えてくださいます。どうぞお楽しみに。

※表示価格は本体価格です。

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撮影/相澤琢磨(光文社写真室) イラスト/ itabamoe 取材・文/鹿志村杏子 構成/Mart編集部

2020年6・7月合併号
絵本の次に選びたい「育つ児童書」 より

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